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ミンダナオ石炭火力発電所
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地元の住民・NGOグループが州知事・議会に提出したレター  (2003.06.30)
2003年6月30日


PEOPLES CAMPAIGN AGAINST THE MINDANAO COAL-FIRED POWER PLANT
(People's Camp)
ミンダナオ石炭火力発電所の建設に反対する住民運動

OPEN LETTER

 私たち、People's Campは、電力開発社(State Power Development Corporation:SPCD)の推進するミンダナオ石炭火力発電所(210メガワット)の建設計画により、広範にわたって悪影響が及ぶのではないかと懸念しており、一丸となって同事業に反対することを示すため、このレターに喜んで署名する。私たちが同事業に反対する理由は以下のとおりである。

 人体への健康被害:グリーンピースがマウバン、スアル、カラカ、マシンロックといった(フィリピン国内の既存の)各石炭火力発電所において灰のサンプルを取り行なった調査で、大変なレベルの水銀やその他の重金属(ヒ素、クロム、鉛)が検出された。「フィリピン電力公社(NPC)によれば、水銀の99.5%は公害防止装置をすり抜け、燃焼中に煙突から排出される。」水銀は大気中に排出されるだけでなく、廃棄物処理場に回されるものもあるが、それ自体600マイル(約960キロメートル)もの長距離を移動することができる。マウバン石炭火力発電所(440メガワット)では、1年に25万2000トンもの灰が排出されているが、そこで取られた灰のサンプルは19mg/kg(固体重量)という水銀値を示していた。水銀は、ティースプーン1匙のたった70分の1の量で10ヘクタールの湖を汚染してしまい、そこに生息する魚を人間が消費することはできなくなってしまう。

 水銀のような有毒廃棄物は神経系の問題を引き起こしうる。また、鉛は、神経系の病気や貧血症、心臓血管系の病気、骨の代謝に関わる病気を引き起こしたり、腎臓機能、生殖機能にも損害を与え、子供の認知や行動の発達にも影響を及ぼしうる。ヒ素や六価クロムは発癌物質として知られている。

 環境への損害:石炭は化石燃料のなかでも最も炭素含有率が高い。パンガシナン州のスアル石炭火力発電所(1200メガワット)のケースでは、(事業者とフィリピン政府間の)25年間の契約期間中に2億3840万メトリックトンの炭素が排出される。二酸化炭素は地球温暖化の原因となる主要な温室効果ガスである。最近の研究では、作物の産出量の減少、サンゴ礁の白化、マラリア等の疾病の増加も地球温暖化の影響であることがわかっている。

 私たちはまた、発電所で使用された温水がマカハラー湾に排出された場合に起こりうる影響についても懸念している。というのも、温排水がその海域の海洋生態系に損害を及ぼしうるからだ。飲料水が汚染されること、また、排出される灰が風で四散し、植物の成長を妨げたり、呼吸器系の問題を引き起こす可能性があることも懸念される。

 同石炭火力発電所は変圧所も含めると、フィビデック工業指定地域内の85ヘクタールの農地を使用することとなり、小さい土地にコーンや野菜を植えて生計を立てている住民は確実に経済的な打撃を被ることになるであろう。補償は、家屋についてはその実際の査定額のたった10%しか支払われない。これは、フィビデックと州政府間で取り交わされた合意覚書(MoA)に従ったものであるが、私たちはこの補償の取り決めについて、一切協議を受けたことはない。上述の(補償)額では、一家族が人間的な条件の下で生活するのに十分な家を新しく建てるにはまったく不十分である。

 過去の経験やこの地域で(過去に)移転を迫られ、カリンガガン、ダヤワン、サント・ニノ、カシングロットといった村に移転した何千人もの人々をみると、彼らはまったく職や雇用機会に恵まれておらず、その上、農業を営むスペースすらない状況だ。以前の移転の際に約束された雇用は現実のものとなっていない。また、フィリピンの別の石炭火力発電所の影響を受けた人々の経験では、仕事を与えられたとしてもほんの少数の人たちのみで、その職種も地位や賃金の低い労働に集中していた。

