【プレスリリース】カナダの21の環境団体、国際協力銀行に対しガス事業への融資拒否を要請

化石燃料

先日、カナダの21の環境団体(注1)が国際協力銀行(以下、JBIC)に対し、同銀行が融資を検討しているLNGカナダ事業(ブリティッシュコロンビア州で進んでいる液化施設等含むターミナル建設事業。日本からは三菱商事が出資。)について、気候変動対策等の観点から融資検討をやめるよう求める書簡を提出しました。

今年3月にも現地先住民族グループがJBICに対し事業に対する懸念と融資撤退を求める書簡を送付しており、JBICに対する現地市民社会からのプレッシャーが高まっています。

カナダの環境団体Wilderness Committeeの気候変動キャンペーナーであるピーター・マッカートニーは、「この事業は、完成すればカナダでもっとも汚染を引き起こす施設の一つになり、カナダ政府の気候変動目標達成を困難にする。国際エネルギー機関(IEA)が先週述べたように(注2)、気候変動を安全な水準に抑える希望を残すためにも、新たな化石燃料インフラへの投資は止める必要がある。」とコメントしました。

FoE Japanの気候変動・エネルギー担当の深草亜悠美は「気候変動影響に加え、LNGカナダ事業と不可分一体であるコースタル・ガスリンク・パイプライン事業において先住民族や現地のNGOが反対の声をあげている。特に先住民族は彼らの土地を事業に使うことに同意しておらず、先住民族の権利が侵害されている状況にある。人権・社会面からも懸念の大きい事業であり、JBICは融資を行うべきではない」とコメントしました。

詳しくは書簡をご覧ください。
原文はこちら

注1:署名団体は下記参照。なお、署名団体の合計は22団体で、うち21がカナダを拠点とする団体。
注2:国際エネルギー機関「Net Zero by 2050: A Roadmap for the Global Energy Sector」2021年5月


2021年5月25日

東京都千代田区大手町4-1-1
国際協力銀行
代表取締役総裁 前田匡史 様

この度は、気候変動に対して断固たる行動を取るべきだと考えている230万人のカナダ人を代表する団体一同として本書簡を差し上げます。私たちは国際協力銀行に対し、ブリティッシュ・コロンビア州キティマットにおけるLNGカナダ事業へのいかなる投資も拒否するよう要請します。この事業が完成すれば、カナダで最も二酸化炭素を排出する施設の一つになります。

カナダ政府は2050年に実質ゼロを約束していますが、LNGカナダ事業が操業することで、年間9.6メガトンの温室効果ガスを排出することになります。米国は最近、日本に対し、液化天然ガス (LNG) を含む化石燃料事業への国際的な公的融資を停止するよう求めたと理解しています(注)。私たちはバイデン政権の要請に同調し、御行に対してLNGカナダ事業への投資計画を止めるよう要請します。

また、私たちはWet’suwet’enの伝統的酋長たちとの連帯の意を表明します。彼らは先住民族の権利に関する国連宣言で求められているように(本来であれば事業実施主体が先住民族から得るべき同意を得ておらず)、コースタル・ガスリンク・パイプラインが自分たちの領域を横断することに同意したことはありません。このパイプラインは、LNGカナダ事業と不可分一体です。

LNG事業は、ガスを燃焼してガスの液化を行うため、大きな環境汚染につながります。上流でのガス採掘とガスの処理の工程で排出されるメタンが、ガス事業による気候への影響をさらに悪化させます。日本は温室効果ガス排出46%削減を約束したのにもかかわらず、さらにLNGに投資することは容認できません。

私たちは、国際協力銀行に対し、LNGカナダ事業への融資を拒否し、全ての化石燃料を公的投資の対象から除外する厳格な気候政策を採用することを求めます。ご検討いただきありがとうございます。何らかの進展があればお知らせください。

注:日経新聞「脱炭素30年目標 首相、気候サミットで提示 米、事前折衝でLNG支援停止を主張」 2021年4月19日

署名団体:
Wilderness Committee
Stand.earth
Dogwood Initiative
Greenpeace Canada
Équiterre
Solidarité Gaspésie
Council of Canadians – Le Conseil des Canadiens
Sierra Club BC
Canadian Health Association for Sustainability and Equity (CHASE)
Leadnow
BC-CAPE Canadian Association of Physicians for the Environment
350.org Canada
Environnement Vert Plus
Sustainabiliteens
350.org Japan
Prospérité sans pétrole
Environmental Defence
La Planète s’invite au parlement-Gaspé
Oil Change International
Fondation Coule pas chez nous
My Sea to Sky
Mobilisation climat Trois-Rivières (MCTR)

書簡に関する連絡先:
ピーター・マッカートニー 気候変動キャンペーナー,Wilderness Committee
Peter [@] wildernesscommittee.org

 

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