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トピック&キャンペーン
グローバル化と地球環境
貿易自由化の構図
貿易自由化交渉
WTOの交渉テーブル
グローバル化と地球規模の環境保護の整合性・相互支持は可能か?
グローバル化は概念的には良いことのように思えます。国際交流の促進や文化交流等による相互理解の増進が、平和の維持・促進に繋がる限りそれは良いことでしょう。しかし地球の天然資源が有限であり、環境負荷許容量も有限である中で、経済成長を促すための「経済のグローバル化」が、今、様々な問題を生みつつあります。

世界人口は、現在の60億人から50年後には90億人になると予想されています。先進国では過剰消費・飽食の社会となる一方、途上国では貧困による餓死者が増加しつづけています。それにもかかわらず、ケアンズグループ(※)と呼ばれる一部の先進国は、農産物を日本などの先進国、更には農産物があるのに価額競争力のない途上国に売ろうとやっきになっています。

水の問題はもっと深刻です。先進国の水事業者は途上国への水道事業に参入し、高い料金の水を買える人にのみ供給し利益を上げようと画策しています。金持ちさえ生き残れれば良いというのが「経済のグローバル化」のゴールなのでしょうか? ヨハネスブルグの環境サミットで採択された「世界実施文章」にある、貧しい人々の「水へのアクセス」改善目標は、世界貿易機関(WTO)の交渉の中では空文になる恐れすらあります。


※ 国際交渉の中での共通の利益を持つ国が集まったもの、この場合は米国・豪州・ニュージーランドなど農産物輸出先進国
貿易自由化の構図
貿易自由化とは国際間の物資・サービスの交流の促進です。輸入関税を引き下げたり、その他の法規制や非関税障壁の撤廃により進められています。これによって恩恵を蒙る人は誰なのでしょうか? そして負の影響を受けるものは?

輸出国(生産者・輸出企業)では経済的利益が得られるでしょう。雇用の増大も期待できます。ただし「その生産活動が持続可能で、これによる環境負荷が増大しない限り」という条件が、最近付けられるようになりました。
一方、輸入国(消費者)では、安価で多様な物品が得られると言う大きな恩恵に預かりました。この消費者が輸出関連企業に働くかぎり、貿易自由化は「WIN-WIN」ゲームですが、輸入産品と同じモノを生産・販売している国内の人たちは収入の道が絶たれることになります。

安い労働力を使った、或いは高度な技術で大量生産された商品しか、貿易自由化の市場では生き残れなくなっています。日本の農業・漁業・林業は量産化が出来ないために衰退の道を歩んでいます。多くの途上国の農業も同じ運命にあります。米国でも個人農業主や小規模林業家が切り捨てられようとしています。日本の輸出関連企業で働く労働者も、工場が賃金の安い途上国に移転することにより職を失うことになります。幾らモノが安く入ってきても消費者の収入が乏しければ「WIN-WIN」ゲームにはなりません。

貿易・投資の自由化で「勝ち残るのは」多国籍企業の資本家と経営者と技術者であって、一般大衆は「経済発展」や「貿易自由化」によって生み出される「利益」の分け前は貰えないどころか、伝統的生業は奪われ、都会に出て不当に安い賃金で健康を損ね、大量の失業者を生み、これが社会不安を生むという「負け組み」を大量に作り出しています。世界の国際NGOの多くは、このような論理によりシアトル以降、貿易自由化に反旗を翻して来ました。
貿易自由化交渉〜WTOと地域内貿易協定

WTO交渉の順調な進展に翳り?
1999・シアトルで思わぬアクシデント − 第3世界の反逆、その後も続く途上国の反発。
農業問題でケアンズとEU・日本の対立 − 2003・2月の東京閣僚会合でも溝は埋まらず。
TRIPSと医薬品 − アフリカの患者救済が緊急を要するのに、米・スイスが譲らず。
ルール/アンチダンピング問題 − これもアメリカの横暴がネックに。途上国も強硬に抵抗。

二国間・域内の貿易・投資協定(経済連携協定)に乗り換え?そして加速?
(代表的なものは、北米自由貿易協定・NAFTA。日本が交渉中のものは下記)

