サンロケ多目的ダムプロジェクト
プレス・リリース(2002.07.05)


→→議員の会から 財務省 への要望書(2002.07.05)
→→議員の会から 国際協力銀行 への要望書(2002.07.05.)

2002年7月5日

各位

公共事業チェック議員の会

「フィリピン・サンロケダムへの融資凍結を!」

日本政府へ要望書を提出

 7月5日(金)、超党派の国会議員104名が参加する「公共事業チェック議員の会(会長 中村 敦夫)」が7月5日(金)、フィリピン・サンロケダムへの融資凍結を求める要望書を日本政府および国際協力銀行へ提出しました。同会が日本政府の 拠出する海外の事業に関して申し入れを行ったのは今回が初めてのことです。

 今回の申し入れに立ち会ったのは、中村敦夫会長、岡崎トミ子副会長、谷博 之参議院議員、大沢たつみ参議院議員と佐藤謙一郎事務局長の秘書。中村会 長らは、午前10時40分から財務省で吉田幸弘 財務大臣政務官に、また、11時 15分から国際協力銀行で篠沢恭助総裁にそれぞれ申し入れを行いました。

 中村会長は会談の中で、「現在、工事が90%まで進行し、国際協力銀行から の融資も10%を残すだけとなっているが、(問題の解決が図られていないこ の段階で)8月に貯水が開始されれば、流血騒ぎにも発展しかねない。この まま日本が事業を進める立場をとれば、国際的な批判も免れないと危惧して いる。この危機意識から、徹底した現地調査をするべきだ。慎重な対処をお願いしたい。」と吉田政務官、篠沢総裁の両者に要請しました。

  この要請に対し、吉田政務官は「フィリピン政府に対し『住民の意見を聞き、理解を得られるまでは、貯水をしないように』と申し入れ『残りの10%の融 資はフィリピン政府が十分な対応をするまでは行わない』という方針を伝え ている。」と回答しました。

  一方、篠沢総裁は「いろいろな方面から指摘されている問題を真摯に受け止 めながら(融資を)進めてきたつもりだ。流域住民の生計手段の確保などの問題は、ほぼ解決に近づいていると認識している。法的な問題についても、 手続き的に問題はないと理解しているが、合法だからよいということではな く、法律の内容が実質的に確保されるようフィリピン政府に注意を喚起して きたつもりだ。反対の立場の意見があることがわかったので、フィリピン政府等を通じ、(問題の解決に向けて)さらに注意を喚起していきたい。」と 述べました。

  この両者の回答を受けて岡崎副会長は認識の甘さを指摘。「きちんと対応をしているという答しか出てこないが、貯水の開始を控え、現地は大変緊迫した状況であることから、日本から最低限、残りの10%の融資を凍結し、住民の声がきちんと反映されない間は貯水をしないよう、お話ししていただきたい。」と申し入れの重要性を再度強調しました。

  事業者は8月に貯水を始める予定にしていますが、この事業の影響を受ける 先住民族や住民の指摘してきた(1)先住民族の合意の欠如(フィリピン先住民 族権利法の違反)(2)自治体の合意の欠如(フィリピン地方自治法の違反) (3)被影響住民の生活再建の失敗――などの問題を解決しないまま、ダムの建 設工事は4年間にわたって続けられてきました。地元住民が問題解決の唯一 の手段として事業の中止を求めている今、日本政府は融資凍結に踏み切り、 フィリピン政府だけでなく、この事業を進めている日本企業に対してもサン ロケダムの問題点を十分認識させていくことが求められています。

→→サンロケダム問題の詳細をみる