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現地NGOプレスリリース 「アジア開発銀行、STDPに関し異議申立て資格を認める!」
 
 アジア開発銀行(ADB)と国際協力銀行(JBIC)は、それぞれ1999年と2001年に、スリランカの南部高速道路事業に対して融資の決定をしましたが、これまで、同事業には不十分な環境影響評価や人権侵害などの懸念が現地より出されてきました。つい先月、6月にも、現地住民組織がADBの新しい異議申立て制度であるアカウンタビリティー・メカニズムの第一段階、コンサルテーションフェーズに異議申立てをしました。7月6日にその申立て資格が認められ、現在は同事業の調査が進められています。

 同事業、実は以前のADBの異議申立て制度の時にも、今回と同じ住民組織が異議申立てをしましたが、その時は、申立て者による 政策違反の指摘が不十分であるとして、調査実施にまでは至りませんでした。今回の住民による異議申立ては、ADBの異議申立て制度の改定をうけて、被影響住民が改めて訴えたものです。

 以下は、現地NGO Sri Lankan Working Group on Trade and IFIsが7月6日(火)に 発表したプレス・リリースの翻訳です。

*同事業及びADBのアカウンタビリティー・メカニズムに関する簡単な説明は文末にあ ります。

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(以下、現地NGO Sri Lankan Working Group on Trade and IFIsのプレス・リリース)

「アジア開発銀行、スリランカの南部高速道路事業に関して異議申立て資格を認める!」

2004年7月6日

2004年7月6日、アジア開発銀行(ADB)アカウンタビリティー・メカニズムのスペシャル・プロジェクト・ファシリテーター(SPF)は、スリランカの南部高速道路事業に関する住民からの異議申し立てを認めた。今後は、住民の異議申し立てを基に事業の調査が行われることになる。

異議を申し立てたのは、南部高速道路事業の被影響住民の代表である、コロンボ-マタラ間高速道路被害者住民の会、アクミマナを守る会、GSS、と呼ばれる三つの団体の代表者。

SPFのナリン氏から住民に対して、以下のような連絡があった。「住民からの異議申立てと最近の調査から判断した結果、ADBのアカウンタビリティー・メカニズムのコンサルテーションフェーズの異議申立て資格が認められました。今後は、あなた方被影響住民や他関係者と連絡をとりながら、問題を解決の方法を探りたいと思います。」

「同事業の計画・承認・移転に関して、ADBの政策違反がみられる。」と、被影響住民であるアクミマナとバンダラガマ住民は主張。これらの住民達は、同事業の48kmに渡るルート変更によって人権侵害を受けており、今回のADBへの異議申し立てに至った。アカウンタビリティー・メカニズムは二段階に分かれているが、現在は、第一段階のコンサルテーションフェーズにある。住民側は、同事業に関して、ADBのガイドラインや政策違反に関する調査を求めている。

SPFの上級メンバーであるカリン氏は、被影響住民による異議申立て資格の有無を調査した。 申立ての中で、住民は、ADBの重大なガイドライン違反を訴えている。一点目は、最高裁判所が認めたように、同事業の実行にあたり必要となる事業承認が存在しないこと。二点目は、スリランカの道路開発局は、環境影響評価が行われたルートから、環境影響評価が行われていないルートに変更してしまったことである。その結果、現在高速道路が建設されているルートの40%、つまり128kmの道路のうち48kmに対する環境影響評価が存在していないのである。

ADBの政策では、事業による移転対象者は適切な補償を受けることになっており、土地や家が移転対象者に与えられることになる。2004年5月、ADBとJBICのスタッフが、同事業の再定住地を訪れているが、そこでは、これらの移転対象者に対する補償が全くなされていないことが明らかになっている。

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●スリランカ南部交通網開発事業(STDP)とは
スリランカの旧首都コロンボと南部のマタラを結ぶ128kmの道路を建設する事業。既存の高速道路とのリンクにより国内の交通網を充実させることが事業のねらい。

国際協力銀行(JBIC)は、同事業のうち、コロンボからクルンドゥガハヘテクマまでの75km区間の道路建設の際に必要な土木工事、資機材調達、コンサルティングサービスに、187億7000万円を政府開発援助(ODA)として供与することを決定。アジア開発銀行(ADB)は、クルンドゥガハヘテクマからマタラまでの、53km区間に対し、約90億円(9,000万ドル)の供与を決定。

十分な環境影響評価や住民との協議、住民移転計画の策定がなされていないなどの理由から、これまでに地域住民はADBの異議申立て制度や裁判などを行ってきたが、現在、道路建設の準備としての立ち退きが進められている。

●アジア開発銀行(ADB)のアカウンタビリティー・メカニズムとは
ADBは、1996年より、ADBのプロジェクトによって影響を受けた人々からの申立てをもとに、ADB の政策不遵守について第三者が調査を行うメカニズムである異議申立て制度を取り入れた。しかし、その後、その制度に関する運用上の様々な問題が明らかとなり、制度を改定し、2003年12月に新しく誕生した異議申立制度が、アカウンタビリティー・メカニズム。

アカウンタビリティー・メカニズムは、スペシャル・プロジェクト・ファシリテーター(SPF)によって行われるコンサルテーションフェーズと、遵守調査パネル(CRP)によって行われる遵守調査フェーズの二段階に分かれる。前者は問題解決を目指したもので、後者はプロジェクトによる被害を引き起こした、あるいはその可能性のあるADBの業務政策・手続き違反の疑いについて調査を行い、ADBのプロジェクトの政策遵守を確保することを目的とし、そのための勧告を行う。

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