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京都議定書の締結に向けた国内制度の在り方について(答申案)へのパブリック・コメント
<総論>
※具体的な修正要請箇所はこの後に続く

日本は京都議定書発効に不可欠であり、次期国会での迅速なる締結が不可欠である。

国のエネルギー政策の根幹とされる長期エネルギー見通しは、その根拠となるデータ開示をふくめきわめて不透明な形で決められており、既存の産業構造ベースでの見通しに基づくいまの排出量予測は議定書下での長期的取り組みのベースラインとしては不適格。その前提条件の詳細な公開と早急な見直しを求める。

京都議定書では2005年までに先進国において目標達成の進捗状況を示すこととされており、また同年議定書第二約束期間における目標設定の交渉を始めるとされる。効果的な温室効果ガス管理には地球的な取り組みが不可欠だが、途上国を説得するためには実質的な削減傾向が2005年までに確立されているべき。

2000年までに1990年レベルでの排出量安定化をするとした地球温暖化防止行動計画(1990年閣議決定)は失敗に終わっており、自主的取り組みの限界を示している。排出量削減を主な政策目標に据えた実効性の高い規制・経済的手法のミックスの即時導入が必要。

経済産業省におけるエネルギー政策との整合性確保は不可欠。同省では自然エネルギー普及にRPS(Renewables Portfolio Standard)を答申しているが、欧州諸国での実績から見るとおり固定価格買い取り義務制度のほうが効果的な再生可能エネルギー普及効果がある。また廃棄物発電は自然エネルギーと競合する形で気候変動対策の名目で実施されるべきではない。

気候変動政府間パネルIPCCでは森林・土壌等による吸収量の効果を最大でも40−70ppm程度(大気中CO2濃度が550-900 ppmのケース)としており、また今後30年ほどで実質的な大気中濃度の低下が始まらなければ、継続する気温上昇により吸収から排出に変わるとされる。その際はその分の排出量も含め人間側で削減する必要が生まれることになる。吸収源利用はさけられるべきであり、将来の脱化石燃料を含めた化石燃料からの排出量削減の礎を早期に築くことに集中するべきである。

なお海洋を利用するCO2固定化技術は海水を酸性化し漁業資源をふくめ海洋生態系に多大な影響を与える危険な技術であり、ひとたびCO2海洋投棄を始めればその結果は不可逆である。多額の研究集金をこのような技術に投資し続けるより、自然エネルギー等既存の有望な技術に振り向けるべきである。

今回の答申では京都メカニズムの関連でしかODAがふれられていない。ODA拠出トップ、また二国間融資、多国間開発銀行にも多大な拠出を行っている日本の投資ポートフォリオは依然化石燃料ベースのエネルギー・交通インフラに偏っている。国際協力銀行環境ガイドライン制定の機会にこれら拠出・融資プロジェクトのCO2排出インパクトを環境影響評価に含めると同時に、投資方針をより脱化石燃料型の事業へ移行しなくてはならない。

すでに気候変動の影響を受けているアジア、アフリカ、小島諸国などへの早急な適応事業への資金提供が不可欠である。またこれは援助ではなく、すでに日本等先進国がすでに与えている被害・環境債務の補償措置として認識されるよう途上国が求めている点を明記すべき。

国内、また議定書が明言しているように京都メカニズム事業においても、原子力が気候変動対策のもとで振興されてはならない。

<以下具体的な箇所における修正要請>

※答申案本文はここからダウンロードできる
https://www.env.go.jp/press/file_view.php3?serial=3132&hou_id=3054

4頁11行目より
3.COP7合意を受けた我が国の方針
2段目後にもう一段加え、上記8および9を番号削除の上、追加挿入。

6頁22行
民政家庭部門
終わりに「これら家庭部門での削減努力は家庭用製品の効率や仕様によりその効果が大きく左右されることから、メーカー側での措置導入と連携してなされるべきである。」

8頁6行目あと
「これらの措置は意識向上や自主的取り組みを基にするものであり、省エネ法も含め排出量削減を主目的にした措置ではない。これら施策のこれまでの結果からも、より実効性の高い規制・経済的手法の導入が必要。」を挿入。

19行目
京都議定書の特徴
1.に「なお議定書では2005年までに付属書1国の目標達成への進捗を示すこと、また同年より時期目標の国際交渉が始まること」を明記すべき。

29行目
ステップバイステップアプローチ
「2008年からであり」の後に「2005年での進捗状況を示すこととあわせ」を挿入。

31行目
「それ以前から」を「早急に」で置き換え。

9頁3行目
「定期的に」ではなく「可能な限り毎年」

9行目
「2004年中に」を「2004年以前に於いても」

20行目
「各ステップごとに」を「各ステップ半ばに於いても、達成状況の評価に基づき」とする。

10頁10行目
費用効果の高い対策
段落後に以下の文を挿入。「しかし京都議定書およびマラケシで合意された運用ルールともに排出量削減は主に国内で達成されるべきとしており、京都メカニズムの利用はホスト国の持続可能な開発に効果的に資するもの以外は極力控えられるべきである。」

25行目
大量生産、大量消費、大量廃棄と向かい合うことは循環型社会へ向かう道筋で不可避であり、この3語は維持されるべき。

11頁15−24行
計画の位置づけ
議定書締結と同時に大綱を計画で置き換える国内法がセットで導入されることは今後の取り組みに於いて不可欠である。

13頁3行目
「大幅な迅速化を公開・透明性の確保に留意しつつ」とするべき。

18頁31行目後
自主的取り組みの透明性客観性確保
以下挿入「また自主行動計画に於いてはその政府との協定化を進めるとともに、削減量達成状況の評価に基づき追加措置が迅速に採られる必要がある。」

19頁22行目
技術対策の導入促進
「自然エネルギーからの」の前に「固定価格買い取り義務を含む」を挿入。原子力の一節は、そのウラン採掘から廃棄物処理までのエネルギー集約型のプロセスや付随する環境リスクに鑑み削除。

22頁8行目
吸収源対策
「に係る上限は、」直後に「日露加には自然吸収量を含めた上限設定の特例が認められ、日本の場合」を挿入。

9行目後
「しかし明記すべきは、科学者が警鐘するようにこれら吸収源は将来的には排出源に転じる可能性があり、本質的な問題解決の手段にはなり得ない示されている。吸収量に頼らない排出量削減措置による目標達成を目指すべきである。」を挿入。

23頁6行目
京都メカニズム
「またこれら京都メカニズム事業に実施にあたっては、事業ホスト国の持続可能な発展に寄与することが不可欠である。」を追加。

24頁27行目
技術開発の促進
「二酸化炭素の固定化技術」を削除。この技術は海洋へのCO2 投棄と組み合わされた場合、周辺の広範囲の海水の酸性度を変え、珊瑚、海洋生態系に多大な影響を与えるのみならず、数十から数百年のサイクルで大半が大気中に戻ってくるという技術である。大な研究開発資金がすでに次ぎ込めれてきており、導入費用は未知数、いったん海中に投棄されたCO2を回収する技術もなく、他国海域へ責任転嫁とならび、後の世代に責任を転嫁するものである。このような化石燃料の利用を延命するような高価な技術によりも、脱化石燃料、脱エネルギー集約型への技術開発へ投資を集中するべきである。


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