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FoEと国際NGOがJBICに融資判断中止を求めるレターを提出
           
 

2008年6月11日

一部の報道によれば、サハリンII石油・天然資源開発事業フェーズ2の国際協力銀行(JBIC)の融資判断が6月中旬にも行われるとの情報があります。同事業では、これまでにも、事業主体であるサハリン・エナジー社による数々の環境社会配慮上の問題点が指摘されてきましたが、パイプライン建設現場では、一定の改善が見られるものの、いまだにより多くの場所で、適切な環境配慮が行われず(最新のモニタリングレポートはこちら)、土壌浸食、土砂滑り、土砂の河川への流入が頻繁に起きており、生態系への深刻な脅威となっています。特に、絶滅が危惧されるニシコククジラや大鷲に対する影響、希少種であるイトウや鮭などへの影響が危惧されています。また、油流出が起きたときの対応計画の未整備、移転政策の不備、そして先住民族の文化影響評価の不在など、多くの社会問題もいまだに解決されていません。

したがって、FoE Japanを含む17の国内外の環境団体は本日、JBICが自身の環境社会配慮政策を遵守し、また、過去にJBIC以外に同事業への融資を検討していた公的金融機関が融資中止を決定したように、国際的な取組みを揺るがさないためにも、JBICの融資中止を求める書状を提出いたしました。


以下は、書状の日本語要約です。(*要約:久保田芳彦)



書状の中で触れられているサハリンIIのガイドライン違反には次のようなものがあります。

まず、国内外のNGO、公的及び民間銀行、企業、ロシア政府、ロシアの科学機関、サハリン・エナジー社によって任命された専門家などが認めた政策違反があります。欧州復興開発銀行、英国の輸出信用保証局、及び合衆国輸出入銀行はこの結果から融資を取り下げることとなりました。

次に、パイプラインの河川横断計画は2002年には問題視されたにもかかわらず、解決されないままに履行され多大な環境破壊を引き起こしました。2008年5月末〜6月初旬にFoE Japan、サハリン環境ウォッチ、及びパシフィック・エンバイロメントの3団体が行ったモニタリングでも侵食防止策の不備などを含む多くの問題が確認され、さらには完成したはずのパイプライン区間が、未公表のパイプラインの不備のため、掘り返されている実態も明らかとなりました。この修復プロセスには時間がかかっており、さらなる完成の延期につながると考えられます。

また、サハリンIIは、長年にわたる改善の約束にもかかわらず、日本とロシアの漁業に許されがたい油流出の危険を伴い続けています。石油会社は氷海における信頼できる油流出対策を持たないことから、この問題は特に危惧されています。さらに、フェーズ2においてサハリンIIの石油を輸送するタンカーに掛ける最低限の保険はフェーズ1のそれより劇的に減少され、日本とロシアはより一層、環境、財政、評判に関わるリスクを負うことになります。

サハリンIIはオオワシやコククジラを絶滅の危機に追い詰めていますが、サハリン・エナジー社は専門家による保護のための提案を無視しています。生物多様性に関しても生物多様性活動計画の制定は遅れ、事前の協議なしで影響を受けやすい鳥の孵化場の開発が行われました。

また、サハリン・エナジー社は歴史的に社会影響に対処するのが遅く、移転計画も多くの抗議の後、ようやく制定されましたが、それでも移転計画に反して予防策をとることに消極的です。また、ずさんな事業計画により労働者のための十分な住居が確保されなかったために、労働者が地元社会に流れ込むことによって多くの問題が起こりました。サハリン先住民族開発計画の制定も世界銀行の政策に反して、事業の開始後、先住民族の抗議を機に制定されたのです。これは、予防的な意味を全くなさない上に、5年間のみ有効で、先住民族が最重視している文化影響評価の要望はサハリン・エナジー社によって却下されました。

最後に、サハリン・エナジー社は十分な基礎データを集めず、予防策も不十分、適時情報公開も行わず、ニシコククジラの専門家の意見を無視しました。NGOの分析によると全約束事項の41%が破られています。AEAレポートによるとその数字は70%にも上る可能性があります。

こうした指摘は、事業が、環境及び社会に著しい負の影響を与えており、JBICが自身の環境社会配慮政策を遵守するために、融資を行うべきでないことを示している。

英語原文はこちらから



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