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第四回環境関連フォーラム in 札幌 報告 (2005年1月24日)



JBIC「サハリン環境フォーラム in 札幌」、漁業関係者・専門家からの要望相次ぐ


1月24日、札幌市内で国際協力銀行(JBIC)「サハリンII環境フォーラム」が行われました。参加者は100人を超え、これまでのフォーラムの中で最大規模となり、ようやく地元での開催が実現した中、漁業関係者や一般市民、専門家からの要望や意見が相次いで出されました。

フォーラムの中でJBICは「説明し、納得してもらえる状況が必要。きちんと説明がつかない限り融資の実行はない」と言いました。

札幌フォーラムは午後1時から行われました。最初の30分はJBICから「東京で3回行われたフォーラムで上がった意見の報告」があり、その後2時間半に渡って議論が行われました。


▼オホーツク海沿岸のみならず、日本海側の漁業関係者も多数参加

昨年11月に韓国船が防波堤に衝突した事故によって、油流出による被害を身をもって体験している石狩の漁業関係者は、その船体がいまだに放置されている現状を語りながら、事業者サハリンエナジーへの社会的責任の追及と日露当局間の連携の強化を求めました。

オホーツク海沿岸にある雄武漁業の関係者は、北海油田を現地視察したときの様子を語り、サハリンでも同様の対応が取られるよう求めました。 また、流氷に対する対策が取れているのかと懸念を伝えました。

日本海側の留萌の漁業関係者は、気象条件の厳しい海域であることから、プロジェクトによりこの先何十年も脅威にさらされる現実を語り、タン カーの航行ルート・時間などをせめて通報するなどの対応をしてほしいとした上で、JBICに国の融資機関としての考えを聞かせてほしいと語りました。

これに対してJBICは、「事業者がタンカー事故に関して責任がない」という点に関して、今後SEICに対し、社会的責任をどこまで果たすのか 具体的な話をしていくと言いました。また融資はまだ決定していないが、もし融資を行った場合、債権者として今後何十年も向き合うことになり「資金回収だけでなく環境問題もモニタリングしていくことになる」と言いました。

また、網走市のNPOの方は、いったん油流出事故が起これば「風評被害」によって観光や農業までにも影響が及ぶことや、知床の世界遺産への登録などに言及し、融資への慎重な対応を求めました。


▼先住民族の権利を踏みにじる開発は行うべきでない

アイヌの伝統文化を守る活動をしている方からは、サハリン先住民族が抗議行動を行っている状況を憂慮し、そこで生活している人々の権利を踏みにじるのであれば、国のお金を回すべきではないという発言がありました。

これに対しJBICは、現在は融資検討段階のため、権利義務関係はないが、審査の一環として配慮していくと言いました。しかし、サハリン先住民族はサハリンで開発を行っているすべての企業を対象に抗議を行っており、すでにサハリンIおよびIIの第一期工事に融資を実行しているJBICは当事者であり、関与するべきだという意見が出ました。


▼環境影響評価(EIA)の信頼性が大きく揺らいでいる

鳥類や海生哺乳類などの野生生物の専門家からは、SEICが作成した環境影響評価(EIA)の内容が「極めてずさんである」「虚偽事項がある」など、その信憑性を疑問視する声が相次ぎました。その上で、今後EIAのアデンダム(追加版)が出た場合、JBICはその信頼性を検証し、判断することができるのかと、JBICの環境審査のあり方そのものを問う意見が出ました。

これに対しJBICは、「現在SEICはEIAの追加版を策定しており、今後それをフォーラムで上がった意見を踏まえて判断していく。JBICだけでは知見が十分でない場合は外部の専門家を活用する」と言いました。また、検証するデータがない場合、さまざまなデータを照らし合わせて確認するのが好ましいが、必要な場合サハリンへの調査を行う場合もある。季節ごとのいろいろな局面などすべてを確認するのは難しいが、融資機関共同で実際にサハリンに行って、専門家、外部のコンサルタントなどで議論し、現場を見ることもあるなどと言いました。

また、審査の判断基準に関しては、基本的には現地の基準を満たしていることが原則だが、不十分である場合、世界銀行や日本、ヨーロッパの基準を参照しながら審査をすると言いました。


▼今後の対応について

今後JBICは、これまで上がった意見を事業者サハリンエナジー(SEIC)に伝え、その回答が戻ってきたら、東京、札幌などでフィードバックをするフォーラムを開催し、そこで不十分であればまた検討するといいました。それに対し、フィードバックやアデンダムなどがオープンになった際に、フォーラムの参加者が精査する時間を十分に与えられるよう、要請する意見が出ました。


この日のフォーラムは、NHKと地元テレビ局、新聞各紙によって取材が行われました。
(北海道新聞、朝日、読売、毎日に翌朝掲載されました)


*議事録、当日の配布資料はJBICのホームページに掲載される予定です。


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