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タイガの保護は21世紀の危機管理
破壊は、熱帯雨林だけでなく寒帯・亜寒帯林でも進む

冬の気温はマイナス40度にもなるシホテ-アリニ山脈のタイガ − はるか南からやってきてその伐採権を獲得したマレーシア企業の勢いは、何を意味していたのでしょうか?

マレーシアの企業が極東ロシアにやってきてタイガの伐採権を獲得したの同じ年、極東ロシアの極東林業研究所という機関のL.コンドラショフ氏がレポートにこう記しています。手がかりが含まれているにかもしれません。

「金融、経済、組識再編などの変化の結果、地域の林産複合体、特に伐採部門に変化が生じた。伐採企業数は大幅に増加し、彼らは輸出および輸入(家具、梱包用資材など)にも積極的に手をのばし、流通面へも大きな影響を与えている。ここ10年間の急激な情勢変化は林業の経営システムを変え、森林保護への支出を減少させ、森林資源をコントロールする条件を悪化させた。自然保護局によると、ロシア全体では、5,000万立方メートルの針葉樹丸太が道路端で腐るにまかされ、3,000万立方メートルの工場廃材が燃やされたり地中に埋められたりしている。平均、1ha辺り20立方メートルの木材が無駄になっている。しかし、極東とシベリアでの状況はさらに悪い。ハバロフスク地方では60立方メートルを無駄にしている企業もある。」
(「ロシア極東林業の実態と対日輸出 − 国内需要の減退で強まる輸出依存」1997 傍線著者)
【新聞記事】神奈川新聞1998.6.14、共同通信配信、写真左上:グリーンピース・ジャパン、左下:福田正己、左上:辻垣正彦、右下:WWF-J

その辺りを頭のどこかに置きながらもうひとつの手がかり、− 今度は少し大きめの枠で見た、事態の局面 − に目を向けてみます。

それは "北の森の危機"です。

第2話で、熱帯雨林に対して北の森林が"北方林"と呼ばれて区別されることを述べましたが、北方林とは読んで字のごとく、北半球に見られる広大な寒帯林、亜寒林、温帯林を全体として捉えた言葉です。その北方林に危機の迫っているという点が、もうひとつの手がかりです。

アラスカやカナダ、グリーンランド、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドそしてロシアの、天然の森、 地球の森林総面積の40%、蓄積の45%を占める、北方林の特徴は、針葉樹中心の森林であること−厳寒の冬、短い夏という気候に耐え、永久凍土上の薄い表土にも生育することの出来る、カラマツその他の針葉樹が中心−の森林であることでした。

この北方林の危機が、近年、各国の科学者や専門家の間で新たな地球環境問題としてクローズアップされるようになりまりました。かつては、森林の問題といえばすなわち熱帯地方の森林破壊、と考えられていましたが、その後、世界各地で状況が変わってきました。

地球環境問題の分析で世界的な注目を集める、アメリカのワールド・ウォッチ研究所が、寒帯林の破壊の現状について1995年のレポートで次のように述べています。

「大規模な森林伐採、とマスコミが言うとき、ほとんどの場合それは熱帯雨林を指している。(略)しかし熱帯雨林の破壊は森林破壊の一部に過ぎない。もうひとつの巨大な森林帯が、熱帯雨林と同じかあるいはもっと急速に、今失われつつある。北極を取り巻く寒帯林は、世界最大の陸生生態系を形成し、同時に世界の工業用木材と木材繊維の主要な供給源となっている。その木材の多くは、熱帯雨林を伐採しているのと同じ企業によって伐採されている。そして熱帯雨林と同様、寒帯林の伐採も、貴重な自然の恵みをとてつもなく不当に取り扱っており、固有の文化を脅かし、地球の多くの地域の生物多様性を損なっている。しかし、寒帯林の伐採については多くは語られていない。熱帯雨林のようにポピュラーにはなっていないのである。」

− もはや、北の国々の森林破壊によって生じる問題が、熱帯地方の場合と肩を並べるほどになってきたという訳です。1998年6月14日の神奈川新聞の記事は「森が減り続けている。森林問題イコール熱帯林伐採というのは過去の話で、今や世界中で破壊が進んでいる」という書き出しに続いて、カナダの太平洋沿岸部の温帯雨林(グレートベアレインフォレスト)や、シベリアのタイガで、伐採による破壊が進んでいると伝えています(「見出し「森を未来へ−世界中で破壊進む−皆伐で生態系の危機」」。

第1話でみたように、北の森は熱帯雨林とはまた別の、地球や世界にとって大切な様々な役目を持っており、その破壊を食い止めることはこれから世界が行っていくべき地球の"危機管理"のひとつと言っても良さそうです。 マレーシアからやってきた会社の例は氷山の一角に過ぎません。伐採会社各社のこの勢いは、何を表していたのでしょうか? そしてロシア産の木材を使うことは、ほんとうに地球にやさしかったのでしょうか?

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