ECA共通ガイドラインが求められる背景


 民間資金によるプロジェクトは、大規模なインフラプロジェクトが多いこともあり、すでに様々な社会・環境問題を引き起こしています。利益確保を優先する多国籍企業が主な担い手となる開発プロジェクトでは、地元住民との合意形成や環境、地域社会、公平性への配慮は後回しにされがちです。

 特に問題なのは、こうした民間投資プロジェクトを支援するECAが、援助機関や世界銀行などとは異なり、国際社会ではなく自国企業の利益に奉仕することを目的とした機関だということです。多くのECAは、地元社会や環境への悪影響を防ぐための最低限のチェック機能さえ持っていません。

 そのため、厳しい環境ガイドラインを持つ援助機関などが多大な社会環境影響を理由に資金援助を却下したプロジェクトに対し、緩い環境政策しかもたない ECAが融資を行う例が数多く起こりました。こうした事情があって、各国のECAに共通の環境基準を設置することが議論されるようになってきたのです。