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現地レポート(1)
「いつになったら気づいてくれるの?国際協力銀行」 (2002.10.16)
2002年10月16日


いつになったら気づいてくれるの?国際協力銀行

人々の生活に影を落とす巨大ダム
9月初めから10月初めにかけて1ヵ月、国際協力銀行の融資で続けられるフィリピン・サンロケダムの建設現場周辺で、ダム建設の影響を受けている人々の聞き取り調査を行なってきました。これまでにも多くの問題が住民・NGOから指摘されてきましたが、それを解決せずにきた代償か、サンロケダムの影響を受けている人々の生活難の陰がかなり色濃くなってきています。

プロジェクトは1998年に着工してからこれまでに約98%が完了。8月に住民の強い反対の声を押し切って開始された貯水により、すでにダム湖の水位は約152m(堤の高さは200m)にまで達し、10月中に発電機の試運転が始まるとも伝えられています。

 しかし、プロジェクトが順調に進む一方で、現地の住民は、

 (1)アグノ川沿いでの砂金採取ができなくなり、

 (2)土地の収用で農地を失い、

 (3)プロジェクト・サイトでの露天掘りの採石作業が原因で起こっている水不足のため、農業ができなくなり、

 (4)8月に始まった貯水によってアグノ川の流量が減少したため、水不足で農業ができなくなり、

 (5)ダムの建設現場で雇用されていた数少ない人々も解雇され、

――あらゆる生計手段を奪われた今、今後の生活の目処も立てられず、不安な日々を過ごしています。
  ダムと貯水池
 <ダムと貯水池>
 撮影日の時点で、ダム湖の水位は約125m。(2002年9月 FoE Japan撮影)


灌漑用水路
 <水の涸れた灌漑用水路>
 1998年のダム工事着工以来、水が来なくなり、5年間、使われていない。この農業収入の喪失に対する補償は支払われていない。(2002年9月 FoE Japan撮影)
採石場跡
 見渡す限りに広がる採石場の跡。昔は、農地だったという。

カマンガアン再定住地
 生計手段がないため、家を売り、再定住地を後にする人が増えている。
   実際、事業者が用意した再定住地の一つには、1999年に約180世帯の人々が移住しましたが、そのうち、すでに約30世帯の人々が生計を立てられず、家を売却。また、約30世帯の人々が家をレンタルで他人に貸している状況です。再定住地に依然住み続けている住民も、「毎月の水代、電気代を払うのさえ苦しい。このまま生計手段が何も見つからなければ、自分も家を人に売ってこの地を離れるしかない。」と、彼らの生活が厳しいことをにじませていました。

事業者はプロジェクトが始まるにあたり、人々の生活がよくなることを約束して合意を求めたそうです。しかし、生計難から学校をやめ、親の生計を助けようとしている子供も出てきている現在の状況を見れば、その約束が守られるどころか、以前の生活水準すら維持できていないことは、誰の目にも明らかです。「事業者の用意した生活再建計画を引き続きモニタリングしていきます。」いつもこう答える国際協力銀行は、その生活再建計画がうまくいっていないこと、また、問題が一向に解決されていないことに本当に気づいていないのか、大きな疑問です。

9月12日、ダムの影響を受ける約400名の人々が、マニラの日本大使館前で抗議活動を行ないました。「自分たちの生活する権利」や「融資の凍結」を求める声とともに、「できることなら昔の土地で元通りの生活をしたい」という、彼らのもう叶わない願いこそを真摯に受け止め、早急に適切な対応をとることが国際協力銀行に求められます。



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