コミュニティ適応プロジェクト~マングローブ再生活動

気候変動

マングローブ再生活動|活動報告

インドネシアの漁村の気候変動影響

浸水するコミュニティの道路

インドネシア・スマラン市の漁村では、海面上昇や高潮等の気候変動の被害を受けています。近年は、水面ぎりぎりに建つ家は、大潮の日には完全に水に浸かってしまいます。

下水の管理もされていないので、屋内にまで汚水や上流の工場廃水が入り、感染症や下痢等の病気も増加しています。

沿岸部一帯に広がるエビや魚の養殖場は、侵食や塩害の被害を受けています。さらに高潮時には引き潮によってエビや魚を失います。高波が続いて海での漁もほとんどできなくなりました。

マングローブの働き

マングローブが切り開かれた養殖場
海岸近くに残るマングローブ林

マングローブは、海水と淡水の混ざりあう場所に生息する植物です。様々な種類があり、FoE Japanの支援するインドネシアの漁村には、21種類が生息しています。

マングローブは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスをたくさん吸収してくれることからも温暖化防止の手段としても注目が高まっています。そして、現在住民たちに深刻な被害をもたらす浸水や侵食を緩和してくれます。

さらに、マングローブは、「海のゆりかご」とも呼ばれ、水を浄化しながら豊かな生態系のバランスを守る作用を持ち、環境の保護と伝統的な漁業の両立を可能にしてくれます。

インドネシアでは数十年前、養殖場の拡大に伴い豊かだったマングローブ林を大規模に失いました。現在は、政府もマングローブの重要性を見直し、再生に取り組んでいますが、事業に住民参加を欠いているため、再生はなかなか進みません。

FoE Japanは、住民が主体的にマングローブの再生・保全を持続的に管理できるように支援していきます。

プロジェクト概要

マングローブを植林する現地住民
植林されたマングローブの苗木

現地のNGOや大学、行政と協力し、気候変動に関する情報提供、住民参加型ワークショップ、マングローブの植林・管理研修等を通してコミュニティのエンパワーメントを行っています。

【活動地】 
インドネシア 中部ジャワ州 スマラン市 トゥグレジョ地区
 広さ: 約545ヘクタール(うち67%が養殖場)
 人口: 約6800人

環境・・・過去5年間で3.7cm海面が上昇、沖の小島や海岸線は侵食により毎年失われています。浸水により養殖場のえびや魚は塩害の被害を受けている。
2008年に生態系調査を実施したところ、21種類のマングローブが生息しており、伐採や侵食のリスクを避けることができればマングローブの生息に適した環境条件は整っている。

【目的】
住民参加型マングローブ再生・管理手法の導入による持続可能で災害に強い沿岸保全対策を地方政策として普及すること

【期待される成果】
・浸水被害の緩和、高波被害の緩和、浸食防止
・養殖業・漁業収入の安定、新規産業の開発
・地方政府の沿岸保全政策の強化、コミュニティの・保全活動のネットワーク化

【活動内容】
・地方政府のキャパシティ・ビルディング、関係機関の連携体制の構築
・コミュニティの組織化、住民参加の促進
・コミュニティへの植林・管理研修
・コミュニティへの経済的インセンティブの導入

マングローブ再生活動|活動報告


  

 

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