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海洋温度差発電の推進者がサイパン発電所の建設計画を再考する

(2003年7月28日 北マリアナ諸島連邦・サイパン)

米国メリーランド州を拠点とする、5千万ドル(約60億円)規模のサイパン海洋温度差発電所(Ocean Thermal Energy Conversion Plant)建設計画の推進者が、先のサイパン訪問に引き続いて、計画書の見直しを行っていることが、北マリアナ連邦公共設備企業体(the Commonwealth Utilities Corp. 以下CUC)関係者の話でわかった。

CUC取締役会長 ハーマン P. サブラン氏(Herman P. Sablan)は、インタビューの中で明らかにしたところによると、シー・ソーラー・パワー・インターナショナル(Sea Solar Power International 以下SSPI)社長 ロバート J. ニコルソン3世(Robert J. Nicholson V)による先日の視察の際、島の地理的状況が従来予想していたものとは異なっていたことがわかった。

サブラン氏によると「SSPI社はまだ準備できたわけではない。彼らが言うには、実際の状況が予想と異なっていることがわかった。そのため、当初の建設予定地が発電設備を建てるのに適切かどうかを見きわめるため、彼らは発電所建設計画書を見直す予定だ。地図上でよさそうに見えた場所が、実際に見ているとそうではなかった。今現在、同社は従来とは違う見解だ。」

サブラン氏によると、SSPI社はサインパンの海岸から発電設備を設置する水深までの間がかなり離れていることを懸念しており、その深さまで到達するには大量のパイプが必要になるだろうとしているという。

CUC側に関する限り、サブラン氏は、「我々はSSPI社が実際に現地を視察し、自分達の目で現地の状況をアセスメントするために訪れたことを歓迎している。」と述べた。

ニコルソン氏は先月の来島の際、サブラン氏を含む自治政府関係者と会談している。

今年の初め、CUCの執行部門とSSPIはサイパン島に海洋温度差発電所建設パイロットプロジェクトに関する申し合わせの覚書を交わした。

発電所は、その覚書に基づき、1日に約10メガワットの電力と300万ガロン(約79万リットル)の真水を生成するよう計画されている。その提案書では北マリアナ連邦の費用負担は一切ないとされていた。

しかしながら、サイパン島上院議員レイモン S. グエレーロ氏(Raymon S. Guerrero)とニコルソン氏がワシントンD.C.での会合で対立したあと、4月になってプロジェクトを見直すという報告が浮上してきた。

グエレーロ氏はニコルソン氏が無礼で、プロとして失格であると批判していた。ニコルソン氏の方は、グエレーロ氏の態度には失望したとの手紙を知事ジュアン N. ババウータ氏に書いている。

そうした状況にもかかわらず、北マリアナ連邦執行部門は当プロジェクトを止めるつもりはなく、SSPIは予定されている計画中止を考え直すだろうと言った。

北マリアナ連邦執行部門は、覚書は、単にSSPIが北マリアナ連邦に対し投資の可能性について調査・提案するための条件を取り決めたものだとも言っていた。

OTECは電力を生み出すために大量の海水を利用する。作動流体としての海水はそれを取り囲む海面付近の温かい海水によって暖められると、アンモニアガスを発生させ、そのガスによって発電機が回るという理論に従ったものだ。

温められた海水は、低温で沸騰させるための低圧分離チャンバーに送られ、水蒸気を発生し、それを凝縮したものを集めて、淡水として人間が利用する。塩の結晶は取り除かれている。

報告によれば、このシステムを利用することで、250ガロン(約65.7リットル)以上の真水を作るのにわずか1ドル(120円)以下のコストしかかからないとされている。

(Saipan Tribune/PIR)

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