  • 日・シンガポール経済連携協定  締結済
  • 日・韓投資協定            交渉中
  • 日・墨自由貿易協定         交渉中
  • 日・マレーシア経済連携協定    交渉開始に合意

WTOは多国籍間の合意が求められるが故に、そのルールは厳格なペナルティを伴うことがありません。2国間の貿易協定はどちらかが協定違反をした場合は相手がすぐに報復処置が出来るので、より厳しい実践的な協定となります。その代わり、WTOにはDispute Settlement Panel(紛争解決パネル)と言うのがあります。ルール違反と思われるケースに対し、第3国を入れた調査・仲裁が行われることになり、これに基づく補償支払いは可能です。

幾つかの調停例としては:

  • 米国が多発するダンピング課税の仲裁−多くは米国が敗訴するが、解決には時間が掛かる。
  • カナダの林業補助金を不当として、カナダからの林産物に対し米国が掛けた輸入課徴金。
  • EUと米国で争っている、GMO(遺伝子組換え)食品の輸入排除問題
WTOの交渉のテーブル

現在、公式には7つのテーブルがあります:
「農業」、「サービス」、「非農産品市場アクセス」、「ルール/AD・SCM・RTA」、「TRIPS/GI」「DSU改正」、「環境」、追加として、「シンガポール・イシュー(投資など)」

この中で「環境」はまだ諮問委員会の段階で、次回閣僚会議で、他の6つのテーブルと同一レベルになるかどうかが決まります。貿易と環境委員会(Committee for Trade and Environment:CTE)と称されるこの会合は、2・3ヶ月に1回ジュネーブで行われており、日本からは環境省・農林省が必ず参加しています。主たる議論は、国連の枠組みの中で取り決められた、多国間環境協定(MEAs)を、国連の枠組みではないWTOがどれだけその協定の中に取り込むかと言うことです。

  • 多国間環境関連条約とWTOとの争点を幾つか列挙すると:
  • ワシントン条約(絶滅危惧種の国際取引に関する条約、エビ・カメ論争)
  • 生物多様性条約/カルタヘナ議定書(遺伝子組換え種子および食物に関する予防原則)
  • 気候変動枠組み条約/京都議定書(CO2の排出を押さえた産品の差別化、炭素税)

CTEではMEAsとの「相互支持」の問題の他に、遺伝子組み替え食品(GMO)ラベルを含む環境ラベリングが内外差別にならないか、などの討議も進めていくことになっています。ここでは木材の認証制度が将来的に絡んでくると思われます。日本の林野庁は「違法伐採」問題もCTEのテーブルに上げています。

2001年・ドーハ・第3回WTO閣僚会議宣言骨子・貿易と環境
外務省のWEBサイトからl)

・ 貿易と環境の相互支持性を高める観点から次の交渉に合意。

  • WTOルールと多数国間環境協定(MEAs)の特定の貿易義務との関係。交渉対象はそのようなWTOルールと当該MEAの当事国間での適用可能性に限定される。
  • 多数国間環境条約(MEA)事務局と関連するWTOの委員会との通常の情報交換に関する手続き及びオブザーバーの地位の承認基準。
  • 環境関連の物品及びサービスに対する関税及び非関税障壁の削減または、適切な場合の撤廃

漁業補助金は第28項における交渉の一部となることに留意

・ 貿易と環境に関する委員会(CTE)は、これまでの作業を継続する中で、特に次の作業に注意を払う

  • 環境措置が市場アクセスに及ぼす影響や、貿易制限措置の撤廃・削減が貿易、環境及び開発に資する状況
  • TRIPs協定関連条項
  • ラベリング

委員会は第5回閣僚会議に報告し、交渉の適否を含めて勧告する。この作業及び交渉の結果は加盟国の既存のWTO協定、とりわけ動植物検疫に関する協定上の権利義務関係を変更しない。

・ 貿易と環境に関連する途上国に対する技術支援及びキャパシティ・ビルディングの重要性を認識。加盟国間の環境レビューに関する知見の共有を促す。第5回閣僚会議までに報告。

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