鉱物資源と私たちのくらし

身のまわりにある鉱物資源

暑い夏、厳しい冬を快適にしてくれるエアコンは、 88.1% の家庭についています。
“一人に一台”の時代といわれるパソコンは 75.9 %の家にあります。
たとえ土日にしか乗らなくても、 85.5% の家にマイカーがあります。
92.7% が、携帯電話でいつも誰かとつながっています。
5 年前に 97.3% に及んだカラーテレビは、見違えるほどスリムなものに姿を代えていっています。

(総務省 平成 21 年全国消費実態調査  1000 世帯当たり主要耐久消費財の所有数量,増減率及び普及率(二人以上の世帯)より)

決して贅沢品ではなくなった、これらのモノに囲まれる私たちは、地球から限られた量しか産出されない鉱物資源をとても“贅沢に”使って生活しています。


注)「平成20年度 使用済小型家電からのレアメタルの回収及び適正処理に関する研究会 とりまとめ」(平成 21 年 3 月、環境省、経済産業省)より抜粋。

金、銀、銅、アルミニウムから、ちょっと聞きなれないリチウム、タングステン、ニッケル、タンタル、コバルト、パラジウム、インジウムなど。 鉱物資源に乏しい日本は、世界中からこれらの資源を輸入しています。

私たちの生活は、“どこか遠くで採掘された名も知らぬ鉱物資源”によって成り立っています。しかし、電化製品とは毎日顔を合わせる私たちも、自分達の生活により“どこか遠くで”引き起こされている大きな問題にはなかなか直面できません。

みなさんの手の中にある携帯電話。私たちがつながるべき相手は、果たして電話の向こうの相手だけなのでしょうか?

資源採掘における問題

ニューカレドニア・ゴロニッケル事業における試験採掘
(レブヌー提供)

真っ赤な土が露出した右の写真。ここは元は多種多様でユニークな植物が生育する緑の丘でした。ここで採掘され、精錬されたニッケルは船で運びだされる予定です。
私たちの手元まで。

鉱山開発における環境リスクは、主に次のことが挙げられます。

  • 大面積の掘削を伴うことが多い
  • 大量の鉱山廃棄物を伴うことが多い
  • 水系や土壌を通じた鉱害が発生することがある
  • エネルギー・水消費が大きい
  • 閉山後も浸出水の影響が生じることがある

一般的に、金を採掘する場合、その質量の100万倍の土砂を採掘する必要があるといわれます。
これは、100万倍の鉱山廃棄物が発生することを意味しています。

例えば 1 円玉と同じ重さ( 1 グラム)の金を得るために、家庭用の浴槽 5 杯分( 1 トン)もの鉱山廃棄物が発生していることになります。 多いと捉えるか、少ないと捉えるか。

鉱山開発には、世界的にも貴重な生態系で実施されるものも少なくありません。私たちが手にする鉱物資源が長い年月をかけてつくりあげられた生態系に大きな影響を与えることは間違いありません。

反対運動の象徴として、先住民族が
たてたトーテム・ポール(C)レブ・ヌー

環境面のみならず、社会問題を引き起こすケースがあります。
生活・文化の基盤を守るために反対運動を行なう先住民族や環境団体、地元住民と事業者との間では様々な紛争が生じています。場合によっては、人権侵害や弾圧、汚職などが生じています。

しかし一番の問題は、鉱物資源を手にする私たちが、これらの事実を知らないこと、目をそむけてしまうことではないでしょうか。

私たちにできること

多くの鉱物資源を手にする私たち一人一人ができることは何でしょうか?
まずは上記のような問題を知ることが大きな一歩かもしれません。その上で、

  • 企業に問いかける
  • 不必要なものは買わない
  • 長く大切に使う
  • 寿命が来たらリサイクル

を心がけたいものです。

FoE Japan は、資源開発事業を行なう企業や融資機関、そしてユーザー企業に対して以下のような提言を行なっています。

  • 適切な環境社会影響評価、管理計画、モニタリング計画、閉山計画の実施(十分な調査の実施、住民協議、情報公開などを含む)
  • 先住民族など地元住民の権利(慣習的な権利を含む)を認め、十分な情報供与に基づく、
  • 自由で事前の合意を取得すること、または取得を要請すること
  • 保護価値の高い生態系における鉱山開発を避けること
  • 省資源・リサイクル促進のための一層の技術開発と投資
  • 上記のような問題に関する社会への情報公開

※鉱山開発プロジェクトの事例はこちらをご覧ください
>フィリピン・コーラルベイ・ニッケル
>ニューカレドニア・ニッケル開発事業

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