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ツアーレポート 九州森林見学会

村落に住み、そこで生業(なりわい)を営む人たちと交流し、彼らの自然保護と伝統文化の継承への取り組みを学ぶツアーシリーズ。
今回は2005年3月5日〜9日にかけ、大分県日田市にて開催された「森林NPOサミット」に参加し、「日田杉」で名高い当地の森林、市場、製材所などを見学、そして宮崎のFSC森林認証を取得した諸塚村、同じくSGEC森林認証を取得した田爪林業、宮崎県諸県(もろかた)県有林などを訪問しました。九州を縦断した見学会の様子を報告いたします。

NPO・NGOサミット / 日田森林組合 / 横尾木工所 / 武内製材 / 長氏所有森林 / 諸塚村

田爪林業 / 諸県県有林 / ランバー宮崎協同組合

FoE Japan森林プログラムからは岡崎、中澤が出席し、熱弁を振るった。

全国木偏のNPO・NGOサミットinひた

> https://www.sugi-hinoki.ne.jp/

日本の杉桧を守る会の呼びかけにより、3月5日(土)、日田市にて全国木偏のNPO・NGOサミットinひた開催されました。

会議には、FoE Japanをはじめ全国から11団体が参加しました。会には、参加団体の関係者のほか、九州地区の森林に関係する人々、森林に関心を持つ人など、100名を超える多様な人々が参加しました。

開催の目的は、全国各地に点在するNPO・NGOの情報交換の場を提供し、市民啓発、世論形成、または行政に対する働きかけなどの点で、効率のよい連携、連帯を実現するネットワークを確立すること。

開会の挨拶の後、主催者側から「日田林業における台風被害の現状と課題」報告があり、引続き「変化の担い手、木偏」とのテーマで枝廣淳子氏の基調講演が行われました。

サミット会議に移り、(1)参加団体の活動紹介、(2)活動の行き詰まりや悩み、そして(3)未来へ向けたネットワークというテーマで各団体から報告、提案、意見交換という形で議論が進められました。大会決議、「木偏のNPO・NGOが結集し、日本の森林環境に活力を与えるための力強いネットワークを確立することを宣言する」を満場一致にて採択し閉会しました。次回は東京近辺での開催予定です(FoE Japan幹事)。

議題に挙げられた主なものは、
 ・各団体、地域のないものねだりをするより、あるもの(強い面、特長)を探しをし、活用すべきである
 ・それをネットワークにて共有し、皆で活用する
 ・各種団体間の言葉の壁をなくすことが大事である
 ・異業種間(山男と住宅需要者等)のコミュニケーションにはブログなど、簡易なものも有効ではないか
 ・ネットワークのコスト負担も考慮すべきである

夜の大懇親会では、昼間の議論を深めたり、個人的なつながりを広めたりと有意義なものでした。

翌6日は、希望者による日田地区森林見学会が開催されました。昨年の台風被害を受けた森林の見学、林業体験としてのチェーンソーによる丸太の輪切り、そして小鹿田焼きの窯元訪問など、日田市観光も兼ねた楽しい見学会でした。(文: 大森 勝さん)

 2004年の台風被害の一例。  木々が無残に「ボキッ」と折れている様子。  台風時の風の質がここ数年変わったそうだ。温暖化の影響とも?!
 電話の支柱もポッキリと。  風倒木の材価はだいぶ落ちます。  ここまで割れると使い道は限られます。使えればまだよいのですが。

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整然と仕分けされているスギの丸太

日田市森林組合

日田市森林組合の集材量は日本トップクラス。土場は3ha(9000坪)あり、壮観でした。さすがは日本有数の林業地。一般的に言われる林業不振を感じさせないスケールです。

ここでは、木材共販所も兼ねていて、管内7つの小さな市場から集まってきます。宮崎県内で35万m3、県外から5万m3、計40万m3が取り扱われるとのこと。

日田市森林組合の組合員数は4,262名。管内は、スギが71%、ヒノキが23%、クヌギが3%、その他3%、林野面積は20,696haという概況です。路網率は13.5mとやや低めです。

