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ミンダナオ石炭火力発電所
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プレスリリース 「地元評議員らが反対を表明 国際協力銀行は融資契約の破棄を!」  (2004.02.10)


比・ミンダナオ石炭火力発電所 地元議員らが反対を表明

国際協力銀行は 融資契約の破棄を!

 2月9日(月)、フィリピン・ミンダナオ島で建設予定の石炭火力発電所に反対する宣言書(マニフェスト)に地元ミサミス・オリエンタル州の評議委員7名(評議委員は全部で12名)が署名した。同日予定されていた定期会(毎週月曜)の開催が事業推進派によって阻まれたため、宣言書は依然、州評議会の正規の手続きを踏んだ形では承認されていない。しかし、過半数の評議委員が宣言書に署名したことは、2002年に州評議会が事業支持を表明した決議文の事実上の撤回を意味する。

 同事業については、昨年12月1日、国際協力銀行(JBIC)が総額1億100万米ドルの融資契約に調印。日商岩井と川崎重工業のコンソーシアムが受注した、ボイラー、タービンの機器等の購入資金に充当されることが決まっている。

 しかし、同事業に対しては2001年から、人体への健康被害、環境への損害、適切な情報公開・協議の欠如などを懸念する声が地元の農民、漁民、教会関係者、環境NGO等からあげられており、9日には、そうした現地住民・NGOの連合体であるPeople's CAMP(ミンダナオ石炭火力発電所の建設に反対する住民運動)もミサミス・オリエンタル州庁舎前で抗議活動を行なった。

 国際環境NGO FoE Japanはこのような現地での反対の動きを受け、以下のように、JBICの「不十分な環境審査」や国際的な流れに「逆行した石炭産業への補助金供与」を批判。「同事業の融資契約を見直し、契約破棄も含めた対応をとることがJBICに要求されている。」と訴えている。

●「不十分な環境審査」

 JBICは融資の検討を開始した昨年5月以降、People's CAMPや国際NGOグループから再三にわたり環境・社会問題を指摘され、現地調査によるPeople's CAMPなど地元グループへの意見聴取を要望されていたにもかかわらず、結局、JBICは現地調査も行なわず、地元グループの声を直接聴くことはなかった。同事業へは、新しい環境ガイドライン(2002年4月制定)を部分適用(全面適用は2003年10月以降に融資の要請があったものにとどまる。)することになっているが、新しい環境ガイドラインの下、本当に海外事業による環境社会問題を回避できるのか――今回は、早くも先行きに不安の残る結果となってしまっている。

●「石炭産業への補助金供与」を非難する国際的流れ

 石炭(鉱業)に関連した開発事業により、これまでに多くの地元住民や先住民族が被害を受け、その生活を犠牲にされてきた。また、石炭は気候変動に与える影響が深刻であることからエネルギーの面からも問題とされている。こうした石炭産業に対する批判は、昨年12月に公表された世界銀行の委託調査『採掘産業の再検討(Extractive Industries Review)』に関する最終報告書にも示されている。この報告書は、世界中の石炭、石油、ガス、鉱業など採掘産業への世界銀行の支援がもたらした開発影響について評価。世界銀行に「人権の尊重」、「先住民族や被影響住民の事前に情報提供された上での合意」、また、気候変動の観点から「石炭採掘への支援を直ちに止めること」、「エネルギー関連の資金協力を化石燃料から再生可能エネルギーに移していくこと」など、重大な改革を受け入れるよう勧告している。このような国際的な流れのなか、今回のように地元の反対の強い石炭プロジェクトへの融資をJBICも直ちに廃止するべきである。


本件に関するお問い合せはこちらへ
  国際環境NGO FoE Japan(担当:波多江)
  TEL:03‐3951‐1081 FAX:03‐3951‐1084
  E-mail:hatae@foejapan.org


●ミンダナオ石炭火力発電所建設事業とは?

フィリピン・ミンダナオ島北西部の中心都市カガヤン・デ・オロ市から約20km東にあるヴィラヌエバ町での建設を予定。事業者は比と独の現地合弁企業。日本から川崎重工、日商岩井が参画する。総工費は約3億米ドル。2003年12月、国際協力銀行(JBIC)とドイツ復興金融公庫(KfW)が融資契約を締結。また、日本貿易保険(NEXI)も保険の契約を決定している。電力(210メガワット)はフィリピン電力公社(NPC)が25年間買い取る契約で、その後、発電所はフィリピン側に移譲される(BOT方式)。サイトは約3000ヘクタールにもわたって広がるフィビデック工業指定地域のなかに位置するが、その広大な平野での農業や海岸沿いに広がるマカハラー湾での漁業を生業とする多くの人々がその工業指定地域のなかに暮らしており、公害や人体への健康被害、生活の糧である農業や漁業への影響などをはじめ、温室効果ガスの放出による地球温暖化の助長など、多くの懸念があげられてきた。

※より詳細な情報はFoE JapanのWEBサイトへ
  →https://www.FoEJapan.org/aid/jbic02/minda/index.html


州評議委員による事業支持を撤回する宣言書 (2004.02.09)(PDF:19KB)

現地グループによるプレス・ステイトメント(2004.02.10)

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