 何千もの人々が依存してきた漁業、農業、観光業といった地元に根付いた生計手段の喪失は、近くの町や州に出て行けば代替できるというものではない。

 3000ヘクタールの土地がフィビデック工業指定地域の管理下におかれて以来、すでに28年が経っているが、その地域は概して、農地のまま残っている。そして、そこには農業を生業としている家族が多くいる。この地域を産業センターにするという壮大な計画は幻想のままで、多くの工場がすでに閉鎖してしまった。この地域は、むしろ、農地として使用されているのだ。

 カラカ石炭火力発電の公害の影響を受けた人々が、Magandang Gabi Bayanの特集で取り上げられていたが、そのテレビ番組は私たちがどうなるかを明確に示している。

 私たちは住民、つまりは電力消費者として、莫大な請求書の支払いを負担することになる。というのも、同発電所を運転する事業者らは彼らの資本利得を確実に取り戻せるよう保証されているからだ。また、輸入石炭を使用することにより、さらに(電気料金は)高くつくことになる。

 私たちは毎月の電気料金の請求書に記載されている電力購買調整費分の支払い増という形で、すでにその負担を強いられてきた。独立発電事業体(IPP)に対する財政的負担の矛先が消費者に向けられ、私たちはそれに甘んじなければならないからだ。そして、電力開発社(SPDC)、つまり、ミンダナオ石炭火力発電所によって、その負担は増加することになる。

 石炭火力発電所に関する情報は偏っており、石炭火力発電の負の側面は提示されてこなかった。この点に関し、私たちは住民に十分かつバランスのとれた情報が提供されるべきだと考える。

 州政府として、より安価で環境にやさしい代替の解決策を見出すことは可能である。例えば、一つの代替案として、(既存の)水力発電所の集水域の状況を改善することで、1000メガワットの発電が可能になる。また、すでに他国や(隣の)ネグロス島でさえ取り組まれている風力や太陽光、最新のバイオマス、波力などのエネルギーの探究をしていくべきだ。

 以上の理由から、私たちはここに結束し、Antonio Calingin州知事、また、州評議会議長であるMiguel de Jesus副州知事に対し、選挙民の窮状を真摯に考慮していただけるよう、以下の事項を求める。

1. 石炭火力発電所の悪影響に関する新しいデータの入手を受けて、フィリピン上下院が(現在)行なっているような、石炭火力発電所の引き起こす環境及び人体への影響に関する調査が行われるべきである。

2. 上下院が既存の石炭火力発電所の悪影響に関する調査を継続している間は、影響を受ける住民のこれ以上の移転及び同石炭火力発電所の建設に関連するあらゆる活動を凍結すべきである。

 また、建設作業に着手する前に、州政府及びその他の政府機関は上下院の調査結果を待ち、その間、すでに移転させられた住民がサイト(フィビデック工業指定地域内)にある彼らの土地で農業を継続できるよう対応をすべきである。

3. 影響は遠く広範囲に及ぶので、ヴィラヌエバ町及びタゴロアン町のみでなく、直接影響を受けうるミサミス・オリエンタル州全域の住民に対し、バランスのとれた情報が提供されるよう、州政府が保証すべきである。

4. あらゆる調査が依然として継続されている間は、事業推進派の着工許可として使用されうる環境適合証明書(ECC)を凍結すべきである。

5. 以前は入手することのできなかった適切な調査やバランスのとれた情報、また、新しいデータを考慮して、ミンダナオ石炭火力発電所に対する州政府の承認を撤回すべきである。


People's Camp呼びかけ人の代表として:

(以下、ヴィラヌエバ・タゴロアン農民組織(VTFA)、ミサミス・オリエンタル州農民組織(MOFA)、タスク・フォース・マカハラー(TFM)の代表計7名の署名)



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