「南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)」会合と国連報告「地球規模生物多様性概況」についての声明

気候変動

「南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)」会合と国連報告「地球規模生物多様性概況」について、FoE Japanも加盟する南極・南極海連合(ASOC)が声明を発表しました。

是非ご覧ください。
>原文(英語)の声明はこちら


「南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)」会合と国連報告「地球規模生物多様性概況」についての声明

2020年9月16日
南極・南極海連合(ASOC)
FoE Japan和訳

今週、国連報告「地球規模生物多様性概況第5版」が公表されました。この報告書が強調しているのは、地球規模の生物多様性危機に取り組むために残された時間は残り少ないということです。報告書の結論は厳しいものですが、それでも今すぐ実行に移すことができる解決策はあるとし、なかでも、海洋保護区(MPA)の設定は生物多様性保護に最も効果の高い政策の一つとして挙げられています。私たち南極・南極海連合(ASOC)は南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)メンバー各国に対し、今年の年次会合(例年10月開催)において、現在提案されている三つ海域すべてを海洋保護区に指定することを求めます。この三つの海域がすべて海洋保護区に指定されれば、史上最大の海洋保護措置 となるのに加え、国際協力が地球環境問題の解決につながった素晴らしい実例となるでしょう。

前述の報告書は、国連生物多様性条約(CBD)で掲げられていた目標が達成されないことも指摘しています。沿岸域および海域の10パーセントを保護するという2010年に設定された控えめな目標も、達成されてはいません。進展はありましたが十分ではありませんでした。近年科学者らは、30パーセント以上の海域を保護区指定することで海洋生態系の健全性を確実にし得ると助言しています。 これを受けて、いくつかの政府などは2030年までに世界の海域の30パーセントを保護することに対し、コミットメントを示しました。このゴールの達成には、地球の海域の10パーセントを占めている南極海の保護区指定が欠かせません。CCAMLRは、この地域の海洋生物の保護を担当する主要な国際機関で、その役割は非常に重要です。

CCAMLRが南極海における海洋保護区システムに取りかかって10年以上になりますが、これまでに海洋保護区に指定されたのはロス海とサウスオークニー諸島の二つに過ぎません。東南極、ウェッデル海、南極半島の三海域の保護区指定も幾つかのメンバー国によって提案されていますが、保護区の承認に必要とされるコンセンサスに至っていません。CCAMLRは、これらの3つの海域、ならびに南極海の他の海域の保護も進めるため、交渉を継続する必要があります。

目下進行中のコロナウイルスパンデミックのため、今回の年次会合の詳細は確定していません。ユニークかつ脆弱な南極の海洋生態系を保護することの重要性を鑑み、私たち南極・南極海連合(ASOC)は、海洋保護区に関する重要な議論が継続されるよう、本年に関しては、バーチャル会合の実施を迅速に承認することをCCAMLRに求めます。他の組織はバーチャル会合を開催しており、CCAMLRにもそれが可能なはずです。海洋の未来が危機に瀕しています。CCAMLRは南極海の海洋保護区を指定し、南極の生物多様性保護に貢献する必要があります。

 

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