林業不振を感じさせない広い土場  九州に多い飫肥スギ。赤みが多いのが特徴。  説明をしてくださった共販課課長の深町さん。

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燻煙処理を施し、天然乾燥のため積まれたスギ板

(有)カネサダ横尾木工所

> https://www.coara.or.jp/~mokuyobi/index.html

ここでは、木材を燻煙と天日で乾燥させていました。内部の温度が90度から120度の燻煙乾燥機で3日から1週間かけて含水率を約50%に落とし、天日で1カ月かけて最終的には含水率を15〜17%にしているそうです。

これによって、以前は20%あった欠品を5%に抑えられたそうです。燻煙で乾燥させることで木材の初期収縮を速めさせ、それが割れやそりを押さえているのではないか、ということでした。

 
 二面のみ加工され燻煙処理された丸太  ビニールバンドにも「地球温暖化阻止」の語が。  抜けふしもきちっと加工。

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製材所について説明くださった武内さん

武内製材

構造材を中心に10,000m3/年を生産しているそうです。そのうち、乾燥材が6〜7割を占めているそうです。この製材所では、原木から、皮むき→2面取り→製材→乾燥という生産工程でした。さらに、むいた皮は発酵させてバーグ堆肥にしたり、ペレットとして利用し、端材をチップとして販売することで製材所の消費電力の3分の2程度をまかなっているそうです。

 
 2,500坪もある大きな製材所。 説明に熱心に耳を傾ける参加者の面々。  冬はスギの白みが凍ってしまうので皮を剥いたらすぐ製材。

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ユリノキの植えられている長さんの森林

長氏所有森林

大分県では針葉樹と広葉樹(16%)の混交植林で補助金が出ているそうで、ケヤキの植林が行われていました。また、ユリノキの植林も行われており、約13年生のユリノキがスギに混じって生長していました。ユリノキは北米原産で、土壌をアルカリ化させる作用があり、日本では公園や街路樹等でよく植栽されているそうです。

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諸塚村のモザイク林相

諸塚村

> https://www.vill.morotsuka.miyazaki.jp/

諸塚村は宮崎県の北西部に位置し、村の総面積の95%を山林が占めています。森林面積のほとんどが民有林で、人口林率も86%と非常に高くなっています。

村の山の斜面には、見事なパッチワーク模様が広がっています。これは、クヌギやコナラなどの広葉樹とスギやヒノキなどの針樹をモザイク状に植えたもので、「モザイク林相」と呼ばれています。クヌギはシイタケの原木となり、スギやヒノキの林は、若齢樹のうちはシイタケのほた場となり、生長すれば建築用材となります。

昨年10月、同村では森林面積のうち75%にあたる地域でFSC森林認証を九州で初めて取得しました。また、諸塚の認証所得は、村と森林組合、森林作業の第三セクターである(財)ウッドピア諸塚、そして一般林業家所有林も含めたグループ認証によるもので、自治体と林業家が一体となり村ぐるみで取得したという点で、日本で初めての事例だそうです。

諸塚村の特徴的な組織として、住民同士の扶助や、地域づくり等の社会的な課題を取扱う自治公民館という組織があります。そして、これは地域の産業振興に大きく影響を与えてきたもので、とても興味深いシステムだと思いました。
また、一般林家の適正な森林管理と経営の安定を図るために結成された、ウッドピア諸塚という高度な林業技能集団があります。これによって、後継者が確保され、人材不足による森林の荒廃を防ぐことにもなったそうです。

諸塚村の森林からは2,500m3/年の原木が生産され、これを利用して、九州限定で年間15戸程度の諸塚村産直住宅を販売しているそうです。 林業は50年から100年の期間で経営を考えなくてはなりません、しかし現実として、そんなに先の社会情勢など予測するのは不可能です。そこで、シイタケや茶、畜産など、複合経営をしながら森林を管理していくことが必要だと思いました。 諸塚村ではこのような複合経営を行ってきたことで管理の行き届いた森林が可能になったのだと思いました。

スギとヒノキの複層林について 諸塚村産業課の佐藤さん 熱心な説明に傾聴する参加者

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九州林業家の雄、田爪さん

田爪林業

> https://www.sgec-eco.org/certforest/

2004年9月にSGEC認証を取得した宮崎県西米良村の森林を見学させていただきました。ほとんどがスギでしたが、マキやカヤ、タブノキの大木も見ることができました。SGEC取得面積は約245haとのことでした。年間生長量は約3,700m3で、年間約1,500m3を間伐のみで伐出しているそうです。

