日本の経済協力が新たなダム問題を生まないために・・・
世界ダム委員会最終報告書


◆ ◆ プレスリリース◆ ◆

2000年11月16日

「国際協力銀行のフィリピン、サンロケダム融資」

  国際協力銀行が98年10月から融資を行っており、現在も建設中のフィリピン、サンロケ多目的ダムは、世界ダム委員会(WCD)の報告の中でも輸出信用機関のずさんな社会環境配慮の事例として以下のように述べられている。「輸出信用機関は一般的に社会・環境政策が不十分であり、必ずしも国際的に認められた基準やガイドラインを遵守していない。中国の三峡ダム、トルコのイリスダム、インドのマハシュワダム、フィリピンサンロケダムの事例を見ると輸出信用機関が彼らの支援するプロジェクトの社会・環境影響をより詳しく調査する必要があることが分かる。」

● フィリピン、サンロケ多目的ダムとは:
フィリピンルソン島東北部を流れるアグノ川に建設中の多目的ダム(発電/34万5千キロワット、灌漑、水質改善、洪水制御)。貯水容量が8億5千立方メートルと日本最大の徳山ダムよりも大きく、アジア屈指の大型ダムといわれている。総工費約1200億円。うち75%にあたる約900億円を国際協力銀行が日本の商業銀行とともに融資。民間企業体が25年間発電所の運営管理を行いその後フィリピン電力公社に運営管理を移行する、BOT方式。丸紅、関西電力などが民間企業体であるサンロケパワー社に出資している。

● 世界ダム委員会の勧告とサンロケダム:
世界ダム委員会は、その勧告の中でプロジェクトを進める際には「プロジェクトが計画された段階で、先住民族及び部族の人々の自由な協議と情報公開が確保された上での事前の承諾がなければならない」としている。サンロケダムの上流にはイバロイ、カンカナエ、カラングヤといった先住民族の人々が生活しており、ダムは彼らの社会的、経済的、文化的な生活に大きな影響があることが懸念されているにもかかわらず、彼らのプロジェクトへの承認はいまだに取られていない。

● サンロケダムと国会:
サンロケダムに関しては、日本の国会議員からも再三にわたって国際協力銀行に対して問題が指摘されてきている。公共事業チェック議員の会(会長:中村敦夫参議委員議員)は11月16日付でサンロケダムに対する談話(別紙参照)を発表し、国際協力銀行に融資の見直しを求めている。

● サンロケダムとNGO:
世界39カ国109団体のNGOはその要望書(別紙参照)の中で、すべての公的金融機関が世界ダム委員会の勧告を受け入れ、計画中及び建設中のすべてのダムの見直しを行うことを求め、その間すべてのプロジェクトを一時停止することを求めているが、国際協力銀行が融資するサンロケダムは早急に見直しが行われ、ただちに建設の一時停止を決断しなければいけないプロジェクトの一つである。

*フィリピン、サンロケ多目的ダムに関するさらに詳しい情報はwww.foejapan.org/aidあるいは、地球の友ジャパン(担当:松本, Tel:03-3951-1081)まで

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