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サハリン環境ウォッチによる現地モニタリングレポート  【2008年4月】        
 

2007年05月28日

サハリン環境ウォッチから2007年4月3日時点の現地状況モニタリングレポートが届きました。

モニタリングレポート原文(写真あり)はこちらから

以下はモニタリングレポートをFoEJで翻訳したものです。上のモニタリングレポートの写真と合わせてご覧下さい。

(翻訳協力:中村 玲奈)

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表紙
サハリン州DolinskyにおけるサハリンIIプロジェクト本管パイプライン建設に関する調査レポート(「環境保護に関する」連邦法第68条に基づくパブリックモニタリングの一部として、2008年4月3日に実施)

P.1
パイプラインが通るRybnaia川の概観です。写真の右側に、川床を通ったキャタピラー機械の跡が残っています。

P.2
2008年4月3日に行われた調査の期間中、以下のパイプラインルートの区域を観察しました。

1)オホーツク海へと流れ出ているRybnaia川にかかるパイプライン、パイプライン通路にある川に接する傾斜(PK448.4)、そしてパイプラインから400メートル下流の川の区域。
2)Krasnaia川と、Red川及びBaklanoyka川に注がれるたくさんの小さな水路が交わる場所のパイプラインルートの区域(PK460.2からPK465.0の間のパイプライン約5Km)。

これらのパイプライン区域の建設下請け業者は、ウェルディング・アセンブリー・トラスト社であり、本管パイプラインの建設契約者はスタルストロイ社です。

Section1
Rybnaia川を横切るパイプラインは、石油パイプラインが2005年5月に、ガスパイプラインが2006年4月に建設されました。にもかかわらず、この区域において、本来の地形を回復し、侵食防止のため傾斜上に仕切りを設置することによって、パイプラインの敷設地を整地し、技術的に再開墾(technical recultivation)することは、今日に至るまで行われていません。

侵食防止と堤防強化対策への取組み(川の堤防強化のためのネット及び堤防に沿ったスラッジ防止スクリーンの取り付けのための地質技術的構造を含む)は、私たちの調査中に開始されました。

パイプライン敷設地の近くの、川床に下がる川谷の左側の傾斜に沿って、キャタピラーを移動させるための道路が最近建設されました。橋がなく、機械が川床を通った跡が残っていることから、道路は川床の中で終わっていることがわかります。

Rybnaia川の谷の右側の傾斜には道路がなく、傾斜は雪に覆われており、侵食の進行は確認されていません。一方、最近建設された道路に近い、(川谷の)左側の傾斜の侵食は非常に進んでおり、急流が地面に溝を掘り、泥をRibnaia川の川床に運び込んでいます。

調査中、私たちは掘削機が道路に沿って下流に進んでいき、機械のトレッドが二つの泥水の流れを前方に押し出しているのを確認しました。パイプラインルートの上流では、Rybnaia川の水は透明できれいです。パイプラインルートの下流は、Rybnaia川がオホーツク海に注ぐところまであり(約500メートル)、川の水は茶色く、非常に不透明で汚れています。調査者によると、浮遊微粒子によるRybnaia川の汚染は、許容基準を超えた活発な侵食が起こっている間に、溶けた雪によって、パイプラインルートから流れ込むといいます。これは、傾斜を安定にし、傾斜の決壊を防ぎ、川の堤防を強化するための対策がとられていないために起こるのです。
Rybnaia川の環境の悪化の主な要因は、最近建設された道路と、道路に沿って機械を動かしたことにより、侵食が進行したことによる。このことは、雪解けの時期には断じて禁じられるべきである。

P3
Section 2.
この区域におけるパイプラインは2005年から2006年の上半期に、埋設されました。技術的な再開墾(technical recultivation)と整地(パイプラインルート建設中に取り除かれた土壌を元に戻し、地形を元の状態に戻すこと)は2006年の冬から2007年にかけて行われました。2007年の春から夏の間、この地域で活発な侵食と地滑りが起こりました。これらの原因の一つには、技術的な再開墾(technical recultivation)が、冬の間、雪に覆われている凍結した土の上で行われたことがあげられます。2007年の秋には、全ての地滑りと侵食は収まり、堆積された土は川床から取り除かれ、スラッジ防止スクリーンが設置され、侵食防止の仕切り(土壌に対するバリア)が傾斜に設けられました。