作業道が100m/haと高い密度で良く整備されており、列状間伐、架線集材が行われていました。間伐に対して、皆伐では獣害が多く、萱がよく育つため再造林が困難になるとのことでした。

田爪林業で出された原木は熊本県の多良木の市場に出回り、ほぼ九州内で消費されているだろうということでした。また、SGEC材としての流通はまだされておらず、今後取り組んでいくそうです。ただ、現状では、田爪林業の屋号を打った原木で市場から十分信頼が得られていると感じているとのことでした。

西米良村の木材利用促進を狙ったかりこぼうず大橋  地元のスギ集成材が使用されている  針葉樹と広葉樹とが入り混じる西米良の森林
SGEC森林認証を取得した森林 管理の行き届いた森林。林内が明るい 田爪氏は低コストの列状間伐を導入している。
間伐後に植林されたスギ 架線集材の様子。作業は3人1組。 「爪」のマークが生産者証明となる。まさに顔の見える木材。

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スギ林を上木としたカヤ植栽

諸県県有林

> https://www.town.aya.miyazaki.jp/ayatown/

諸県県有林の区域は、高岡町、綾町、野尻町に渡って位置しています。総面積は約1,500haで、そのうち139haを「共に学ぶ森」として一般の人や林業研修のために開放しています。

SGECによって指摘された向上目標は、谷筋、尾根筋は多様な樹種を残すこと、希少動植物の保護等に関するマニュアルを作成すること、などだそうです。

諸県県有林では平成14年から70年生まで皆伐を行わず、必ず再造林するという施業方針をとっているそうです。3年前までは切り捨て間伐が多かったそうですが、現在では8割程度が利用間伐できていて、年間4,000〜5,000m3伐出しているそうです。

広葉樹の更新は天然更新で行われていて、再造林不適地でも天然更新や植栽によって広葉樹林に転換しているそうです。また、照葉樹林を増やそうとしており、この管理方法の体系化が必要であるそうです。スギの間伐作業を見て、伐採後の残根が短いことが特徴的でした。

県施設の駐車場にスギの皮が一面に敷かれている  広葉樹を粗密に植えている。  山の尾根に自生しているマツ。
スギとカヤの複層林の様子。 SGEC森林認証を取得した県有林。  赤味の多い飫肥スギ。見事な伐倒でした。
世界遺産への登録も考えられている綾の照葉樹林。  勿論、針葉樹も混じってます。  美しい景観も魅力の一つ。

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ランバー宮崎は、敷地面積6,000坪の木材団地

ランバー宮崎協同組合

> https://www.lumber-miyazaki.jp/

ランバー宮崎は宮崎市の西に位置し、プレカット材・乾燥材・防腐防蟻処理剤の生産を行っていました。プレカット工場では、平均年間170棟分の木材加工を行なっており、その大半は地場の工務店からの材が占めている。国産材の割合は約90%。

製品市場も同じ敷地内にあり、宮崎、鹿児島の材を中心に扱っていました。また、製品市場には諸塚のFSC材が流通していました。市場の木材取扱量は4〜5万m3。KD材(人工乾燥材)とグリーン材(天然乾燥材)との割合は6:4とのことでした。

建屋にも木材がたっぷりと使用されている。  同敷地内に木材市場機能も兼ね備えている。  広い敷地に驚く参加者の面々。
諸塚村から出荷されたFSC認証材。ただの諸塚材もありました。  JAS規格に準じ、きちんと表示されています。  大手ハウスメーカー納入の材もちらほら。
こちらにも大手ハウスメーカーの名がありました。  大手のみならず、中堅どころも。  海外からの材もありました。米ツガ。

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チップ工場の傍らに積まれているスギ丸太

(株)南栄 チップ工場

(株)南栄は、日本製紙の山林関連事業の分社化により設立されました。木材センター(木材市場)とチップ工場を有し、製紙原料となる山林を管理、運営しています。

案内をしてくださったのは、山林課課長の山本敏博さん。木材センターの事務所にて九州地域に点在する日本製紙所有の社有林について、その施業管理についての概況、そして、「緑の循環」認証会議(SGEC)森林認証の審査を受けている最中であることなどの説明をいただきました。

