【要請書提出】バーゼル条約の実施とOECD諸国間の汚れたプラスチック廃棄物の移動について

2050年の海は、魚よりもごみのほうが多くなるかもしれません….。
近年ますますの重要さと深刻さが認識され出しているプラスチック問題。

2019年、有害廃棄物の輸出入について定めているバーゼル条約(有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約)は、新たに汚れたプラスチックを規制対象に含める改正を行いました。
改正された条約は2021年1月1日から施行予定で、これにより汚れたプラスチックごみを輸出する際には相手国の同意が必要となります。

日本も加盟するOECD(経済協力開発機構)は、原則としてはバーゼル条約をOECDのルールに組み込むこととしていますが、現在米国がそれに反対しており(2019年7月)、このままではバーゼル条約で定められた改正がOECDの中で効力を持たなくなってしまう可能性があります。

FoE Japanは日本政府に対し、バーゼル条約の改正がOECDの中でも反映されるように働きかけをおこなうよう求める要請書を提出しました。

詳しくは下記の要請書をご覧ください。


環境大臣 小泉進次郎様

要請書:バーゼル条約の実施とOECD諸国間の汚れたプラスチック廃棄物の移動について

2020年6月10日

はじめに、有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約の規制の対象に、廃プラスチックを含む改正が行われたことに対し、日本政府が積極的な支援を行い、そしてその実現に向けて取り組んでいることに謝意を表します。世界167の国が、有害なプラスチック廃棄物の投棄を削減するための具体的な行動を協調して行ったということは大変重要であると感じています。

これは環境や海洋における有害なプラスチック廃棄物を削減するための重要な一歩と言えます。私たちはこの決定を歓迎し、日本のサプライチェーンにおける川上での廃棄物管理並びに再利用、リサイクル、再資源化分野にもたらす可能性を期待します。

前述の通り、バーゼル条約は、汚染のないもの等規制対象外のプラスチック廃棄物を除き、輸出国が輸入国から事前のインフォームド・コンセントを得ることを義務付ける新たな規則に合意しました。

私たちは、日本がバーゼル条約の改正を国内で施行し、さらに、他の国々が2021年1月1日までに改正内容の施行できるようサポートするなど、国際的なプラスチック問題解決への貢献を期待しております。

そんな中、OECDでは、2019年9月以降、バーゼル条約の改正をOECDが定めた廃棄物取引規制にどのように組み込むかについて検討を行っていると理解しています。原則としては、バーゼル条約の改正はOECD決定に自動的に組み込まれることとなっていますが、OECD加盟国がこの原則の効力制限の方法についてコンセンサスに達し、かつ、その結果生じる規制がバーゼル条約(第11条)で与えられているのと同等の環境保護を提供している場合には、原則の効力が制限されます。

あるOECD加盟国は、これらのプラスチック廃棄物の改正を自動的に統合することに反対しており、さらにこれまでの会合で、加盟国間の見解の相違が大きく、これらの改正をどのように統合するかについてコンセンサスが得られていないことが明らかになっています。私たちは、この過程においてバーゼル条約における改正の意義が損なわれてしまうべきではないと考えています。  

私たちは日本政府に対し、6月16-17日に開催されるOECD資源生産性・廃棄物作業部会(Resource Productivity and Waste)の会合を含め、OECDでの議論においてバーゼル条約を含む国際法を尊重し、その適切な実施が確保されるよう、またそのための働きかけを行っていただくよう要請します。

OECD諸国間で汚れたプラスチック廃棄物の投棄事件が起きており、トルコのような輸入国の環境と公衆衛生に負担をかけていると明らかになっています。バーゼル条約のルールを実施することは、トルコ、チリ、メキシコ、韓国などのOECD加盟国で発生している、混合プラスチックや汚いプラスチック廃棄物投棄を削減させることにもつながります。

以上

参考資料:
•GAIA, EEB and CIEL, Evidence of harm to the environment and human health from plastic waste dumping within the OECD (2020年2月)
•CIEL, Legal analysis on the implications of the Basel Convention’s decision on plastic waste trade for OECD countries
•CIEL The US’ Environmental Obstructionism is Hurting the Planet — and Itself
•Al Jazeera Turkey is awash in plastic waste. Coronavirus could make it worse

 

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