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気候変動とエネルギープログラム>麻生首相に対するNGO共同レター提出
 
 
 
 
麻生首相に対するNGO共同レター提出(気候行動ネットワーク(CAN))
 

 日本の中期目標が6月までに発表されることに際し、気候変動に対して活動をする世界のNGOと日本のNGOが、3月27日、麻生首相に対して以下のレターを提出しました。

英文はこちら


麻生太郎 内閣総理大臣殿
2009年3月27日

気候行動ネットワーク(Climate Action Network、以後CAN)は、世界約450のNGOが連携する国際ネットワークで、気候危機に対する安全、十分かつ公正な解決策の導入を求める活動を行っています。このたび、CANメンバーの意見をこの手紙で総理にお伝えさせていただく次第です。

CANは、気候変動による破滅的な状況を回避するためには、産業革命以前からの全球平均気温の上昇幅を2℃未満に抑えることが不可欠であると考えています。ご存知のように、地球温暖化を安全なレベルに留めることは国連気候変動枠組条約(UNFCCC)で設定された目標であり、日本もこれに署名しています。科学は日進月歩で研究が進み、この目標達成のために大胆な方策が必要であることを示しています。そして行動を起こすため時間は残りわずかです。

このような状況から、CANは総理が6月までに日本の中期削減目標を発表するとの意向を示され、地球温暖化問題に関する懇談会および中期目標検討委員会における議論を意欲的に牽引して下さることを歓迎いたします。

しかし3月27日に発表された目標のオプションの幅は、科学データが示す必要なレベルに比して極めて消極的なものであると失望を禁じ得ません。提示された目標の中には、日本が批准した京都議定書で掲げられている日本の現在の数値目標を下回る弱いものすら含まれています。

「気温上昇幅を2℃未満に抑える」という目標は、言い換えればこの10年以内に世界の排出量のピークを迎え、その後急速に減少方向へ向かわせることを意味します。この達成に向け、先進国の拘束力あるQELRO(数量化された排出抑制および削減目標)は、全体として、最低でも(1990年比で2020年までに)25〜40%の削減という、野心的な目標を設定する必要があります。また、持続可能ではなく公平でもない先進国の消費パターンを大きく転換させるため、そして2050年までにさらなる削減(最低でも80〜95%)を達成するための基盤を築くためにも、大部分の取り組みは国内において実施されなくてはなりません。

最新の科学データに基づく観点から、CANは上述した削減の道筋に沿わないいかなる目標も到底受け入れることはできないと考えます。そのような弱い目標を提案すれば、福田前首相が昨年6月に明言した、低炭素社会を構築するという国の決意とも矛盾することになります。また、「1990年比25%削減」を下回る削減目標では、科学データに示された排出削減要件を満たすのにも不十分です。これらの目標に関する議論が「削減策は耐え難いほどに高コストである」という観点のみに終始していることについても残念に思っています。日本は世界において豊かな国の一つであり、この問題に対して大きな責任を有する国です。重要なことは、野心的な排出削減目標が経済効果をもたらすということです。新技術への投資が促進されれば、日本は代替エネルギー技術におけるリーダーの地位を築くことができます。

つまり、日本はもっと行動しなければなりません。国として25〜40%削減の幅の高いレベルで数値目標を掲げる必要があります。

今般の経済混乱の最中においては、気候変動対策は単に危機的な影響の回避策となるだけでなく、経済発展とイノベーションの原動力となります。日本はグリーンエネルギー技術の分野でリーダーとなり、新たな雇用機会を創出できます。高い中期排出削減目標を掲げることは、クリーンエネルギー経済への転換を果たす上で重要な要素です。高い目標が設定されることにより、世界経済を活性化し、地球を救うために今すぐにも必要とされている技術開発の動きが促進されるのです。

私たちは、総理が気候変動問題に対応するために野心的な目標を設定する姿勢を示し、議論をリードするよう注目しています。また、そのリーダーシップを発揮されることによって、コペンハーゲン合意の成功に向けて世界を一歩前進させて下さることを強く期待しています。


気候ネットワーク 代表 浅岡美恵

WWFジャパン 事務局長 樋口隆昌

地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA) 専務理事 早川光俊

環境エネルギー政策研究所 所長 飯田哲也

「環境・持続社会」研究センター 事務局長 足立治郎

FoE Japan, 気候変動プログラム担当、小野寺ゆうり

Office Ecologist代表 鮎川ゆりか

Sandrine MATHY, President, Climate Action Network France

Sanjay Vashist, Chief Operations Officer (COO), Climate Action Network - South Asia

Kim Carstensen, Director, WWF International

Jeremy Hobbs, Executive Director, Oxfam International

Jasper Inventor, President, Greenpeace International

Richard Worthington, Manager, Climate Change Programme, Living Planet Unit, WWF South Africa

Rajen Awotar, Executive Director, FOE Mauritius and Regional Coordinator of SAR (Southern Africa) CAN

Barbara Bramble, Senior Program Advisor, International Affairs, National Wildlife Federation

Jiri Jerabek, Centre for Transport and Energy, Czech Republic

Iryna Stavchuk, climate change program coordinator, National ecological centre of Ukraine

Hubert Weinzierl, Chairman, Deutscher Naturschutzring (DNR), Germany

Christian Ege, Director, The Danish Ecological Council, Denmark

Kathe M. Soerensen, Boardchair, Nature & Youth - Denmark

Pat Finnegan, Co-ordinator, Grian, Ireland

Lars Haltbrekken, chairman, the Norwegian Society for the Conservation of Nature (Friends of the Earth Norway)

Wael Hmaidan, Executive Director, IndyAct - The League of Independent Activists, Lebanon

Engr. Nazario R. Cacayan, Executive Director, Yamog Renewable Energy Development Grp. Inc., Philippines

Helen N. Mendoza, Organization: SOLJUSPAX, Philippines

Fabby Tumiwa, Executive Director, Institute for Essential Services Reform, Indonesia

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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