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プレスリリース 日本及びフランス銀行団 サハリンIIへの融資に環境団体の非難
 

2008年6月17日

【プレスリリース】

日本及びフランス銀行団 ロシア・サハリンII石油・天然ガスプロジェクトへの融資に環境団体の非難

2008年6月17日

東京−国際協力銀行(JBIC)及び民間銀行4行が、様々な環境社会問題を引き起こしてきた極東ロシアにおけるサハリンII石油・天然ガス開発プロジェクト(*)への53億ドル(5500億円)融資を決定したことに対し、環境団体はこれを非難している。

国内外の野生生物の専門家や環境団体は、以前より、同事業がサハリン島の環境 並びに、オホーツク海域の環境及び漁業資源に与えるであろう負の影響を指摘し、JBICに同事業へ融資を行わないように求めてきた。また、事業主体のサハリン・エナジー社(以下、SEIC)による数々の環境社会配慮上の不備や環境破壊を指摘してきた。

事実、日本にも影響する「油流出対応計画」は一部しか公表されていない、あるいは、生物多様性を保全するための「行動計画」は未だに議論が始まった段階に あるなど、数々の未解決の問題が残るのが現状である。

このような状況の中、日本の政府系金融機関であるJBIC、及び三菱東京UFJ銀行、みずほコーポレート銀行、三井住友銀行、BNPパリバ(仏)銀行がサハリンIIに 融資を決定したことは、自ら持つ環境政策に大幅に違反することになる。

FoE Japanの神崎は、「現状において、JBICと他の日本及びフランスの銀行がサハリンIIに融資を決定したことに、憤りを感じずにはいられない。自らの環境基 準に反するプロジェクトへの融資を決めた日本政府の金融機関の決定を非難するロシア及び国際的な環境団体と同じ思いである。銀行はこれをどう正当化できるのだろうか。」と述べる。

同事業においては、SEIC及び銀行団が委託した専門家や、国際的なあるいはロシアの科学機関、ロシア政府当局などが過去数年にわたりJBIC及び民間銀行の環境 政策への違反を確認・実証してきており、今回の融資決定は融資団が自らの環境社会政策に違反することを表すものである。2008年6月11日、17団体が銀行団に送った14ページに渡る書簡にこれらの違反の例が多く記されている。(NGOからの書簡リンク) https://www.foejapan.org/aid/jbic02/sakhalin/pdf/20080611JBIC%20letter.pdf.

「開発による環境破壊や政策違反を指摘してきた幅広い専門家達の間では、サハリンIIは環境的、社会的に失敗であるとの意見が大勢を占めつつある」、とサハリン環境ウォッチ代表の、ドミトリ・リシチンは言う。

環境団体が提出した書簡には、6月上旬に行った調査の写真レポートが添付されており、これも以下のリンクからご覧いただける。
https://www.foejapan.org/aid/jbic02/sakhalin/pdf/20080611.pdf

環境団体は、JBIC及び民間銀行のサハリンIIへの融資は、他の国際的な銀行団が至った「融資をしない」結論に矛盾している、と強調する。「サハリンIIは、欧州復興開発銀行、英国の輸出信用保証局、及び合衆国輸出入銀行の環境面での要件を満たしたことがない。事業の基本的な環境社会配慮の不備は、これらの公的銀行が最終的に融資を取り下げる決定へとつながった」(11日書簡より一部抜粋和訳)

「これら5行の銀行の決定は、他の多くの国際的な銀行が環境や社会政策を世界的に高めようとする努力に傷をつけるものだ。」と米NGOパシフィック・エンバ イロメントの政策ディレクター、ダグ・ノーレンは言う。

連絡先:
国際環境NGO FoE Japan, 03-6907-7217, watanabe@foejapan.org(神崎・渡辺)
サハリン環境ウォッチ, +7 4242 74 75 18, sakhalinwatch@yandex.ru(Dmitry Lisitsyn)
Pacific Environment +1 202 465 1650, dnorlen@pacificenvironment.org(Doug Norlen)

脚注(1)サハリンIIはガスプロム、ロイヤルダッチシェル、三井物産及び三菱
商事の出資によるサハリンエナジー社が実施している。サハリン北東部周辺の海
域は絶滅の危機に瀕している野生生物の生息地となっている。例えば、生息数約
100頭といわれるニシコククジラ、国際自然保護連合(IUCN)及び日本哺乳類
学会に絶滅危惧種に指定されているトド、鳥獣保護法の対象種であるアザラシ、
天然記念物及び日露渡り鳥条約の保護指定種でもあるオオワシ、環境省のレッド
データリストで絶滅危惧種に指定されているイトウ、ロシアで絶滅危惧種のカラ
フトアオアシシギとハマシギ亜種などである。これらの野生生物は、同事業の開発
行為によって脅威に晒されてきた。さらに、オホーツク海沿岸は、蟹、海老、タ
ラ等の豊かな漁場であるとともに、他の北太平洋地域では減少している野生の鮭
の産卵場所にもなっており、これらの豊かな海には油流出の危険が伴う。

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