日本製紙社有林の路網率は18.6m/haですが、現在50%を目指して積極的に林道整備に取り組んでいるそうです。ただし、南栄は森林組合には属さないため、政府からの補助率も組合員に比べ低く、大変な企業努力を必要とされます。 それでも企業の社会的責任(CSR)を果たすべく、経済的利益というよりはむしろ公共財としての森林機能維持のために、管理・運営に取り組んでいるとのことでした。

一方で、民間企業が森林管理に取り組むことへの優位点について、「所有森林面積が小規模な森林組合員の森林経営においては、個々林家の足並みを揃えることが容易でなく、50年といった長期的なスパンでの森林経営・施業計画が立てにくい状況。 その点、営利を追求する民間企業において、長期的計画を立てることは当然であり、歓迎すべきこと。是非ともこのような取り組みに対する法的サポートを希望する」と解説していただきました。

業界において弱者である小規模林家を保護する法体系や行政執行体制は、勿論必要ではあるものの、現在の日本林業の状況や、長期的視野に立って考えてみると、何らかのショック療法的な行政機関の取り組みも必要なのではないかと思いました。

次に見学させていただいたのは、チップ工場。日本製紙社有林において間伐や林道整備により伐採された針葉樹、広葉樹の他、外部からチップ用木材としてトラック単位で持ち込まれ換金されていきます。

ストックヤードには、針葉樹と広葉樹とに仕分けされた木材が積まれていました。中には100年を超える太い広葉樹丸太もあり、床材や造作材などに利用しないのですか?と問いかけてみましたが、近隣にそのような用途の加工所がないこと、量的に少量ではコストが逆にかかってしまうことにより、チップとして利用しているそうです。

広葉樹材も結構入ってくる。  各種雑木が入り混じってます。  床材(フローリング)とかにも使えそうなものもあったり。
まずは丸太の皮が剥かれます。  結構直径の大きい玉切り丸太がそのままチッパーの中に。  ガリガリと粉砕されてちいさなチップに様変わり。

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案内してくださった赤星さん

新産住拓(株)

> https://www.shinsan.com/

ムク材と天然乾燥で、人・環境に優しい健康住宅を推進している新産住拓(株)。

取り扱う木材は、山林にて葉枯らし3ヶ月、製材所やストックヤードに移動して6ヶ月〜1年間の天然乾燥を施します。新産住拓が昔ながらの「伐り旬」(注)や天然乾燥にこだわるわけは、割れや曲がりを出にくくし、艶やかに仕上げ、スギを強く美しく生かすことができるからです、と赤星知行さんは熱っぽく語ってくれました。

葉枯らしの利点は他にもあります。含水率が50%くらいまで下がるため輸送コストsとが生材の6割以下になるそうです。さらには、化石燃料代が年間3000万円節約できるとのことです。

: または「寒伐り」という。彼岸から彼岸までの木が水分を吸い上げない秋冬半年間に伐採すること

新産住拓の木材取り扱い量は原木で1万m3、製材品で7,000m3、住宅着工数は年間180棟。それらは国産材100%。自社プレカット工場や2万m2ものストックヤードも有しており、積極的に熊本産の木材利用を推進しています。また、造作材、建具については含水率を15%まで落とすため、遠赤外線乾燥機や低温燻煙施設を利用しているとのことです。

天然乾燥にこだわる新産住拓。  製品ひとつひとつにタグをつける徹底した製品管理。  山に捨てると産業廃棄物になってしまう樹皮の山。処理が悩ましい。
〜 おまけ 〜
日田市の風情ある街並み。  観光地になってます。  こちらは文化財に指定されている由緒ある民家。
日田市北部、高塚山の麓にある小鹿田焼(おんた)の窯元。  およそ300年の歴史を持つ小鹿田焼。窯は登り窯。  窯の全景。温度管理に傾斜を上手く利用している。
唐臼(からうす)と呼ばれる水力利用の設備  焼き物用の粘土をつく。見事な自然との融合である。  小鹿田焼の技法は一子相伝の技。
大分から宮崎への道中、訪れた阿蘇の風景。  見晴らし台での一枚。  阿蘇の山々を背景に記念撮影。

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