ケニア円借款案件(ソンドゥ・ミリウ水力発電事業)
NGOから日本政府への要望書(2000.12.11.)


ソンドゥ・ミリウ・コミュニティー支援グループ

日本政府への抗議声明

外務大臣 河野洋平様

地元ニャンザの人々は、日本政府によるケニアのソンドゥ・ミリウ水力発電事業第2期分への円借款供与が近く行われる予定であることを知りました。これは残念なことであり、深い遺憾を覚えます。

日本政府の第1期円借款供与により、(ケニア)政府は1999年、ニアンザでケニア電力公社を通じて事業着工に踏み切り、影響下にある地元住民は多大な被害を受けました。

驚くべきことは、第1期の借款供与に対する見解を影響下の地元住民と協議することなく第2期分への円借款供与の検討が行われているということです。同事業は、地元住民との協議なしに進められてきた典型的な事業であるといえます。

日本政府当局者がソンドゥ・ミリウに足を運び地元住民と協議をもったという情報を入手いたしましたが、この「地元住民」というのは果たしてどなたのことなのでしょう。私ども地元住民は依然として日本政府当局者と面会する機会に恵まれておりません。

私どもが唯一目にしたのは護衛をつけた車両に乗り、案内されている日本人の一行です。彼らが協議をもったいわゆる地域住民とは事業実施者と調達契約を結んだ者達のことであり、影響下にある地域の出身者ではありません。彼らの目的は自明と言えます。

私どもはここで、地元住民との適切な協議の場がもたれるまで、日本政府が円借款供与を一時停止するよう要請します。

約二十万人の男性、女性、そして子供たちが事業により悪影響を被っていますが、こうした地元住民らは絶えずケニア政府、日本政府に、包括的協議の場をもち、以下の懸念事項について解決策を見出すよう要請してきました。

  1. 影響を受けた地域住民は同事業により貧困化している

  2. 事業実施者が事業の及ぼす影響について地域社会に虚偽の情報を与えた。

  3. 影響下にある地域社会で発電される電力を同地域社会に供給する計画が同事業には盛り込まれておらず、よって、同事業は持続可能なものとは言えない。

  4. 事業の第1期工事においてすでに環境が破壊されている。

  5. 事業サイトの上流で生活を営む漁師が唯一の収入源を失った。

  6. 各工事現場やキャンプ用地から流出した排水と汚水により河川が汚染された。

  7. 地元住民は土地と収入源の喪失に対する補償を受けていない。

  8. 立ち退きにあった地域住民のうち、事業により移住先を保証された住民は皆無である。

  9. 現地を訪れた日本政府のコンサルタントと当局者は影響下の地元住民と協議をもつ機会を与えられなかった。

  10. 事業が行なわれた結果、空気感染症、水系伝染病の被害にあった地元住民の対応を行なう保健センターが設置されていない。

  11. 河川の分水により被害が及んだ地元住民への飲料水の代替供給源がない。

  12. 文化的な場所であるオデイノの滝は一旦河川が分水されると取り返しのつかない被害を受ける。

  13. 地域社会は、生態系の破壊につながることが懸念される河川分水に反対している。

  14. 同事業における木材伐採の結果、コグタ森林の野生生物の生活環境が破壊されている。

  15. 農業の犠牲のもと、同事業工事のために大量の砂が採取され、ヴィクトリア湖湖畔は不毛の地となっている。

  16. 同事業では洪水管理が保証されていないため、ニアクワー氾濫域にあたる下流で深刻な侵食が発生する。

  17. 氾濫原での農業で生計を立てている住民は養分の欠乏と土壌の塩化により、食料供給に悪影響が及ぶことを懸念している。

  18. 中等学校の生徒200人以上をはじめ、発電所近辺で生活する住民の安全が脅かされているが、これに関しての調査や地域社会に対しての説明が行なわれていない。

  19. 事業関係者のひどい汚職のはびこりに対して地域社会は断固反対である。

地域社会住民は事業実施関係者、日本国際協力銀行当局者、また、在ケニア日本大使館役人との協議を幾度となく要求し、それらが無視されてきたにもかかわらず辛抱強く耐えてきました。

私どもは、日本政府当局者が第2期分の円借款供与がなされる前に当地を訪れ、影響下にある地域社会との協議を開催していただけるよう要請いたします。

                                                                署名 :
Duncan Odima
Sondu-Miriu Community Advocacy Group
Africa Water Network, Kenya

Argwings Odera
Project Co-ordinator
Africa Water Network , Kenya

Pireh Otieno
Programmes Officer
Africa Water Network , Kenya

Lori Pottinger
Director, Southern Africa Program,
International Rivers Network , USA

松本 悟
メコンウォッチ

松本 郁子
地球の友ジャパン
開発金融と環境プロジェクト

Cc: 宮澤 喜一大蔵大臣
      平沼 赳夫通産大臣
   額賀 福志郎経済企画庁長官
   保田 博国際協力銀行総裁

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