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現地レポート (2005.07.03)
影響を受けた人数の適切な確定と補償の実施まで
――道のりの長い砂金採取者への補償に、住民の苛立ちの声


「事業者や融資者と一連の話し合いを続けてきたものの、これまでを振り返ると、 話し合いの場は影響を受けた住民の状況を理解して、事業者側と住民間の信頼を 醸成するというよりは、事業者側が住民の要求レベルを下げさせるような提案を し、事業者側の住民に対する責任を最小化しようとする場として利用されてきた。」 地元の農民団体の代表は、思うように進まない現在の砂金採取の補償交渉につい て、普段よりトーンの高い声でこう述べました。

2001年頃から高まってきた「砂金採取者への正当な補償」を求める地元住民の声。 その声に押させる形で、事業者側は住民組織との継続的な砂金採取に対する補償 交渉を2004年半ばにやっと開始しました。その当時の住民側の要求は、個々の砂 金採取者1735名に対する
 ・正当な金銭補償(2000年に砂金採取が禁止されてから現在まで年間57,000ペソずつ)
 ・(今後の)実効性のある代替の生計手段
の提供でした。

しかし、現在、約1年の話し合いの末に事業者側の提示してきた結果は、
 ・(住民組織が受け入れられない認定基準で)補償対象者を縮小(456家族)
 ・資金は110万ペソ(約220万円)しか用意できないので、生活支援プログラムの実施のために必要な追加の資金は、住民組織が銀行等から調達可能
といったものでした。4年間、補償を求めるための抗議活動や交渉を続け、「疲れた」住民側が、事業者との交渉過程で目に見える成果を求め、妥協してきた点もありました。しかし、住民組織にとって、事業者の提示した今回の結果は苛立 ちを覚え、到底受け入れることのできない内容でした。

日本の財務省は、砂金採取者への補償措置について、財務省・NGO定期協議会 (2005年2月18日)の中で次のように回答しています。
「(事業開始前、)砂金採取者の調査・認定・数の確定はなされていなかった。 今現在、砂金採取者が追加認定されている状況を見ると、事業開始前の調査で砂金採取者についてもきちんと調査されていることがより望ましかった。」
「原則として基本にあるのはJBICのガイドライン。JBICのガイドラインには『 (少なくとも)影響を受ける以前の生活水準・収入機会まで回復するよう努めなければならない』とあるので、本事業のように追加で認定された砂金採取者についても、それにしたがって適切に補償されるべき」。

この回答の趣旨に沿えば、JBICと事業者は、
 ・現在のように対象者を縮小するのではなく、事業者側の不適切な判断によって事業開始前に確定されなかった砂金採取者の人数を適切に確定すること (現在、事業者と補償交渉をしているサン・ニコラス町の住民組織のメンバー以外の住民も対象に含めること)
 ・JBICのガイドラインに準じたレベルの補償措置を取ること(そのための十分な資金も用意すること)
が必要なはずです。

JBICや事業者は「砂金採取者に対する対応の必要性を認め、住民側と交渉の場も持っている。問題を解決する仕組みがあるので、『問題ない』。」という認識で す。しかし、「仕組みがある」という「形式」を整えることのみではなく、「影 響を受けた住民」の「生活を向上する」という実質的な問題の解決が彼らの果たすべき責任ではないでしょうか。


砂金採取の補償交渉の背景については、こちらでご覧ください。   
   →https://www.FoEJapan.org/aid/jbic02/sr/press/20050703b.html
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