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現地レポート(5)
「地元住民 日本政府へレターを提出 ダムの操業中止を! 自分たちの灌漑プロジェクトを!」 (2002.11.26)
2002年11月26日


地元住民 日本政府へレターを提出

 「フィリピン:サンロケダム」への融資はもう要らない

 自分たちの灌漑プロジェクトを!
  11月26日(火)、フィリピン・サンロケダムの建設に反対する地元の住民組織「Tignay dagiti Mannalon a Mangwayawaya iti Agno (TIMMAWA)(アグノ川の自由な流れを取り戻す農民運動)」が、日本政府および国際協力銀行にレターを提出。来年3月に予定されている第26次円借款パッケージの要請リストであげられている、「アグノ川統合灌漑プロジェクト(サンロケ多目的ダム事業・灌漑部門から名称を変更)」について問題点を指摘し、慎重な融資の検討を求めました。

  同灌漑プロジェクトは、国際協力銀行の融資で進められている「サンロケ多目的ダム事業」の「灌漑部門」として提案されたものですが、TIMMAWAは、「サンロケ多目的ダム」が自分たちの求めている「灌漑プロジェクト」には必要ないことを明言。「サンロケ多目的ダム」に依存しない灌漑プロジェクトへの計画の変更を強く求めてきました。また、自分たちの本当に必要な灌漑プロジェクトを作り上げていくために、同灌漑プロジェクトへの計画段階からの適切な参加や情報公開、また、適切な社会・環境配慮の必要性を繰り返し訴えてきています。
  田おこし
 <パンガシナン州サン・ニコラス町サン・ラファエル・ウェストの水田>
 カラバオ(水牛)を使って田をすいている(2002年9月 FoE Japan撮影)
抗議活動
 11月23日「サンロケ多目的ダム事業」について行なわれたJBIC環境ミッションとの会合の間、ダム建設現場の外では抗議活動が行なわれた。(2002年11月 FoE Japan撮影)

抗議活動
 抗議活動の最中、町の有力者によるハラスメントで動揺する住民に状況を説明するTIMMAWAのリーダー
 

    これらの懸念や要求は、依然として多くの問題が未解決のまま進んでしまっている「サンロケ多目的ダム事業」の教訓を踏まえたものです。1998年に着工された「サンロケ多目的ダム事業」では、

   @先住民族の権利の侵害

   A影響を受けた地元住民の生計手段の確保の失敗

   B不当な電力購買契約の下での電力料金の高騰

――など、数多くの問題が指摘されてきましたが、今年8月には貯水が開始。その後も、住民の反対の声に真摯に耳が傾けられることなく、事業と融資のみが継続され、来年早々にも操業運転が開始されることが伝えられています。TIMMAWAは、この「サンロケ多目的ダム事業」のような事態が起こらないよう、同灌漑プロジェクトへの事前の「社会の合意」が必要不可欠であることも指摘しています。

  しかし、現在、その「社会の合意」を得るプロセスとして欠かせない「適切なコンサルテーション」を行なうことが、非常に難しい社会状況も生まれています。灌漑プロジェクトの予定地周辺では、サンロケダムに反対し、灌漑プロジェクトの計画変更とそのプロセスへの適切な参加等を要請している住民への地元の政治家・有力者による監視の目がかなり厳しくなっており、とくに、TIMMAWAのメンバーへのハラスメント、活動の妨害は顕著です。11月23日(土)、国際協力銀行の現地環境調査ミッション
と住民との間で行なわれた会合(「サンロケ多目的ダム事業」の問題点について協議)の最中にも、ダムサイト前で抗議活動を行なっていた住民らを町の有力者が糾弾する というハラスメントがありました。

  国際協力銀行は、2002年4月、新環境ガイドラインを制定し、その中で「透明性の高い開かれたプロセスの確保」や「事業計画段階からのステークホルダーの参加」を重要項目としてあげています。10月にはその新環境ガイドラインの部分施行も始まっています。日本政府、および、国際協力銀行は、すでにプロジェクトを健全に進めていく上で欠かすことのできない、住民の参加、適切なパブリック・コンサルテーション、情報公開などを確保できる社会状況が、現在、失われていることを十分認識し、新環境ガイドラインの精神に基づき、このような社会状況の改善、また、ODAによる融資の拠出について慎重に検討することが求められています。


>>レター本文



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●アグノ川統合灌漑プロジェクト (サンロケ多目的ダム事業・灌漑部門) について

 サンロケダムの灌漑部門については、フィリピン国家灌漑庁がダム建設と並行して計画を
立案。当初は、「サンロケ多目的ダム事業・灌漑部門」として、アグノ川流域70800ヘクタールの灌漑用水の確保を念頭に計画されてきたが、「サンロケ多目的ダム事業」本体に対する住民の強い反対の声、また、多くの懸念事項から、「アグノ川統合灌漑プロジェクト」と名称が変更され、その規模も34450ヘクタールに縮小された。現在、フィリピン政府は総工費1億3800万ドルのODA拠出を日本に要請している。地元住民は、既存の灌漑用水路のリハビリテーション、古い灌漑用ダムの修理などを求める一方で、大規模な灌漑プロジェクトによる農地の収用など、多くの懸念を依然として指摘。計画の変更を迫っている。
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