サンロケダム雇用問題で従業員・住民がストライキ


(2000年5月7日 バギオ・ミッドランド通信より翻訳・まとめ)
 
   4月30日、サンロケパワー社の雇用方針に抗議する地元住民とサンロケプロジェクト従業員約1000人が、ダム建設現場においてピケをはり、抗議活動を行なった。このストライキは、地元自治体、プロジェクト実施企業、そしてサンマニュエル市住民の代表が集まって開かれた話し合いの前日、ほぼ4日間にわたり継続され、建設作業もその間ストップされた。

   ピケに参加した住民は、伝統的生活手段をダム建設によって奪われ、同社に解雇されると明日の生計にも支障をきたすような人々である。彼らは、サンロケパワー社が建設作業の進行に伴って従業員を削減しているのは、先に同社と地元自治体との間で取り交わされた覚書(MOA)に反していると主張している。このMOAでは、地元住民、特にベンゲット州イトゴン市およびパンガシナン州サンマニュエル市で、直接ダム建設の影響を受ける住民の優先雇用が保証されることになっていた。

   またストライキには、同社の品質管理部門の従業員も参加し、ダムの安全性に疑問を投げかけた。彼らは現地マネージャーのロックウッド氏にあてた書簡の中で、ダム建材の品質の問題を指摘したために解雇対象にされたと抗議しており、証人である自分たちが解雇されれば質の悪いダムが作られ、現地の人々が犠牲になることになると主張している。彼らの多くはダムのすぐ下流にあたるサンマニュエル市の住民である。

   企業側は、過剰雇用の解消のため強制解雇はやむを得ないという態度をとってきたが、この問題に関連して、ロックウッド氏は電話によるインタビューで、「問題調査のための調査グループを設置する。」と述べた。

   しかし、住民側、市議会側の企業側に対する信頼は決して高いとはいえないのが現状だ。サンマニュエル市議会は、サンロケ多目的ダムプロジェクトのレイセオン社サイトマネージャーであるオーウェンズ氏に関して、雇用問題解消に対する努力を怠っており、交渉上好ましくない人物であるとする決議案を可決した。また、副市長であるスラー氏は、「問題になっている雇用保証、優先雇用などが覚書にそったかたちで履行されない場合、選挙民に奉仕すべき自治体メンバーが抗議行動に加わることも避けられない。」と述べた。

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