横須賀石炭火力発電事業 プロジェクト概要

化石燃料2024.4.8

1. 事業の概要

・事業者名:株式会社 JERA
・出資者:東京電力フュエル&パワー(株)、中部電力(株)
・事業実施地:神奈川県横須賀市久里浜9-2-1
・設備容量: 130 万 kW ( 65 万 kW × 2 基)
・運転開始予定:1号機2023 年、 2号機― 2024年
・工事状況:JERAパワー横須賀合同会社(http://jera-yokosuka.co.jp/jarnal.html

2. これまでの経緯

もともと、建設地には、1960年から火力発電所がありました。稼働当初は石炭を燃料としていましたが、時代を減るとともに石油火力、ガスタービンも備えるように。

長く稼働していた旧横須賀石炭火力発電所ですが、設備の老朽化もあって、2010年以降稼働停止に。2011年の東日本大震災後、一時的に臨時稼働したものの、2014年に稼働停止の状態にありました。

しかし、2016年、石炭火力発電所として立ち上がったものが、今回の石炭火力発電所です。計画当時は稼働しておらず、大気汚染物質も温室効果ガスも排出されていない状況であったのに、施設の「リプレース(建て替え)」であるとして、簡易的な環境影響評価手続きで進められ、環境負荷の実測値との比較が行われないまま、2019年8月1日、着工しました。

3. 主な問題点

(1) 気候変動をさらに加速させる

2015年12月に採択されたパリ協定は、世界の平均気温の上昇を産業革命前から2℃を十分に下回る水準、できる限り1.5℃まで抑制することを目的とした国際条約です。
パリ協定の締約国は、今世紀後半の早い時期に世界全体で温室効果ガスの排出を実質ゼロとする長期目標を定め(第4条第1項)、各国に削減目標と政策措置を立案し条約事務局に提出、措置を実施することが義務付けられています(第4条第2項)。
また、国内法である環境基本法第5条においても、国際協調のもとで地球環境の保全に積極的に推進すべきとされています。

そこで、気候変動の防止について重要な鍵を握るのは石炭火力発電からの早期の脱却です。
火力発電所は、燃料の燃焼に伴い、大量のCO2や大気汚染物質を排出します。燃料によって含有する成分が異なるため、石炭、石油、天然ガスのそれぞれの排出量は大きく異なりますが、石炭火力発電はたとえ高効率設備であっても、発電電力1単位当たりの石炭火力発電からのCO2排出量は、天然ガス火力発電の約2倍にあたります。そのため、CO2排出を実質ゼロとしていくためには、石炭火力からの早期の脱却が不可欠です。

(2)簡略化された環境アセスメント

合理化ガイドラインは、稼働中もしくは稼働可能な火力発電所のリプレースの場合のみ適用されるべきものです。
稼働停止が長く続き、稼働可能とはみなし得ない旧横須賀火力発電所には、この合理化ガイドラインは適用されないものであると言えます。
また、アセスメントの簡略化に伴い、検討が不十分な点があり、環境影響評価法等を十分に満たしていないとの問題点も指摘されています。

●参考
・横須賀石炭火力訴訟:
https://nocoal-tokyobay.net/wp-content/uploads/2019/05/yokosuka_complaint_20190527.pdf

 

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