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Vol.03(28 August 2002)
 
 
未だ定まらない再生可能エネルギーの行方
実質を伴った国際行動計画に合意することはヨハネスブルグサミットの成功を測る重要な鍵である。非公式交渉が始まった23日までの時点で、世界実施文書中14項目の具体的な年限と目標が合意に至らず残されている。これらはサミットの主要目標である2015年に世界の貧困を半減するという国連ミレニアム宣言や持続可能な開発達成に不可欠なものばかりである。

 ウィーンプロセスという形式で世界実施文書の頭からパラグラフ順に協議が続く中、合意が困難とされるエネルギー、淡水、気候変動など5項目が個別な非公式交渉へと送られ、26日本会議初日も公式行事のオープニング後ほぼ同じ形式で再開された。

 世界20億の貧しい人々にエネルギーサービスを提供できるようにすることは、貧困半減ミレニアム目標の重要な礎となるはずである。またそのためのエネルギー供給は環境・社会にとって持続可能な手段によって成されねばならない。その中核となるべき再生可能な自然エネルギーの供給を拡大するグローバルな仕組みはまだなく、このヨハネスブルグで目標を設定することは実効ある行動計画に不可欠なはずである。文書中ではEU提案の2010年までに各国は再生可能エネルギーによる一次エネルギー供給を15%まで引き上げるよう提案しており、他にも複数の提案が併記されている。EU提案の問題は大規模水力発電を再生可能エネルギーにふくめていることで、国際エネルギー機関の予測ベースではEUの2010年におけるシェアは新たな政策措置無しでも14%まで上がると予測している。これでは新たな行動のための目標とは呼びがたい。また日本はエネルギー目標設定自体に頑強に反対、国連離れが進む米国はヨハネスブルグで何ら新しい成果を出さない方針と言われる。アルゼンチンがファシリテーターとなり、閣僚級に入る前、28日一杯、事務レベルで最後の調整が続けられているが、もはや細かい議論は出尽くした感があり、閣僚級にこのまま先送りとなり政治決断での解決となるとする声が強まっている。

 現時点まで交渉のテーブルに載っていない再生可能な新エネルギーによる10%の一次エネルギー供給を2010年までに世界目標という提案であるが、提案元であるブラジル他途上国及び先進国数ヶ国がこれからの交渉の中で提案するものと見られている。一方、影でEUは米国の頑強な反対に対し、世界実施文書での京都議定書の言及を取引材料に再生可能エネルギー目標合意を図るつもりであるとの憶測も流れ、日本及び欧州のNGOは急遽、それぞれの政府への働きかけを強めている。


日本のNGOが環境大臣に緊急申し入れ!
サミット2日目の午後、一部の先進国の強い反対や政治的駆け引きのため、世界実施文書の中にある京都議定書に関する記述が削除される可能性が出てきた。リオサミットからの10年間で最も重要な国際環境協定のひとつである京都議定書を、この10年を振り返る今回のヨハネスサミットで実施文書から消し去ってはならない。
サミットに参加している日本のNGOは、この日午後8:30、日本政府への緊急申し入れ文書を大木環境大臣に手渡した。申し入れの趣旨は以下のとおり。
「私たちWSSDに参加している環境NGOは、世界実施文書の京都議定書の年内発効とその確実な実施についての記述について、日本政府がこれを指示することを公式の会議の場で表明されるよう強く求めます。」

[賛同団体]
A SEED JAPAN、FoE Japan、Japan Youth Ecology League、環境エネルギー政策研究所、JACSES、市民フォーラム2001地球温暖化研究会、CASA、地球環境を守る会「リーフ」、ピースボート、ヨハネスブルク・サミット提言フォーラム


高まる不満、NGOへのアクセス制限

サントンの国際会議場には、4500人近くのNGOが集まっているとされているが、NGOに対する規制は27日も続いている。26日はセカンダリーパスと呼ばれる入場券でNGOの入場が制限されていたが、今日は会議場ビルへの入場者が6000人に達した時点で、NGOのみ入場を制限するという対応が取られた。そのため朝8時30分の開場時には、長蛇のNGOメンバーの列ができ、行列待ちに疲れた人々は、朝のNGO全体会合で国連事務局に対して不満を爆発させた。

26日の日本政府によるブリーフィングの際に、NGO側からアクセスに関しての要望を述べた。これに応える形で27日朝、朝海大使から国連事務局に申し入れがなされた。

このようなNGOの不満に対応する形で、27日の午後の国連事務局からアクセスの改善に関しての発表があった。今週についてはセカンダリーパスによる制限は行わず、入場者制限の上限を8000人にするということだ。

しかし、貿易やエネルギーなど、重要な課題を話し合うコンタクトグループの会合は、あいかわらず閉ざされたままである。ドアが閉められたままで、どのようにして市民の声をとどけるのか。サミットで有意義な結果をもたらすためには、透明性の確保と、交渉プロセスへのより開かれたNGO参加が求められる。

 
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