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国際金融公社(IFC)環境社会配慮政策 弱化への懸念 
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2004年12月16日


国際金融公社(IFC)の環境社会配慮政策改定
弱化への懸念の声上がる!




世界銀行の民間投資部門を担う、国際金融公社(IFC)が現在、環境社会配慮政策(セーフガード政策)の改定を行っています。この改定のプロセスや、改定政策のドラフトについて、国際的にNGOから懸念の声が上げられています。セーフガード政策改定が、一体何を意味するのか、NGOが何を問題としているのかについて、お伝えし ます。


■「IFCのセーフガード政策改定」の意味■

セーフガード政策は、プロジェクトの環境社会配慮について定められています。IFCは、「環境アセスメント」や「非自発的住民移転」「先住民族」など10のセーフガード政策を持っています。IFCのセーフガード政策改定は、単にIFCの政策や基準を改める、という以上の深い意味を持っています。例えば、みずほコーポレー ト銀行を始め、世界の大手銀行26行が批准している環境社会配慮の指針である「エクエーター原則(赤道原則)」は、IFCの基準を元に作られたものです。また各国の輸出信用機関(ECA)においてもIFCの基準は参照されています。もしIFCの基準が弱まれば、このような他のいろいろな公的金融機関や銀行にも少なからず影響が及ぶことは容易に想像がつきます。このような状況を、NGOは"Race tothe bottom(基準の弱化競争)"と呼び危惧しています。今回の改定では、セーフガード政策とともに情報公開政策を改定しています。


■IFCによる地域会合とステークホルダー(利害関係者)会合■

IFCはセーフガード政策と情報公開政策の改定にあたり、世界4ヶ所(リオデジャ ネイロ・マニラ・ケニア・イスタンブール)での「地域会合」を開催することにしていました。この地域会合は、関心のある人々の自由な参加が許されておらず、IFCによって招待された人しか参加できませんでした。また先進国のNGOは全く参加を許可されていません。これは、今回の改定プロセスについての多くの問題点のひとつにしか過ぎません。

9月16日に世界180以上の市民団体が世界銀行に向けてレターを提出してから、この「地域会合」に加えて、7ヶ所でのステークホルダー会合が開かれることになりました。しかしレターの中で求めた多くの点について、IFC側が見直しを実質上拒否したため、ワシントンで開催されたステークホルダー会合にはほとんどのNGOが参加しませんでした。それに続き、各地の地域会合やステークホルダー会合でも、NGOによる参加のボイコットが相次いでいます。

IFCは当初、来年2月の理事会での改定政策の承認を目指していましたが、現在予定のプロセスに遅れが見られています。NGOは10のセーフガード政策を見直すのに十分な時間と参加が確保されるよう主張し、プロセスの見直しを訴えています。


■新しい改定ドラフトの問題点■

8月に公表されたドラフトでは、元の10個のセーフガード政策を、1つの政策と9つの運用基準(Performance Standards)に置き換えています。さらに運用基準について詳細を記した解釈ノート(Interpretation Notes)が作成され、11月上旬に公開される予定でしたが、未だに公表されていません。

運用基準の中身は、「可能な場合は」「適切な場合は」という表現が多く見られ、非常にあいまいなものになっており、適切に運用がなされるかが懸念されます。また、国際条約や協定の遵守要求など、既存の政策にある重要な項目が抜け落ちている部分が見受けられます。


■今後の予定■

IFCの予定では、12月17日に第一回のパブリックコメント期間を終了。2005年1 月10日、出されたコメントを反映したドラフト(Indicative Draft Policy)を公表。2月下旬〜3月上旬に、理事会の小委員会のコメントを含めた最終ドラフトを30日間パブリックコメントにかけた後、理事会に提出、承認される予定になっ ています。

FoE Japanでは国内外のNGOとともに、改定プロセスそのものが見直され、最終的により高い基準が策定されるよう、IFC、日本理事、財務省に対する活動を続ける予定です。

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