気候変動による損失と被害 フィリピン

気候変動

フィリピン・気候変動影響現地の声

2013年11月に発生した台風ハイアンから約2年経った2015年12月に、2013年当時もっとも被害が大きかった地域の一つ、レイテ島タクロバン市周辺の農村や漁村を訪問。現在の様子や台風からの回復状況など知るため、聞き取り調査を行いました。その時のインタビューの様子を映像にまとめました。

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>気候変動〜フィリピン・巨大台風の傷跡〜(10分Ver.)
英語版
Climate Change~the Philippines Damage from the Super Typhoon~
Climate Change~the Philippines Damage from the Super Typhoon~ (Long ver.)

概要

●フィリピンと気候変動

フィリピンはバヌアツ、トンガについで世界で三番目に気候変動に対して脆弱な国と言われています1。南太平洋地域では1970年から現在に至るまでに、 約1℃の平均気温上昇が観測されています。乾期における高湿度、 海水温上昇、カテゴリー4とカテゴリー5の威力の強い台風の発生数の増加も報告されており(1975年−1989年に比べて1990年−2004年の間に二倍2)、気候変動の影響は深刻です。また、少なくともフィリピンの60パーセントの地域で、複数の災害の危険性にさらされているとされ、人口の多い地域では貧困などの社会要因も災害への脆弱性を高めています3

●スーパー台風 ハイアンによる被害

2013年11月8日、非常に非常に勢力の強い台風(スーパー台風と呼ばれる)ハイアンがフィリピン、レイテ島に上陸しました。フィリピン全土で約350万世帯が影響を受け、約90万世帯 (約400万人)が避難。また約60万戸が半壊し、50 万戸が全壊しました5。2014年4月時点で、死者数6293名、けが人28689名、行方不明者1061名6と報道されており、複数の地点で地滑りが発生。高潮による浸水被害、強風による建物被害、ココナッツ畑への壊滅的ダメージ、漁船の破壊などが発生しました7

●気候変動による損失と被害

気候変動の影響は、平均気温や海面の上昇、降水パターンの変化から森林火災の増大、海洋酸性化など環境や生態系への影響は多岐に渡ります。そういった変化に対し対策を講じることが、’適応と対策’という枠組み議論されてきましたが、排出削減が進まないと適応しきれない適応の限界を世界の科学者が指摘しています。気候変動による’損失と被害’という考え方が、近年語られるようになり、損失に対する資金メカニズムについても国際交渉の場で話し合われています。
>損失と被害について詳しくはこちら

FoE Japanは、2015年12月に、台風ハイアンの影響が最も大きかった地域のうちの一つである、レイテ島タクロバン市周辺の農村や漁村で聞き取り調査を行いました。その結果、2013年の台風ハイアンからまだ回復がままならず、その後にも繰り返し続く巨大台風の影響で、回復がさらに遅れているという現状が見受けられました。
>フィリピン調査の資料についてはこちら(PDF)

参考
注 1~4, M. Fisher “This map shows why the Philippines is so vulnerable to climate change”. November 12, 2013. The Washington Post.
注5 National Disaster Risk Reduction and Management Council, Republic of Philippines “Updates re the Effects of Typhoon “Yolanda” (Haiyan)” 17 th April 2014.
注6、7 National Disaster Risk Reduction and Management Council, Republic of Philippines “SitRep No.108 Effects of Typhoon “Yolanda” (Haiyan)” 3 rd April 2014.

★関連リンク
【COP21報告会】Climate Justice Now! パリ合意で気候と人々の生活は守られるのか?
緊急募金!支援の遅れがちな農村部に支援物資を!( 2016/1/6 )

 

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