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トピック
Vol.09(3 September 2002)
 
 
エネルギー部分のテキスト合意される
 世界実施文書の気候変動に関する部分では積極的な調停案が合意に結びついたた日本だが、2日の首脳級初日までもつれ込んだエネルギーの部分では米、産油国とともに妥協案づくりの中核となり、気候変動対策にとって打撃とも言える内容で合意を強いたのは皮肉である。すでに出されていた三提案のうちのG77の案は事実上日米とイランが用意したとも言われる中、その3ヶ国による新提案が合意テキストの基になっている。
 EU、ブラジル他の途上国が求めていた再生可能エネルギー目標は日米と産油国の強い反対で盛り込まれず、既存の自国目標を有する国が自主的に実施を続けるとしている。が更に問題なのは、先進化石燃料の途上国への技術移転への援助強化が謳われている点だ。再生可能エネルギー技術とは比較にならないほどの巨額の公的資金が今も化石燃料ベースの技術援助に費やされており、サミットで更にその増額を謳う根拠はない。これは再生可能エネルギー技術をさらに割高とするだけでなく、将来の途上国エネルギーインフラが将来化石燃料依存から脱するのを更に難しくすることになる。京都議定書の交渉で温室ガス排出削減に常に反対してきた産油国と米に、各国に議定書批准を呼びかけている日本が加わったのは皮肉なことである。
 また合意文書ではその技術移転支援の対象として第9回持続可能な開発委員会会議(CSD9)で議論された原子力を含む持続可能なエネルギーの定義に言及している。このため国際的な原子力技術の振興を含むとも取れる内容である。技術的に複雑で高価な原子力技術は途上国の持続可能な開発への限られた資金を飲み込み、再生可能エネルギー普及の障害となる。
 国際石油資本と深いつながりのある米政権をこのテキストと引き替えに京都議定書の認知を呑ませた、あるいは最後まで残った衛生面の目標を米に呑ませるためだったのだとすれば、それは名を取り実を捨てた取引以外の何者でもない。世界実施文書の交渉は大きな失望とともにその幕を閉じることとなった。
企業責任:今後の取り組みに期待
 企業責任のパラグラフは、最終的に大きな進展を見せた。1日の段階では、全体を弱める表現が入っているという情報があったが、今日になってその表現は、入っていないということが判明した。最終的に合意されたパラグラフは、即座の行動につながるような明確な約束を盛り込むことはなかったが、将来的に拘束力のあるルール作りなど、企業責任に関する取り組みの将来的な発展につながると解釈できる内容になっている。これは、ヨハネスブルグサミットプロセスに取り組んできたNGOの勝利である。
政治宣言案発表される
 世界実施文書と並ぶ最も重要なサミットの成となる政治宣言のドラフトが2日朝発表された。ヨハネスブルグ・コミットメントと銘打たれたこの文書については、ヨハネスブルグサミットで生まれた新成果を盛り込みたい南ア政府と、サミットを昨年のドーハ宣言や今年3月の国連開発資金会議の内容確認に留めたい米国との間での軋轢が伝えられていた。発表された内容は予想通りとも言える弱い内容である。
 エネルギー、気候変動に言及した内容は極度に曖昧で再生可能エネルギーの一言すら含まれていない。これからの一日半の各国首脳達の交渉でより具体的かつ野心的な行動計画が含まれる必要がある。
 世界実施文書づくりの交渉は事実上WTOドーハ宣言の延長戦の様相になってしまったが、政治宣言草案ではこのドーハ宣言に一切触れず、アジェンダ21と国連ミレニアム宣言の役割が強調されているのは対照的である。これは先進国の利害が優先される多国間貿易交渉への途上国の疑念を反映したているともいえる。貿易については一パラグラフのみの言及だ。途上国の債務救済も既存の取り組みの列記にすぎない。新しい成果を強調するべきヨハネスブルグ・コミットメントの章でも目新しい内容はまだない。
 多国間協調の将来のところでは、国連が世界で最も普遍的かつ世界を代表する機関であることが謳われている。これは非国連のWTO、IMF、世界銀行へ向けた強力なメッセージで、米国の強い反発が予想される。
 世界実施文書では、企業責任のパラグラフで最終的に大きな進展を見せた。全体を弱める表現が提案されたが、その表現は合意に含まれず、合意テキストは、将来的に拘束力のあるルール作りなど、企業責任に関する取り組みの将来的な発展につながると解釈できる内容になった。ヨハネスブルグサミットプロセスに取り組んできたNGOの勝利と言える。一方、それを受けたはずの政治宣言では企業責任の言葉自体が削られ、また実施機関ではない国連総会で今後議論するとするとされている。残された時間はきわめて限られているが、今後の地球的ガバナンスの柱の一つであり、ヨハネスブルグサミットから生まれる新しい取り組みの可能性を孕んだこの企業ガバナンスの交渉に期待する。
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