国際協力銀行(JBIC)の
環境ガイドラインの策定プロセスについて

●統合ガイドライン策定の公約(1999年春)
JBICの設立法である「国際協力銀行法」は、1999年4月に国会で成立しました。しかしこの法律には、第1条「目的」をはじめとして、どの条項にも、人権の尊重や環境・社会の持続可能性、社会公正、情報公開、住民参加などは一言も触れられていません。  
この法案の審議中、数名の議員が社会・環境基準に関する質問や指摘を行いました。これに対し、政府はODA・非ODA業務(旧OECFと旧輸銀の業務)に統一の環境ガイドラインを作成すること、また、このガイドラインが国際的な水準を満たし、策定の際にはNGO・市民の参加を保証することなどを約束しました。 また法案成立時、両議院で、いっそうの社会・環境配慮を求める付帯決議が可決されました。

●国際的な動向
統合ガイドライン策定には、国際的な動向が大きく影響しています。旧輸銀業務の中には、日本企業の輸出・投資活動を直接的に支援する「輸出信用」業務が含まれていますが、このような「輸出信用機関(ECA)」の活動が途上国の社会・環境に大きな影響を与えるようになっているため、国際的な取り組みが求められています。1999年のG8サミットで、2001年末までに各国のECAに共通の環境ガイドラインを策定することが決まり、OECDで国際的な作業が進められています。JBICは4月に世界銀行/IFCやOECDなどの国際機関、先進国ECAの代表などを招いて国際ワークショップを開催し、国際的な環境配慮強化の流れをリードしていくことを明言しました。

●JBICの設立と旧輸銀ガイドラインの策定(99年10月)
99年9月、旧日本輸出入銀行は統合直前にはじめて環境ガイドラインを策定し、発表しました。このガイドラインは、統一ガイドラインができるまで、JBICの国際金融等業務(旧輸銀業務)に適用されることになります(旧OECFはそれまで使用してきたガイドラインをそのまま適用。したがって現在、2つの異なる環境ガイドラインが併用されている)。しかし策定までのプロセスや内容には大きな問題があったため、日本国内のNGOと国際NGOはそれぞれ意見書を提出しました。

●「ガイドライン研究会」の設置(2000年10月)
JBICの新ガイドライン策定の動きは最近ようやく本格化しています。2000年10月からは、専門家やNGO、関係省庁の代表からなる「国際協力銀行の環境ガイドライン統合に係る研究会」が設置され、新ガイドラインの内容について本格的な検討作業が始まっています。
この研究会は、JBIC、環境・開発専門家、NGO、関係省庁のメンバーからなる独立組織で、ガイドラインの主要な項目につき、来年春までを目途に議論を行います。主にホームページを通じて議事録はすべて公開され、外部からの意見も受け付けられることが決まっています。今後、この研究会の出す提言をもとに新ガイドライン案が作成され、パブリックコメントに付される予定です。NGO連絡会では、このプロセスにおいて具体的な政策提言を行うため、情報交換や様々な調査・研究・シンポジウム等の活動を行っています。
  ※同研究会の提言は2001年9月に出されました。
    研究会のHPよりダウンロードできます。