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八王子市・宇津木の里山再生プロジェクト。活動内容や次回の里山活動のご案内をいたします。
 
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南伊豆・旧薪炭林研修ツアー 2003.5.24-25

人の暮らしが関わることで、うまく保全されていた里山は、これからどうなるのか?
宇津木の森も、昔は薪や炭を利用したり、落ち葉を集めて畑に入れたり、人が利用することで循環していた森ですが、その循環が絶たれた今、私たちは、どんな方法で保全をしようかと考えています。

そこで、南伊豆にある東大の演習林「樹芸研究所」で、むかし薪炭林として維持されていた森の植生や遷移について、実際に見て学ぼうという研修ツアーを行いました。一行はスタッフ含め14人。2日間、とても勉強になり、とても楽しい旅になりました。

樹芸研究所の先生の親切な解説で、森を歩きながら、里山の昔と今について、年月を経て植生がどんなふうに変化していくか、森林が炭素を吸収する機能について、などを知り、竹林での間伐作業や炭焼きの体験もできました。

里山づくりは、その場所の特徴や特異性は何か?を掘り下げていくことが大切で、悩みながら、楽しみながら、地域に根ざしたものを創造していくことです、というメッセージもありましたが、今回見たこと、学んだことを、これからの私たちの活動にもつなげていきたいと思います。

旧薪炭林の見学 / 竹林の手入れ / 竹炭焼き / 荒れた棚田を蓮池に再生

 

旧薪炭林の見学

▲70年生のシイ林を散策

樹林芸研究所の森は、森林・樹木の多様性保存を研究している森で、広葉樹の人工林が多いのが特徴です。

昔は、薪や炭を利用するため落葉広葉樹の森を維持していましたが、もともと、シイやカシなどの常緑樹が優占する地域なので、薪炭林からシイの林へと植生が遷移しています。

常緑樹が優占するようになると、下層には日陰に強い常緑植物が生育するようになり、上層、下層が同じ樹種になる安定した森林ができてくるそうです。
それでも常緑樹の林は光が届きにくいので、上層を間引き、光が入れることで、林床の植生を増やすことができます。しかし、極端に手を入れると、今度は日当たりを好む外来種が入ってきてしまうので、そのバランスが難しいところだそうです。

シイの林のほか、クスノキの人工林、スギ・ヒノキの人工林、熱帯植物研究のためのユーカリの林もありました。

中でも特徴的なのが、50haもあるクスノキの人工林。クスノキは常緑広葉樹ですが、そのわりに林内は明るく、この地域固有の植物が豊富だそうです。美しい木なので、公園や街路樹に人気があります。昔から、タンスの内張りや、仏像など細工品、樟脳の原料などとして使われたそうです。

 

樹芸研究所の先生の話を熱心に聞く参加者たち。
一部、ユーカリの林も。ここでは熱帯性の植物の研究をしている。
間伐材で作った階段。腐りにくくするため、材は焼いてから使うそうだ。
林床には、ウラジロシダが。正月の飾りに使うのがこれ。
日当りがいいと地面の植生が豊か。でも良すぎると外来種が入ってくる。
クスノキの人工林。背の高い、立派な木だった。
スギ・ヒノキ人工林。間伐しているスギ林と、していないヒノキ林が隣接。
貴重といわれる「ナチシダ」。間伐をしたら一気に増えたそうだ。
上の写真、左がスギ、右がヒノキ。地面の植生の状態が対照的だった。
     

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竹林の手入れ・間伐体験

シイ林の見学のあと、竹林に移動。竹の生態や手入れの仕方についてお話を聞き、間伐作業を体験しました。

この孟宗竹(モウソウチク)という竹は、昔、中国から入った帰化植物で、西日本を中心に、食用として利用されてきました。

1970年頃から海外の安い竹の子が入ってくるようになり、また農村の高齢化もあって、放置竹林が増えました。 地下茎が年に6〜8mも伸びて増殖します。

そのため、一坪に一本程度(林の中でかさをさして歩ける程度)になるように、間伐の手入れが必要です。
樹芸研究所では、竹炭にして利用しています

 

のこぎりで3分の1、切り込みを入れた後、反対側少し上の位置から切り込むと倒れる。
倒した竹は、運びやすい大きさに短く切る。
間伐し、切った竹材を運んで終了。

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炭焼きの説明・炭窯からの炭だし

午後は、炭焼きについて説明をしてもらい、炭を取り出す作業を体験しました。

炭は燃料としてだけではなく、水の浄化や消臭、吸湿などの利用もできます。竹炭は、木炭よりも吸着力が強いので、消臭、吸湿に優れているそうです。

この窯は、20cmくらい掘って、コンクリートブロックでたまご型の壁を作り、中に竹を並べた後、鉄パイプで蓋をして土を被せてありました。窯の中は700〜800℃、煙の温度で炭焼き工程を管理します。

取り出した竹炭は、煮沸して使うそうです。お土産にどうぞと言われ、みんな喜んで持って帰りました。

 

炭焼きについて、竹炭の利用法などの説明。
窯から竹炭を出す作業を体験。
まずは 上にかぶせた土を取り除く。
鉄パイプの蓋を外すと、中には竹炭ができていた。
火の近く(写真左のほう)は、焼けてしまうようだ。
これが取り出した竹炭。「お土産に持って帰ってください」の言葉に感激。
竹は炭にすると、少し小さくなる。
     

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荒れた棚田を蓮池に再生 〜池野さんの挑戦〜

1日目は、南伊豆に着いて時間があったので、すぐ近くの走雲峡ラインでの、棚田再生の取り組みを見に行きました。

ここは昔、棚田として利用されていた場所ですが、放置されてからは不法投棄が増え、荒れていきました。それを、地元に住む池野さんが、ひとりでゴミを片付け、藪を刈って整備し、蓮の池に再生したのです。

そして池野さんの取り組みに共感した人の輪が、少しずつ広がっていったそうです。

ここまでにするのは、大変な苦労があったと思います。ひとりの行動で、これだけすごいことができるんだと驚き、感動しました。

 

加納から石廊崎へ抜ける走雲峡ライン。「スイレンと蛍の池」はこの道沿いにある。
荒れた棚田を整備したときに出た材で作った橋。側面の板には透かし模様が入っていた。
この方が池野さん。ここまでの経緯や思いをお話ししてくださった。
橋から見たところ。段々になっている。ハスの花が咲くのは7月だそうだ。
この日は、蓮池を見下ろす小屋を建設しているところだった。
走雲峡ラインを走り、石廊崎へ出てみた。伊豆の最南端。
     

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