公開セミナー報告(2000年10月27日)
『フィリピンの開発と先住民族の権利』
〜コミュニティと文化の破壊に対抗して〜
 
セミナー議事録 3-7
質疑応答 (Q&A)

Q7.
  IPRAに関してお聞きしたいことがあるのですが、先程、IPRAに対して反対を申し立てる勢力があるとおっしゃいましたが、それは鉱山開発をしようとしている企業なり政府、あるいはどこかの援助団体かもしれませんが、なぜその人達はIPRAに反対するのか?先程、先住民族の人が鉱山資源を使うことに対して、反対する人達が異議を申し立てるとおっしゃっていましたが、先住民族が資源を使う使わないに関わらず、開発をしたいから、その資源を金儲けのために使いたいからという理由なのでしょうか?

A.コサラン氏
  そういうことです。鉱山開発を行いたい鉱山企業らがロビー活動を行っているわけです。この法律に反対しているのです。この先住民族権利法の定めによると、鉱山開発を行う人達は、もしそれが先住民族の土地であれば、事前に先住民族にきちんと情報を与えて、相談をし、そして先住民族からの文書による合意を得られなければ、そこで鉱山を開くことはできないということなので、そうなると、そこで海外からフィリピンに投資し、進出して鉱山を開き、天然資源を活用して利益をあげようという企業にとっては、この法は障害になるわけです。そして、もし、そのような先住民族からの支持が取り付けられないということになると、つまり、その先住民族から支持を得られない可能性があるかぎり、その段階まではそういう企業は一生懸命投資をしているわけなので、フィリピンに進出した利益が得られなくなるという可能性があるのです。だから、それを裁判所に訴えて、先住民族にそういう権利があるという部分の合法性を裁判所に問うているわけです。この取決めが果たして法律的な根拠があるのかどうか、裁判所に判断を仰ぎ、それが最高裁で争われているということです。

   先住民族の考え方では、自分たちの土地というものは先祖代々から受け継いできた非常に大切なものだという考え方があります。これは先祖代々から汗水たらして、大変な苦労をして守ってきた自分たちの土地だという気持ちがあります。それをそう易々と手放したくはないわけです。これは、先祖に対するその土地を守っていくという義務、極論すれば、もう自分たちにとって土地、すなわち、自分たちの命だ、そういう考え方なのです。その土地を離れたら、そして見知らぬ土地にさまようようなことになったら、もう自分たちは生きていけない、それが先住民族の気持ちなのです。

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