聞こえていますか、私たちの声 オンダンカクサの現場から
アルゼンチン/Argentina
2003年4月28日、史上最大の降水量によりサラド川の堤防が決壊し、洪水によってサンタフェ市は数時間で浸水しました。
避難所に、中央ホールがパーティションで分けられているだけです。避難家族にはプライバシーがほとんどありません。マットレスすらなく、100人以上の住民がいるにも関わらずシャワーは2つしかありません。

■ 防災体制の不備

アルゼンチンにおいて大規模な洪水は初めてのことではありませんでしたが、屋根も服も過去も失った4万人以上の温暖化災害難民を生み出したのは史上最多でした。地方政府は、サラド川の急激な水位上昇の可能性についての警告や、防水インフラの建築を要求する声を無視したことを厳しく非難されています。

■ 今なお続く痛みと課題

4年たった今でも、サンタフェの住民達の地方政府の防災体制に対し、怒りは収まりません。さらに、洪水の犠牲者に対する補償は、苦痛を感じさせるほど遅々としたものです。人権団体は、政府の補償はより多くの被災者に向けた雇用機会、教育、衛生を含むべきだと主張しています。
2007年5月、サンタフェ市と、サンタフェの180km南にある100万人都市(ロザリオ市)に、5月の観測史上最多の2日間で500ミリを超える雨が降りました。今回は早期の警報が、サラド川の洪水による犠牲者増大を防いだものの、再び、水の流入の歯止めが利かなくなり、排水施設が未だ不十分であることが明らかになりました。

■ 地域に根ざすワークショップと政策提言

ブラジル南部地域では、温暖化に対応していく為のフォーラムが設置され、さらに特に被害を受けた各地域で「温暖化影響対策ワークショップ」が開催され、食物、農業、干ばつ、自然災害、健康、生態系等に関する適応対策として必要となることが議論され、南部州政府に対し、緊急対策の立案と防災、環境保全、持続可能な農業などの要望と課題が提出されました。 また、ブラジル政府と先進国政府に対しては、石炭火力発電所の段階的廃止、効率的でクリーンなエネルギーの採用、および森林の伐採や焼失の禁止を盛り込んだハイレベルマニフェストを提出されました。

アルゼンチン サンタフェ市の洪水

ヴェロニカ・フェルナンデス
(21歳)

セントナリオ地域が洪水に見舞われ、他の22人とともに船で避難しようとしていました。その時何が起こったのかわかりませんでした。船は転覆し、私は生後たった21日の息子ユリエルを手から離してしまいました。一人の若い男が、服とベルトを使ってフットボール場の柱に彼と私を結び付けてくれたおかげで私は助けられました。3日間に及ぶ不休の捜索後、ユリエルの遺体が発見されました。私も、もしその若い男がいなかったら溺れていたでしょう。多分、そのほうがよかったのかもしれません。今はとても悲しくて途方に暮れるばかりです。

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グラディス・コサカ
(35歳)

避難民センターで住んでいます。家にはもう何もありません、灯りも無くて異臭がします。サラド川が全てを奪い去ったのです。洪水はもうごめんです。次は二度とは生き残れないでしょう。

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情報提供:ロケ・ペデイス / FoEアルゼンチン


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