サンロケ多目的ダムプロジェクト
プレス・リリース(2002.06.17)


※6月22日に開催された多者間会合について
→→会合の報告(2002.06.22)
→→国際協力銀行へ融資凍結を求める要望書(2002.06.25)
→→国際協力銀行への要望書・賛同依頼(2002.07.10)

2002年6月17日

各位

「貯水をストップして!」

フィリピン・サンロケダム多者間会合 初の開催へ

 6月22日(土)、日本の国際協力銀行の融資で建設が進むフィリピンのサンロケダムについて話し合う会合が、ダムの建設現場で開催されます。現在、ダムの建設工事は約90%まで完成しており、国際協力銀行の融資(約800億円)も残すところ約10%だと言われています。しかし、この事業の影響を受ける先住民族や住民の指摘してきた問題の解決は一向に進んでいません。事業者が今年7月にダム湖への貯水を開始予定にしているため、自分たちの懸念がそのまま無視されるのではないかと地元住民の危機感は増すばかりです。

 こうした中、今回の会合には、日本から私たち国際環境NGO FoE Japanのほか、国際協力銀行、そして、その監督官庁である財務省も出席を予定。サンロケダムの建設が1998年に始まって以来、初めて、現地の先住民族や住民をはじめ、フィリピン政府や事業者など、異なる立場の関係者が一堂に会して、これまでの問題点を明らかにする会合が開かれることになりました。

 これまでは、事業者と住民、事業者と融資者といった二者間での会合が個別に開かれ、「会合を開催した」という形式のみが先行し、適切な住民参加や問題への対応が図られてきたかは問題とされてきませんでした。その結果、@先住民族の合意の欠如(フィリピン先住民族権利法の違反)、A自治体の合意の欠如(フィリピン地方自治法の違反)、B被影響住民の生活再建の失敗などの問題は、ダムの建設工事が始まって以来4年間、解決されることなく、事業は継続されてきたのです。また、国際協力銀行も住民側の反対運動が続く中、公的資金(約800億円)を融資し続けるという状態が続いています。

 今回の会合で、問題解決が依然として進んでいない現状が明らかになれば、矛盾を抱えたまま事業を継続してきた事業者のみならず、そのような杜撰な事業に融資を継続してきた日本政府の責任が問われることになります。

 会合はオープンなものとされており、オブザーバーとしてメディアの参加も可能となっています。

 また、会合後には1時間の記者会見も予定されています。 会合の内容および結果はまた日本に帰国後、ご報告したいと思っております。 引き続き、皆様のご協力をよろしくお願い致します。

       本件に関するお問い合せはこちらへ

 

 国際環境NGO FoE Japan(担当:松本、波多江)  TEL0339511081 FAX0339511084
  E-mailhatae@foejapan.org
   WEBhttps://www.FoEJapan.org

 

 

●サンロケ多目的ダムプロジェクトの会合について

 1.日時

   20002年6月22日(土) 午前9時より午後3時まで

 2.場所

   フィリピン・ルソン島北部・パンガシナン州 サン・マニュエル町 サンロケ村
   サンロケダム建設現場内のサンロケパワー社オフィス

 3.会合プログラム(仮)

   9:00− 9:10  会合開催の背景説明
   9:10− 9:30  出席者自己紹介
   9:30−10:00  ダム建設現場上流の被影響住民(先住民族)のプレゼンテーション
  10:00−11:00  事業者による回答/ディスカッション
  11:00−11:30  下流の被影響住民のプレゼンテーション
  11:30−12:30  事業者による回答/ディスカッション
  12:30−13:30    ―― 昼食休憩 ――
  13:30−14:00 総合ディスカッション
  14:00−15:00 記者会見

 4.会合の参加予定者(仮)

  ・被影響住民12名 (ダム建設現場の上流・下流ともに含む)
  ・現地NGO・コルディリェラ民族同盟

  ・大統領補佐官・ルソン島北部担当 レナト・ディアス氏(兼会合ファシリテーター)
  ・フィリピン電力公社(NPC)
  ・サンロケパワー社(SRPC)(丸紅、関西電力、米サイス・エナジーの現地合弁企業)

  ・日本政府(財務省)
  ・国際協力銀行
  ・
FoE Japan     

 その他、関連自治体の議員なども参加を予定

 

●サンロケ多目的ダムプロジェクトとは?

 ルソン島北西部を流れるアグノ川上流で建設中のサンロケダム(345MW)は、発電、灌漑、水質改善、洪水制御を目的とした多目的ダム。事業の発電部門を担当するサンロケパワー社は丸紅や関西電力などが出資してつくった現地の合弁企業だ。また、事業の総工費12億ドルのうち約7億ドルを日本の国際協力銀行が融資している。このダムは下流で多くの立ち退き者を出すだけでなく、土砂堆積や集水域管理計画の不備により、上流の先住民族にも多大な被害を与えると考えられるため、住民組織や自治体、国際NGOが計画の見直しを求めてきたが、ダム建設は現在90%まで進んでしまっている。

→→サンロケダム問題の詳細をみる