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サハリンU 事実に基づいた公平な報道のお願い
 

9月18日、ロシア政府は環境問題を理由にサハリンII石油・天然ガス開発第二期工事の承認を取り消しを決定しました。

この件について 様々な報道がされていますが、背景にある「意図」ばかりに焦点が あてられ、「現実にサハリンに存在する深刻な環境問題」を知ろう とする様子がほとんどありません。とても偏った報道であり、読者や視聴者に一面的であり、時には誤った情報を伝えています。

22日、FoEJapanは報道各社に対して、以下の要望レターを提出しました。


報道各位

2006年9月22日

サハリンII 石油・ガス開発における
事実に基づいた公平な報道のお願い

ロシア政府がサハリンII石油天然ガス開発の事業計画の承認を取り消した件で、連日報道がされています。
大半の記事は、今回のロシア政府の動きを政治的、経済的な側面からのみ報道しており、直接的な原因である環境問題の実態はほとんどとりあげていません。

こうした報道は一面的であり、事実に基づいた公平なものとは言えません。サハリン2には深刻な環境問題が存在します。ロシア政府は自国の法律に則って手続きを進めています。これはサハリンIIに対するいかなる意図があるにせよ、実際に環境問題がなければ、なし得なかったことです。

問題になっているパイプライン建設工事は、開発当初より許可された工法を逸脱した工事が行われ、大量の土砂を河川に流入させました。NGOからの指摘を受け、融資を検討していた欧州復興開発銀行(EBRD)のルミエール総裁は、「環境、繁栄、そして人間の尊重に関わる問題」として、2005年6月に融資の延期を発表しました。 >詳細
その後も深刻な状況が現存し続けた証拠に、EBRDは2006年9月現在も環境問題を理由に融資を実施していません。

今回ロシア政府が指摘した地滑りを引き起こす恐れのある箇所は、放置しておけば、パイプラインの破裂という大惨事をもたらすと言われています。指摘を受けながらもSEICが開発を強引に押し進め、環境問題の根本解決を図ろうとしてこなかった明確な現れのひとつです。

ロシアは環境を重要視する国ともいわれています。2006年4月、プーチン大統領が、東シベリアー太平洋パイプラインのルートをバイカル湖から遠ざけるよう大統領令を出したのもその例です。

現在、政府高官レベルによっての話が続けられていますが、日本の政治家や官僚が現地で起きている環境・社会問題の事実を把握せぬまま、ロシアを非難する発言が目立ちます。資源のない日本は、金の力を借りて他国から資源を得るしかありませんが、それには相手国の環境や社会を尊重することが大前提であるべきです。今回、このエネルギー自主開発事業において、隣国住民への配慮を実施できなかったことを日本は認識すべきです。

日本の国民が問題の本質を見誤り、両国間の問題を複雑化させるのではなく、事実をしっかりと把握した上での解決策を見いだせるよう、事実に基づいた公平な報道を切に願います。

なお、サハリン2の事業費が倍増した理由について、環境問題を上げるケースが多々見られますが、これも事実と異なります。当時の事業者の発表では、原油高による鉄鋼価格の増加や円安による影響なども理由に含まれています。環境対策は一部に過ぎません。事業費倍増の理由を環境対策とし、「すでに事業者が大量のお金を環境問題に注ぎ込んだにもかかわらず、ロシアは今回の事態を引き起こした」という報道は、事実に反しており、誤った認識を読者に与えるものと思います。

以上、何卒よろしくお願いいたします。

                              【本件に関する連絡・問合せ先】
                              FoE Japan 開発金融と環境プログラム
                              電話:(03)3951-1081 FAX:(03)3951-1084

サハリンII開発では、多岐にわたる環境影響が問題とされています。南部アニワ湾での液化天然ガス(LNG)プラント建設にともなう土砂投棄による海洋生態系への影響、海上掘削リグの建設による絶滅危惧種への影響など様々です。また、約40キロしか離れていない北海道へ越冬する天然記念物オオワシの繁殖地もパイプライン建設によってすでに一部喪失しています。ひとたび油流出が起きれば北海道の漁業資源に大打撃を与えると言われています。これらの懸念は1990年代後半から、NGOなどによって事業者に伝えられましたが、その大半は無視され工事が進行し、すでに開発の約80%程度が終了しています。

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