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「未解決の問題すべての解決を サンロケダムの商業運転を中止して! 」 (2003.05.06)
2003年5月6日


未解決の問題すべての解決を

「サンロケダムの商業運転を中止して!」


  コルディリェラ民族連合(CPA)とアグノ川の自由な流れを取り戻す農民運動(TIMMAWA)は、ダムの推進派からの圧力や(電力購買)契約の再交渉が行なわれた結果得られたいわゆる(経費の)削減に屈せず、サンロケダムの落成式を行なわないよう、グローリア・マカパガル・アロヨ大統領に求めます。CPAは、サンロケダムが商業運転を行なえば、大きな財政的負担がフィリピン国民に残ると主張してきました。この巨大ダム事業の電力購買契約が再交渉にかけられたといえど、フィリピン電力公社(NPC)、つまり、フィリピン政府は、サンロケパワー社(SRPC)に対して、実際の発電量に基づいて計算される毎月の電力料金に加え、毎月およそ1000万米ドルの固定費用(設備容量費と維持管理費)を支払わなくてはならないからです。NPCが契約の再交渉の末に獲得した(経費)削減と呼んでいるものは、電力料金の削減のみで、それはSRPCに毎月支払うことになる固定費用に比べ、ずっと小さな額でしかありません。
 同様に、ダムの商業運転は収益を生み出すものでもありません。というのは、民間独立発電事業体がすでに発電超過の状況で電力の供給を行なっているなか、さらに過剰な電力を供給するだけだからです。深刻な国家財政赤字を考えれば、フィリピン政府がダムの商業運転を行ない、SRPCに毎月最低でも5億ペソ(注:約1000万米ドル。US$1=PhP52.5)に相当する莫大な費用を支払うことは不合理なことです。この費用は消費者の負担となるか、もしくは、フィリピン政府が負うことになります。これは、電力料金の支払いに加え、法外な料金負担をフィリピン国民に強いることとなり、さらに、限られた国家予算や政府資金がSRPCへの支払いに消えてしまうため、フィリピン国民が真に必要としている基本的サービスの提供に支障が出てしまうでしょう。したがって、(再交渉が行なわれた後でも、)依然として他に例をみないPPAという(不当な)契約は、フィリピン国民を無駄な事業のためにいたずらに増えてしまう財政的負担から解放するため、無効にされるべきなのです。   サンロケダム
 <サンロケダム建設現場 全体図 (上空から)>
写真右下に見えるのは、ダムによって堰き止められてできたダム湖。ダムの下流から写真左へ伸びる砂地は、ダムの建築資材を掘り出した採石場の跡。(2002年12月 FoE Japan撮影)
再定住地
 カマンガアン再定住地の売却された家(2003年4月)

砂防ダム
 ダルピリップ村バロコック集落の砂防ダム(2003年3月)
   フィリピン政府は、ダムの商業運転を行なうのではなく、影響を受ける地域社会の要求に真摯に取り組まなければなりません。この巨大ダム事業の建設が始まって以来、影響を受ける地域社会に対して約束されていた補償の支払いや持続的な生計手段の確保はまだ実現されていません。移転世帯の人々は、生活レベルの改善を約束されましたが、(移転先では)生計手段がなく、電気や水の料金を支払う余裕もないほどに苦しい状況が続いています。再定住地では、現在、家を売却する人も増えてきています。NPCが提供している生活再建計画も多くある一方で、これらのほとんどは持続的な収入源とはなっていません。同様に、被影響世帯の人々は、NPCの役人に20%から30%くらい補償の支払いを削減されたが為す術もなかった、また、生活再建計画のなかには、NPCが主張している額がすべて支給されていないものもあると主張しています。

 このような状況を受け、私たちは、フィリピン政府に、生活再建計画や補償の支払い、特に潜在的な汚職や収賄に関する独立評価・調査を行なうよう、また、被影響住民のために、より持続的な生活再建計画や収入源をもっと十分に確保していくよう要求したいと思います。同様に、経済的な損害を被っている何千人もの砂金採取者の人々は、金銭補償と持続的な生計手段を要求していますが、その正当な求めにもかかわらず、依然として補償を受けていません。NPCの役人と一連の対話を行なってきましたが、その成果も何もあがってはおらず、砂金採取者の人々は依然、彼らの正当な要求に対する回答を待っている状況です。

 上流のイトゴン町で影響を受ける住民らに関しては、イトゴン町バランガイ間連合(I-IBA)がイトゴン統合集水域管理計画(IIWMP)の実施について遺憾の意を表明しています。特に、下に流れていく土砂を収容し、堆積するのを防ぐためのチェックダム(砂防ダム)をいくつも建設することによって、実際に洪水が起こったり、田畑などの農地が破壊されたりしているからです。

 
 さらに、シャルピリップ・サンタナイ先住民族運動(SSIPM:ダルピリップ村の先住民族グループ)も、土砂堆積や上流で起こる可能性のある洪水を懸念しているが、ダムの推進派やフィリピン政府はダムの商業運転によって、直接の影響を受けることになる自分たちの窮状を無視していると遺憾の意を表しています。

 イトゴン町評議会が承認を撤回したことは、歓迎すべき動きです。というのは、イトゴン町の被影響住民の深刻な懸念に対して、フィリピン政府やダムの推進派が真摯に取り組んできたかに関して、I-IBAやSSIPMがこれまでずっと繰り返してきた主張を唯一正当と認めているからです。(このイトゴン町評議会の承認撤回を受け、)現在、事業の影響が及ぶ選挙有権者が所属している関連自治体が、同事業を好意的に承認することを要請している地方自治法の条項を(同事業が)遵守していないという法的問題が浮上してきています。私たちは、上流への悪影響を懸念し、ダムの商業運転を認可しないよう求めるイトゴン町の立場を歓迎します。

 CPAとTIMMAWAは、この無駄な事業の電力購買契約(PPA)を無効にし、また、被影響住民の権利を認識して、サンロケダムの建設の結果、経済的に損害を被ったすべての人々に対して持続可能な生計手段を提供するよう、フィリピン政府に圧力をかけることで、サンロケダムの商業運転を行なわないよう求める私たちの姿勢をフィリピン市民が支持してくれるよう呼びかけたいです。私たちは、商業運転の中止を要請する呼びかけを、社会公正のための行動として、大統領が率先して進めてくれるよう期待したいと思います。この事業は、費用ばかり高くつき、役に立たなかったバタアン原子力発電所の二の舞の事業で、フィリピンの国民に新たな財政負担を課し、影響を受ける何千もの人々の生活をこれまで以上に苦しめることになります。

 CPAとTIMMAWA、そして、私たちのすべての国内外のパートナーは、この事業が、海外の資本家や便宜主義的な政府関係者を含むフィリピン現地での協力者にのみ恩恵をもたらす事業であることから、事業への反対を続け、この非人道的かつ破壊的な事業の実態を明らかにしていく必要があると考えています。

コルディリェラ民族連合(CPA)
アグノ川の自由な流れを取り戻す農民運動(TIMMAWA)



 プレスリリース (2003.05.02)
 「サンロケダム 商業運転を開始」

 https://FoEJapan.org/aid/jbic02/sr/press/20030502.html

 プレスリリース (2003.04.30)
 「サンロケダム 地元自治体が支持を撤回」

 https://FoEJapan.org/aid/jbic02/sr/press/20030430.html
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