ASOC(南極南大洋連合)について

気候変動

貴重な生態系新たな脅威南極保全への取り組み参加しよう

Antarctic and Southern Ocean Coalitionは、南極大陸およびそれを取り巻く南極海の環境の保護を目的に、世界の30以上のNGOから成るネットワークNGOです。メンバーにはFriends of the Earth (FoEグループ)をはじめ、WWF、国際動物福祉基金、グリーンピースなどが参加しています。

世界的な経済成長に伴うさまざまな環境問題への対策が必要とされた1978年に発足しました。ASOC創設者で現専務理事であるジム・バーンズ氏が、1970年代半ばに、南極の鉱物や天然ガスの試掘を始める体制づくりについて、水面下で話し合われているとの情報を得たことが、ASOC誕生の背景にあります。

当初、次の3つを活動目標に掲げました。
(1) 世界初の取り組みである「生態系全体を考慮した」漁業条約の締結
(2) 南極における原油、ガス、鉱物など地下資源の開発を阻止するため、懸案である「鉱物条約」の承認を否決すること
(3) 南極条約体制下にある会議等をすべて公開し、環境団体や他の専門家団体の参加を認めること

ASOCは、秘密裏に進められていた鉱物資源開発の問題を国際社会に公にすることで国連の場での議論へとつなげました。その他にも基地でのずさんな廃棄物処理や、滑走路新設のために南極海上の島々でペンギン生息地をダイナマイトで爆破しようとしていたフランスの計画などを問題提起しました。

鉱物資源活動条約に関する議論は1980年代も続き、やがて、市民社会からの多大な圧力を深刻に受け止めたオーストラリアとフランスがついにこの鉱物条約に反対の立場をとる決断をすると、情勢は一気に変わりました。ただし、全協議国の賛同がない限り、条約の締結はあり得ません。そこで代わりに、オーストラリアとフランスは南極条約に基づく保護体制の確立を提案、1991年には「環境保護に関する南極条約議定書」が採択されました。

1998年に発効したこの議定書により南極における鉱物やガスの試掘および採掘は禁止され、2048年に本議定書の見直しがされる可能性はあるものの、それまでは地下資源開発の危険はなくなりました。

ASOCは、1980年にCAMLR条約(南極の海洋生物資源の保存に関する条約)の採択をめぐる交渉の際にも、「予防的保護」の概念に基づくように働きかけ、条約への反映が実現しました。条約の実行組織であるCCAMLR(南極の海洋生物資源の保存に関する委員会)は、漁業管理組織としては世界で初めて、経済的利益よりも生態系の保護を優先する方針を掲げました。

上述の議定書とCAMLR条約の締結は、南極条約加盟国がようやく環境保護を優先課題として取り組むようになった証しであり、大きな前進となりました。

1991年には、ASOCは南極条約体制におけるオブザーバー権(投票権はないが傍聴および発言ができる)を獲得、年次会合に唯一のNGOとして出席しています。以来、南極の環境保護を求めるNGOの代表として発言を繰り返し、観光や海運業、また気候変動に関連する問題にも取り組みを拡げてきました。

貴重な生態系新たな脅威南極保全への取り組み参加しよう

 

関連するトピック

関連するプロジェクト