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第3回太平洋島サミット
第3回太平洋島サミットが沖縄で開催される
〜持続可能な環境を目指し共同行動計画を採択〜

「5月16・17日、沖縄名護市の万国津梁館において「第3回日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議(太平洋島サミット)」が開催されました。日本は太平洋島嶼地域に対して、天然資源、漁業資源、原子力廃棄物輸送など、様々な利害を有しています。このサミットは、この地域における日本のポジションを高めるべく、日本政府の主催により97年以来3年ごとに開かれています。今回は、日本と太平洋諸島フォーラム(PIF)加盟15ヶ国の首脳または外務大臣が出席し(※)、太平洋島嶼地域が抱える課題について話しあわれました。

※フィジー、ニウエ、パラオ、パプアニューギニア、マーシャル、サモア、ソロモン、トンガ、バヌアツ、クック諸島、オーストラリア、ミクロネシア、ニュージーランド、キリバス、ツバル

会議では、最近の世界情勢を反映して、テロ対策などの安全保障やSARS対策など保健衛生への関心が集まりましたが、昨年のヨハネスブルグサミットの世界実施計画や国連ミレニアムサミットの目標を実現するため、持続可能な環境というのも主要な議題となりました。

2日間のサミットの成果は首脳宣言「沖縄イニシアティブ」と「共同行動計画」として発表されました。「沖縄イニシアティブ」では安全保障、保健衛生、持続可能な環境の他、教育・人材育成、貿易・経済成長も重要政策目標として掲げられています。

これらの成果の中で、注目すべき点はごみ問題と温暖化・気候変動問題への対応です。

ごみ問題

近年、グローバル化によるモノの流れが増加したことで、当地域においてごみの処分の問題が極めて深刻な状態となっています。小さな島国では、土地はもちろん、人口も経済も小さく、人材も技術も不足しています。処分場を作る場所は少なく、焼却炉を作る資金も技術もありません。仮に援助で作ったとしても運営コストや管理技術がないのです。

共同行動計画では、「廃棄物処理」を重点課題の一つとして掲げ、PIF諸国の国家廃棄物管理政策の策定や日本の資金的・技術的協力が盛り込まれました。


 以下、共同行動計画より引用

  廃棄物処理
  1. 廃棄物処理が太平洋地域において最も緊急かつ困難な問題の一つであるため、PIF加盟国・地域独特の状況および特徴を考慮に入れ良く練り上げられた戦略を作成する必要がある。この戦略はなによりも啓蒙活動、政策手段、組織強化、および収集・処理・リサイクルの改善等を支援し得るよう策定されるべきである。
  2. この関連でPIF加盟国・地域は、以下の行動をとるよう努力する。
    (1) 国家廃棄物管理政策の策定および実施に必要な資源の供給
    (2) 処理すべき廃棄物の量をはっきりわかる程度減らすため、最少化のための活動を慫慂・支援すること
    (3) 域内で合意された最低限の能力基準を満たした国内廃棄物処理施設の設置および改良
  3. 以下の手段に関し、日本の支援が必要とされる。
    (1)南太平洋環境計画(SPREP)およびその他の地域機関による廃棄物処理のための地域戦略の策定
    (2) 10.で述べられているような行動を実行するために必要なPIF加盟国・地域の能力強化のための技術協力
    (3) 地域戦略に沿った廃棄物処理施設への資金協力
  4. この課題に対処するにあたり、日本をはじめとする同様な状況にある他国の経験をふまえ慎重な取り組みを行う必要がある。さらに、最大の成果を達成するためには関係する援助国・機関の協調が不可欠である。

温暖化・気候変動・災害対策

地球温暖化により海面上昇と気候変動が予想されています。大洋に囲まれた小さな島国では、気象災害の被害を受けやすい地形条件、大陸からの遠隔性、観測技術や防災体制の弱さから、気候変動に対して極めて脆弱な環境にあります。

共同行動計画では、地球温暖化に対し、京都議定書の未批准国に対し批准を強く要求するとともに、当地域の海面上昇・気候変動に対する科学的能力の向上や、防災体制づくりや災害発生時の緊急援助などに、各国と日本が協力することが盛り込まれています。
京都議定書からの離脱したオーストラリアが参加している中で、このような文言が明記されたことは評価できるものです。


 以下、共同行動計画より引用

  地球温暖化
  1. 京都議定書を批准したPIF加盟国・地域および日本の首脳は、まだ批准していない国に対し時宜を失することなく批准するよう強く求める。
  2. 首脳は、気候変動に対処する措置の実効性を確保するため、すべての国が参加する共通のルールに基づき地球規模の行動を起こすため、すべての可能な努力をすることを約した。
  3. PIF加盟国・地域と日本は、気候変動および海面上昇に対する太平洋島嶼国の理解と対応を向上させることを目標とする、その他の行動を支援する方策を探求する。双方は再生可能エネルギーに基づく地方電化(RERE)イニシアティブ、アジア太平洋気候変動ネットワーク(WSSD、タイプII)、アジア太平洋地球規模変化情報ネットワーク(APN)およびAPNの科学研究能力の向上プログラム(CAPaBLE)を推進する。
  脆弱性および災害対策
  1. 島嶼国の脆弱性に対応することは、環境のすべての分野に適用される横断的戦略を必要とする。そしてPIF加盟国・地域は災害に対する効果的な計画と対応への支援の増加を約束している。
  2. この分野への日本の支援は、研究と調査、啓蒙活動、環境計画・管理そして気象予報等の技術支援を中心に行われるべきである。
確実な実施

太平洋島サミットは、3年ごとに過去2回開催されてきましたが、このような行動計画は初めてまとめられました。この行動計画の実施を首脳レベルで合意したことと、毎年高官級で計画の実施をレビューするとの文言も盛り込まれたことも、評価できることです。

また、今回のサミットには、当地域に対する主要な援助国である豪・NZも参加していました。日本とあわせ援助総額の60%近くを占めています。サミットの2日目に、これら3カ国間で当地域の開発支援に対して共同政策対話を進めることと、「沖縄イニシアティブ」の実施を確認する旨の共同声明が発表されました。
まとめ

今回のサミットの成果自体は評価できるものですが、交渉プロセスの透明性・公開性は十分なものではありませんでした。ヨハネスブルグサミットでは、多様な関係者とのパートナーシップが謳われていましたが、今後は、こうした交渉プロセスの公開と、幅広い層の参加を求めていきたいものです。

私たちNGOとしても、行動計画が確実に実施されるように監視していくとともに、当地域における市民レベルでの協力関係を促進することで、上下両面から島嶼地域の問題に取組んでいきたいと思います。
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