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サンロケダム
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地元住民のポジション・ペーパー (2005.03.10)
※このポジション・ペーパーは、3月14日の国際反ダム・アクション・デーの活動に合わせたRWESA-Philippinesの活動(記者会見および日本政府とのマニラでの会合)のために用意されたものです。

2005年3月10日


Tignay dagiti Mannalon a Mangwayawaya iti Agno
(TIMMAWA)
アグノ川の自由な流れを取り戻すための農民運動


サンロケ多目的ダムの建設および操業に関するポジション・ペーパー
 

 TIMMAWAはアグノ川沿いに暮らし、サンロケ多目的ダム事業の影響を受け犠牲になっている農民の連合体です。TIMMAWAは連携している組織や個人とともに、サンロケ多目的ダムの建設によって破壊された土地や財産、作物、生計手段に対する正当な補償を行なうよう求めています。このポジション・ペーパーは、破壊された住民の土地、また、住民が失った生計手段を正当に補償するという責任を果たす上で、NPCとSRPCがとるあらゆる措置について私たちの意見を表明すること、また、サンロケダムが操業を継続していることについて私たちの意見を強調することを意図したものです。


影響住民の生活に対するサンロケ多目的ダム事業の影響

1. サンロケ多目的ダム事業は、住民が彼らの収入源として耕作していた生産性の高い農地、5,000ヘクタール近くを破壊した。

2. 住民が生計手段である砂金採取をするために依存していたアグノ川のルートや性質が、サンロケ多目的ダム事業の建設によって、破壊され、変化してしまった。

3. サンロケ多目的ダム事業は、農民が彼らの農地を灌漑するために使っていた、アグノ川の土手沿いにある地域共同灌漑システムを破壊した。これは、広範囲にわたって行なわれた採石作業のためで、この作業もダム建設の一部として行なわれたものである。

4. 住民は山の資源へのアクセスを禁止されてしまった。住民は商業および個人消費用にそうした資源を取ってきた。これは、ダムの近隣地域が集水域として宣言されたためである。

5. サンロケダムはその洪水制御部門を自慢としているが、住民を洪水に対して脆弱にする間違った安心感を与えている。他方、サンロケダムは、パンガシナン州の洪水を以前より悪化させているだけである。アグノ川近くの農地は、ダムからの放水があると、急流のために破壊される。生活や生計手段、そして重要なインフラ構造物が、ダムがあることによって、また、ダムが操業を続けることによって、絶えず危険な状態に置かれている。灌漑部門が計画されているが、それはパンガシナン州中部の低地域への影響を最小化するために、州の他の部分に水を広げるためだけに使われるだろう。

6. サンロケダムと貯水池は地震の断層のある地域にある。その近隣には、西に8kmのところにSan Jose断層、東に8kmのところにSan Manuel断層、そして、西に25kmのところにフィリピンの主要な断層であるDigdig断層がある。これらの断層が動けば、ダムと貯水池に対して破壊的な影響を及ぼしうる。さらに、ダムの水が与える圧力は、「貯水池による誘発地震」を引き起こしうる。ダムの存在、そしてダムの操業の継続は、私たちの生活や生計手段に対する絶えまない脅威を意味するのである。

7. サンロケダムは、競争力のある電気料金を提供することがまったくできておらず、代わりに電気料金の高騰を招いてきた。フィリピン電力公社(NPC)の契約によれば、NPCはサンロケダムの発電コストとは別に、設備容量費および維持管理費として毎月1,000万米ドルの固定料金をSRPCに支払わなければならない。サンロケダムが発電している電気の料金は、月に1,567万2,000米ドルかかる設備容量費および維持管理費のため、1kWh当たり15.30〜26.69ペソにわたることになるだろう。

8. サンロケダムはフィリピンをより深刻な借金状態に陥れる。サンロケダムの建設の一部のためにフィリピン政府が負った借金とは別に、フィリピン政府はSRPCが借りた融資の保証人としての立場もある。フィリピン経済の現在の状況のなかでは、借金が増えることはその借金の返済により大きな予算を割くことを意味する。つまり、それは社会サービスに対する予算がより少なくなることを暗示している。


 経済能力や地元の住民の生活の質は低下し、結果として特に、住民は以下のような具体的な影響を負うことになりました。

1. 子供を小学校、高校および大学に送る能力のある家族数が急激に減少した。

2. 影響を受けた家族は利用可能な医療サービスやその他の社会サービスにアクセスできなくなった。その結果、彼らの生活の質は悪化している。

3. 非常に多くの家族が持続可能かつ継続的な生計手段を得る術を失った。その結果、高い利子率にもかかわらず、借金にたよらざるを得なくなっている。

4. 生計手段の資源が破壊されたこと、また、代替の生計手段が欠如していることは、事業の近隣地域において、(住民が)売春や窃盗のような反社会活動に手を出す引き金となっている。

