COP26目前 東京電力及び中部電力の大株主25社に JERAの石炭火力事業の中止に向けてエンゲージメントを要請

気候変動2023.7.10

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COP26の開催国である英国のジョンソン首相は、今回のCOP26において、先進国が2030年までに石炭火力を全廃すること、2040年には全ての国で石炭火力を全廃することを求めています。(*1)

今年6月のG7首脳宣言において、石炭火力発電が温室効果ガス排出の唯一最大の原因であることを認識し、石炭火力からの移行を加速させることがコミットされました。
気候変動への取り組みの一環として石炭火力への投融資を続ける企業等に対し、エンゲージメントを行う、もしくはダイベストメント(投資撤退)を行う投資家が増加しています。
私たちは、東京電力及び中部電力の株主に対し、COP26を前に、日本の脱石炭へコミットすることを強く求めます。
要請書の送付先及び送付資料は別添「要請書の送付先一覧」の通りです。

*送付先一覧と送付資料 

(*1)東洋経済オンライン,「脱・環境後進国?COP26で問われる岸田首相の力量ー「石炭火力継続」でなおも批判の恐れ」, 2021年10月21日(最終閲覧日2021年10月28日)
https://toyokeizai.net/articles/-/463032?page=2

・株式会社JERAの石炭火力事業中止に向けてエンゲージメントを求める要請書()(
・ブリーフィングペーパー 「JERAへのエンゲージメントが必要な理由〜 JERAゼロエミッション2050の矛盾」()(

以下要請書(日本語)

投資家の皆様へ
株式会社JERAの石炭火力事業中止に向けてエンゲージメントを求める要請書

                                      2021 年 10 ⽉ 28 ⽇

国際環境 NGO FoE Japan
気候ネットワーク
横須賀火力発電所建設を考える会

拝啓
時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
私どもは、気候変動やエネルギー問題に関心を持つ⽇本の環境団体です。特に気候変動の大きな要因のひとつである石炭火力発電事業について、事業者や金融機関、政府に対し中止を働きかける活動しております。本要請書は、株式会社JERA(以下、JERA)に50%ずつを出資している東京電力フュエル&パワー株式会社(以下、東京電力)及び中部電力株式会社(以下、中部電力)の大株主25社に対して、パリ協定に逆行する石炭火力発電の新規建設及び化石燃料に頼ったゼロエミッション戦略に係る事業への更なる投資を⽌めるよう両社へのエンゲージメントをお願いしたく送付しております。

東京電力と中部電力は、ドイツの環境 NGO「Urgewald」が作成した Global Coal Exit List (GCEL)において、石炭事業の拡大に関与している企業として掲載されています。東京電力と中部電力の合弁会社JERAは現在、日本最大の発電事業者であり、また、日本最大の石炭火力発電事業者でもあります。

JERAは、パリ協定が採択された後の2016年、神奈川県横須賀市久里浜の旧横須賀火力発電所(重油)跡地にて新規の石炭火力発電2基を建設する計画を発表しました。計画当時、旧発電所は稼働しておらず、大気汚染物質も温室効果ガスも排出されていない状況でした。しかし、以前の重油火力に比べてCO2や大気汚染物質の排出量が低減するということから、この新規の石炭火力計画は環境アセスメントの簡略化を認める制度(「改善リプレイス」合理化ガイドライン)を基に手続きが進められ、「現状」と「将来」の環境負荷の比較の問題で、JERAは環境影響評価書でこっそりと「現状」を定格出力時と勝手に定義し、環境負荷の実測値との比較も行われないまま、2019年8月1日に着工しました。以降、2023年4月の稼働を目標に建設作業が続けられています。私たちは、同事業に対して様々な懸念を抱いており、特に気候変動の観点や地元住⺠への影響から、同事業に関与する他の出資者や融資者へも働きかけを続けてきました。

さらにJERAは、2020年10月13日に「JERAゼロエミッション2050」を公表しました。同戦略では、2030年までに非効率石炭火力の全廃、水素やアンモニアといった「ゼロエミッション燃料」の活用と洋上風力の推進を中心に、2050年までに脱炭素化を目指すとしています。しかし、JERAの所有する非効率石炭火力はすでに廃炉となっています。また、洋上風力推進のロードマップも不明確であるほか、水素やアンモニアの生産過程では化石燃料の継続的な、そして新規の採掘を行い、多くの温室効果ガスの排出を伴うことになり、気候変動の深刻さを認識した戦略であるとは言えません。

以上の点は、別添のブリーフィングペーパーに「JERAへのエンゲージメントが必要な理由〜”JERAゼロエミッション2050”の矛盾」詳細に記載しております。このような問題点に鑑み、投資家の皆様にも、東京電力と中部電力に対し、両社の出資企業JERAによる石炭火力発電事業及び新規の化石燃料の採掘と生産を伴うゼロエミッション燃料生産事業の中⽌を促して頂きたく存じます。 また、皆様の両社に対するエンゲージメント後も、両社がJERAによる脱炭素方針について適切な対応をとらず、JERAが脱炭素方針を転換しない場合には、両社からの投資撤退(ダイベストメント)も検討していただけますよう宜しくお願い申し上げます。

敬具


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