私たちの調査中、パイプラインルートのこの全ての区域は雪に覆われており、そして影響を受けていない区域の侵食の進行はまだ確認されませんでした。

しかし最近、この区域全体に沿って、定期的なキャタピラー機械の作業のため、道路が建設されました。6つの異なる小川を通るために、小川の川床と谷の最下部は土で覆われ、その上を道路が通っていました。その土は、最近になって、氷と川床を覆う雪(全ての川床には現在水がある)の上に直接覆われました。また、これらの小川を調査する過程で、水が土壌を通れるように設計されたメカニズムや設備は見つかりませんでした。未使用の排水溝が、いくつかの埋め立てられた小川の隣の雪の上に横たわっています。このパイプラインルートの5箇所では、技術的な再開墾(technical recultivation)と整地の後、最近の掘削作業により、表層がダメージを受けました。2箇所において、作業は完了しておらず、地面から光ファイバーケーブルが突き出ています。再開墾の際に、ダメージを受けたケーブルの修復作業を行ったFudzhikura社が所有するクロスカントリー・ビークルがこの区域に置かれています。

調査者によると、修復掘削作業の発生と、特に、活発な雪解けの時期における川床の埋め立てによる道路建設は、新たな侵食、地滑りの進行及びそれに付随したKrasnaia 川とBaklanovka川の汚染の進行をもたらしたといいます。継続している雪解けの間、氷の上の建設用の土山と雪に覆われた小川は、確実に川床に流れ込むでしょう。この区域における全ての建設作業は、非常に変化に富んだ地形を有する他の区域と同様、環境の脆弱性や傾斜の不安定性が高まる春期には、禁止されなければなりません。特に、これは掘削や重機の稼動に関係しています。

P.4
PK 488.4 Rybnaia川谷(左岸)における傾斜の概観。この傾斜に沿って最近道路が建設されました。この傾斜は南側から強い直射日光を受けることで、雪解けが早まります。キャタピラーの稼動が雪解けをより一層加速させ、溶けた水を道路に集めます。

P.5
PK484.4 道路の存在と、道路上での活動は、傾斜において、溶けた水による土壌の侵食を相当活発化させます。

P.6
PK488.4 活発な侵食の結果、泥がRybnaia川に流れ込み、流れ込む泥の量は、重機が通った後は一層増加します。

P.7
PK488.4 事実、パイプライン通路にある道路からRybnaia川へ流れ込むのは汚濁水ではなく、液状の泥です。通常、この季節の自然な状態では、川の水はきれいなはずです。
このことは、Rybnaia川を通るパイプラインルートの上流や、Dolinsky地方でパイプラインルートの結果として引き起こされる侵食の影響を受けていない他の全ての川においても見られます。

P.8
PK488.4 Rybnaiaの川床を、キャタピラー機械が通る場所です。Rybnaia川は、道路の泥が、左岸から川に流れ込む場所の上流にあります。この地域では川の水が(道路からの泥と混ざるまで)きれいなことが確認できます。
(矢印)川床のきれいな水

P.9
PK488.4  Rybnaia川に道路から泥が流れ込む地点です。(矢印上)泥の流れの方向。(矢印下)Rybnaia川の流れ。

P.10
Rybnaia川で、サハリンUのパイプラインが交差する地点から300メートル下流の地点です。川の水は明らかに汚れています。

P.11
PK488.4 Rybnaia川谷の傾斜(右岸)の概観です。ここでは、雪の表層は保たれ、最近建設された道路や重機の稼動もありません。よって、侵食の進行も確認されず、この傾斜からの川の汚染も今のところ確認されていません。

P.12
PK461.0 Krasnaia川へ流れこむ小川の上流の傾斜の概観です。完成したものの、最近の道路の建設によって妨げられてしまった侵食防止バリアのあるパイプラインの区域を見ることができます。

P.13
PK461.0 道路の建設のため土に覆われた川床です。水を通す設備はなく、土は氷雪の上に積み上げられています。

P.14
PK461.7 小川を横切る道路の建設のために土で覆われた別の川床です。水を通す設備はなく、土は氷雪の上に積み上げられています。左には捨てられた排水管が地面の上に置かれています。

P.15
PK461.7 前の写真(P.14)と同じ場所です。土の塊が川床に積み上げられ、地面には排水管が横たわっています。

P.16
PK462.0 クロスカントリー・ビークルを使った、光ファイバーケーブルの修復作業。

P.17
PK462.6 最近建設された道路によってダメージを受けた別の傾斜です。

P.18
PK462.6 別の区域の傾斜では、土壌の流出が起こっていないにも関わらず、この道路上に、直線状の侵食がおこっています。

P.19
PK462.6 右側は、最近掘削が行われて(光ファイバーケーブルの修理)ダメージを受けた区域です。左は、現在使われている道路です。

P.20
PK462.2 機械を移動させるために、氷雪の上に土で覆われた別の小川です。氷が解け始めると、この土の山は小川に流入し、さらに小川の流れが続くBaklanovka川に流れ込むでしょう。


 

 



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