【プレスリリース】 国内環境団体、中国電力の主要株主47機関にダイベストメントを求める要請書を送付

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ベトナムで進められているブンアン2石炭火力発電事業に中国電力株式会社が出資を検討していることが報じられています。それを受け、上記国内の5つの環境団体は中国電力の主要株主47社に対し、投資撤退(ダイベストメント)及びエンゲージメントを行うことを求める要請書を提出しました。 中国電力はドイツの環境NGO「Urgewald」が作成したGlobal Coal Exit List (GCEL) 1において、石炭事業の拡大に深く関与している企業のひとつとして掲載されている企業でもあります。

ブンアン2石炭火力発電事業はベトナム・ハティン省に600メガワットの超々臨界圧の発電設備を2基建設するものです。三菱商事2と香港に拠点を置く電力会社CLPホールディングスが出資を行う予定でしたが、CLPは昨年12月に脱石炭方針を発表し、同事業からも撤退を決定しています。さらに融資を検討していた英国のスタンダード・チャータード銀行、シンガポールのOCBC銀行およびDBS銀行も銀行団から撤退しています。さらにEPC(設計・調達・建設)で参画が見込まれていたGE(ゼネラル・エレクトリック)も今月21日石炭火力発電事業から撤退する方針を発表しています3

今年3月に英シンクタンクのカーボントラッカーが発表したレポートによれば、ベトナムにおいても既存の石炭火力発電の操業コストより太陽光発電の新設コストのほうがすでに安価であるため、石炭火力発電所は新設への投資に限らず既存の経済性も問うべきとされています4。ベトナムは風力発電のポテンシャルも高く、ブンアン2予定地も非常に有望な地域です5

ベトナムの第8次電源開発計画(PDP8)においては、石炭火力発電案件の数は減少する予定であり、ベトナム政府自身も石炭からの脱却の兆しを見せ始めています6

新規に石炭火力発電所を建設することは、パリ協定のもとで定められた世界全体の気温上昇を2℃よりはるかに下回る水準に抑え、1.5℃に抑える努力を追求するとした気候変動目標に反するものです。新規石炭火力発電所を建設する余地はなく、既存の物も閉鎖していく必要があります。

私たちは引き続き、中国電力やその株主に対し、脱石炭を求めていきます。

注釈:
1:Global Coal Exit List (GCEL), https://coalexit.org/
2:三菱商事の株主に対しても、同様にダイベストメントを要請する書簡を2020年3月に送付。 https://www.foejapan.org/aid/jbic02/va/200323.html
3: GE to pursue exit from new build coal power market (GE Press Release, September 21, 2020) https://www.ge.com/news/press-releases/ge-pursue-exit-new-build-coal-power-market
4: Carbon Tracker. “How to waste over half a trillion dollars: The economic implications of deflationary renewable energy for coal power investments” (12-Mar-2020) https://carbontracker.org/reports/how-to-waste-over-half-a-trillion-dollars/.
5: Global Wind Atlas, https://globalwindatlas.info/
6: Không phát triển thêm dự án nhiệt điện than mới (14-Aug-2020, in Vietnamese) https://nld.com.vn/kinh-te/khong-phat-trien-them-du-an-nhiet-dien-than-moi-20200814223636426.htm

【ブンアン2石炭火力発電事業】
ベトナム中部ハティン省の経済区に建設が予定されている石炭火力発電所。2007年に事業会社が設立されたものの建設には至っておらず、その間にベトナムでは再生可能エネルギーが拡大した。コロナ以前の事業者の予定としては、2020年に建設開始、2024年に稼働開始。
事業規模:1,200メガワット、超々臨界圧
総投資額:22億ドル(約2,500億円)
事業者:Vung Ang 2 Thermal Power Company(VAPCO)。 VAPCOは、OneEnergy Asia Ltd.が100%出資する特別目的事業体(SPV)。
融資機関(見込み):三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行、国際協力銀行(JBIC)

 

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