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JBIC異議申立制度の設置に向けて
JBIC異議申し立て機関についてのコンサルテーション(11)

<物別れに終わったコンサルテーション>

11月18日、JBICの異議申立手続きの要綱案をまとめるためのパブリック・コンサルテーションが終了しました。8月30日に発表された案からはかなりの修正がなされたものの、最後まで、「融資契約調印前の異議申立の受付」と「情報公開」は懸案事項として残ってしまいました。



◆融資契約調印前の異議申立の受付

前回の議論を踏まえての最大の変更点は、11月18日案でJBICが円借款(ODA)業務に関しては事前の受付を行なうという案を提示してきたことです。JBICは円借款(ODA)業務においては、政府間の最初のコミットメントである「事前通報」前の三省庁による政府勉強会までに、事実上環境審査を終えていることを認め、融資契約前であっても「本行としての評価を示したとき以降」は異議申立を受け付けるとの案を示しました。

一方、民間企業の支援を行なっている旧日本輸出入銀行の投融資案件に関しては、JBIC金融業務部業務課の藤田課長は、融資契約調印前に環境審査についての一定の見解は出ていることを認めつつも、ODAのような政治的なコミットメントがないことや、企業の入札に不利益があってはいけないということを理由に、融資契約前の異議申立の受付は行なわないとの強硬な姿勢を示しました。

また、産業界からも「融資契約前に異議申立が行なわれれば、入札が非常に不利になる」「入札妨害を目的とした異議申立が行なわれる可能性がある」「環境審査室が融資契約調印直前まで、外部からの意見を受け付けるのだからそれで十分ではないか」「企業はそもそも環境に十分配慮して事業を行なっている」と相変わらず利益優先で、環境審査室があれば十分な環境審査が行なわれるとの楽観的な見解を示しました。

これは、JBICの融資事業における社会環境問題を繰り返し見てきたNGOとは全く違う意見です。また、入札妨害などを目的とした異議申立は、初期の段階で申立を却下できる仕組みがすでに手続きの中に盛り込まれていますし、仮にJBICによる社会環境配慮が問題となって入札が不利になっても、適切な社会環境配慮が行なわれない事業には融資を行なわないのが新しい環境ガイドラインの考え方です。

JBICは融資契約調印が行なわれる直前まで、NGOや市民からの意見を「受け付ける」と説明していますが、NGOのこれまでの経験で一番問題なのは「受付」られた意見がJBICの中で「どのように取り入れられているのか」ということです。今の手続きでは、その手続きが全くを持って不透明であり、JBICの裁量次第なのです。「取り入れるのか」「取り入れないのか」について双方で意見が分かれた場合、やはり第三者による調査とその調査報告書の公開は不可欠です。



◆情報公開

情報公開に関しては、「異議申立の受付状況、手続き進捗状況を公開する」との記述が盛り込まれましたが、どのような資料がどの時点で公開されるのかについての具体的な記述は見られませんでした。

長くなりましたが、情報公開も含めて、最後にJBICが再度検討すると約束したのは以下の3点です。

  1. 何度もJBICの融資担当部署とのやり取りを繰り返したにもかかわらず、どうしても見解の違いが生じ、融資契約調印前に折り合いのつかない案件に関しては、融資契約調印前にも異議申立の受付を行なう。
  2. 情報公開の具体的な内容とその時期についての明示。
  3. 異議申立についての報告書を総裁に提示後、1ヵ月後のJBICの投融資部門による意見書を待たず、速やかに報告書を公開。報告書に対するステークスホルダーからの意見も踏まえた形で、意見書を作成し、公開する。

JBICはコンサルテーションの最後に、11月18日の3時間半にわたるコンサルテーションを受けて「要綱案に変更は加えない」と説明しました。しかし、上記の3点は今後の検討事項であることは認めました。来年2月には、途上国政府からのヒアリングの結果も含めて、JBICの異議申立手続き要綱案が示される予定です。
この要綱案に確実に上記の3点が反映されなければ、要綱案はパブリックコンサルテーションを踏まえて策定されたものとはいえません。

NGOとしても上記の3点が確実に要綱案に反映されるように働きかけていく予定です。引き続き、皆さんのご協力をよろしくお願いいたします。
11月18日に発表された修正案は、程なく下記のホームページに掲載されると思います。
https://www.jbic.go.jp/autocontents/japanese/news/2002/000067/index.htm



○11月18日のコンサルテーション以降の予定は以下のようになっています。

2003年2月    JBICの異議申立手続要綱(案)の提示、パブリックコメントの募集(1ヶ月間)
2003年3月中旬 パブリックコメントを受けたパブリックコンサルテーションを再度開催(1〜2回?)
2003年3月末   最終的な異議申立手続き要綱の制定
2003年10月    異議申立手続き要綱の施行




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