5. 生計手段の資源喪失に対処する術として、ほとんどの家族ではそのメンバーの一人か二人が、海外あるいは他の場所に仕事を探しに出ている。

6. 次の日の食事をとっておくために、一日二回の食事にせざるを得ない家族がいる。

7. 橋や道路などのインフラ構造物が、サンロケダムの貯水と突然の放水によって悪化した洪水のために被害を受け、あるいは、破壊された。それに加え、洪水に見舞われた農地では、米やとうもろこしなどの作物も破壊された。最悪なことに、アグノ川沿いの農地の中には浸食されてしまったところもあった。洪水の被害を受けた住民はたいてい貧困ラインぎりぎりの生活を送っている人々で、ますます強く、かつ、広範囲にわたる洪水は彼らをより脆弱な状態に陥れ、そうした災難に簡単に対処できなくしている。


 私たちは、補償プロセスおよび生活支援プログラム、そして、ダムの継続的な操業に関する意思決定において、本当に影響を受けている住民との民主的かつ真のコンサルテーション、また、影響を受ける住民の包括的な参加を要求します。

1. 影響を受けている住民および組織に対して、サンロケ多目的ダム事業に関する公的文書・情報のアクセスを提供すること

2. 影響を受けている住民の提案を彼らの組織によって提示されたものとして尊重すること。また、彼らの提案にしたがって適切な行動を取ること

3. 対話の議事録を用意することで、対話の包括的な議事を保証すること。

4. 住民と事業者によって合意される意思決定から、いかなる決定に関してもその実施に至るまで、住民が能動的に参加できるよう保証すること

5. サンロケダムの操業を中止すること。サンロケダムがフィリピン国民の大多数に莫大な負担をかける原因となっており、また、日和見主義の政府役人の汚職源になっていることは自明となっている。

6. ダムを撤去すること!世界中にあるいかなる他の巨大ダムとも同じように、サンロケダムは大きな災害の勃発、またその原因となるのを待っている時限爆弾である。さらに、サンロケダムが鉱山活動の活発な地域にあり、多数の地震断層に取り巻かれていることによって、ダムの操業を続けることはより危険を伴うこととなっている。もし誰であっても、サンロケダムによって引き起こされる問題を本当に解決し、その操業とその存在が引き起こす可能性のあるその他の問題を本当に回避したいならば、ダムを撤去することが唯一の合理的な解決方法である。


 私たちは破壊された土地や作物、喪失した生計手段に対する補償のプロセスに関して、また、ダムの継続的な操業に関して、(以下のとおり)私たちの意見を明言します。

1. 破壊された土地
・ 破壊された土地と作物に対する補償を早急に行なうこと。
・ 土地を耕作する所有権の証拠として、また、土地の補償支払いの根拠として、税支払宣言書を認め、受け入れること。土地権利書の申請は影響を受けている住民には高くつきすぎる。
・ 破壊された作物と土地に対する正当な補償を行なうこと。小作の権利および彼らの作物などに対しても補償を行なうこと。
・ 影響を受けた住民が主張し示しているような、NPCおよびSRPCとの間でなされた変則的な交渉に関して調べる調査団体を設立すること。

2. 砂金採取
・ 採石活動を理由にNPCおよびSRPCが禁止したため、できなくなった砂金採取の活動の3年間分について、正当な砂金採取者全員に補償を支払うこと。
・ サンロケダム事業が川底を破壊したために不可能となった砂金採取に代わる持続可能な生計手段を提供すること。そうすることで、住民は別の持続可能かつ継続的な収入源を得るだろう。

3. ダムの継続的な操業
・ サンロケダムの操業を中止すること。サンロケダムの操業では、競争力のある電気料金を提供できないことが証明されている。
・ ダムを撤去すること。


私たちは、NPC、SRPCおよび他の関連機関が私たちの意見を尊重、考慮し、このポジション・ペーパーで私たちが明言した意見に従って適切な措置を取るよう主張します。
サンロケダムの操業の中止と撤去を!!!




※RWESA-Philsの国際反ダム・アクションデーに合わせた一連の活動の情報

> FoEJ 現地レポート 「RWESA-フィリピンの国際反ダム・アクション・デー」(2005年4月2日)

> RWESA-Philippinesのプレス・リリース(2005年3月10日)

> ボホール灌漑ダムの問題に取り組む地元住民のプレス・ステートメント (2005年3月8日)

> サウグダムの問題に取り組む地元団体の共同要請書 (2005年3月10日)

> RWESA-Philippinesの活動に関連した記事 (2005年3月12日Today紙)

> RWESA-Philippinesのプレス・ステートメント (2005年3月14日)

> RWESA-PhilippinesからJBICマニラ事務所へのレター(2005年3月15日)
   「JBICの融資する巨大ダム事業に関する会合の遺憾な取り消しについて」

> サンロケの地元住民が反ダムアクションデーに行なった活動の関連記事 (2005年3月17日Sunstar紙)

※個別のダム事業に関する情報

> サンロケ多目的ダム事業

> ボホール灌漑ダム事業

> サウグ川多目的ダム事業  
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