9月8日に国連大学でのシンポ「水のグローバルガバナンス」に出席した。その中で、「バーチャル・ウォーター」が議論の俎上に乗ったので、これを説明したい。
日本は貿易立国として、工業製品を輸出する代わりに1次産品―農産物(60%)と林産物(80%)を輸入している。野菜や樹木はその生長過程で大量の水を消費する。(殆どは空中に蒸発散してしまうが)日本の消費者に届いた時に、我々は成長過程で必要だった水の存在を忘れている。淡水の少ない国では、飲料水と農業用水と工業用水の間で水の争奪が行われている。輸出用の野菜や木材に費やされた水は、輸入国に商品と共に輸出されていると見なすことが出来る。これが「バーチャル・ウォーター」である。
世界の人口が増えつづける一方で、淡水資源は漸減の方向で、食料不足が顕在化する前に、飲料水の不足が深刻化している。中央アジアのアムダリヤ流域・5カ国間の水の配分争いは水の現物を巡ってのことだが、水の価値が商品化すると共に、バーチャル・ウォーターにも対価を払うべきとの議論が巻き起こっている。
日本は中国から大量の野菜や木材を輸入している。一方中国の黄河流域は砂漠化がどんどん進行している。一時的には安い、中国製品を買っても、地球環境劣化に対する補償は何時の日か、日本人に被ってくるかも知れない。現に砂漠緑化のODAが過去5年間で数百億円、民間ベースでの緑化活動に日本から投じられている資金・人員も、かなりの量に達している。これらは中国から日本に来る「バーチャル・ウォーター」の補償だと言えないだろうか?
水不足の深刻な国・地域から一次産品を輸入すべきでないと言うWTOルールを策定すべきと、私は考える。一次産品輸入国は、その輸出国のバーチャル・ウォーターを、現状では搾取していると考えられるからだ。
写真:砂漠化の進む中国内陸部