国際協力銀行の新環境ガイドラインに国際NGOが意見書を提出


プレスリリース
2000年1月24日

 2000年1月21日、10カ国17団体の国際NGOが国際協力銀行の新しい社会・環境ガイドラインに向けての意見書を提出した。この意見書は、昨年9月に旧日本輸出入銀行が旧海外経済協力基金との統合を前に発表した「環境配慮のためのガイドライン」が、世界銀行グループや経済協力開発機構(OECD)などの国際機関や他の政府機関、NGOが考える国際的な基準を満たすものではないことを指摘している。国際NGOは、今後国際協力銀行が新しい社会・環境ガイドラインを策定するにあたってこれらの問題を考慮し、より良いガイドラインを作っていくよう求めている。

 意見書では旧輸銀の発表した「環境配慮のためのガイドライン」が、

  • 国際的な基準についてガイドラインの中で触れられてはいるものの、その遵守を求めるものではないこと

  • 表現があいまいで、基準が弱く、適切な環境アセスメントの手続きや透明性に欠けていること

  • 環境政策の適用が恣意的で不明確なため、企業や他のステイクホルダーの取るべき手続きが明らかでなく、これまで輸銀が引き起こしてきたような環境問題を防ぐことができるという保証がないこと

  • 借入人の主観的な情報に頼りすぎており、輸銀や市民社会による客観的な分析が不十分になる恐れがあること

などについて指摘している。

 また、意見書では、国際的な場での協議や日本でのより正式で透明性のある協議のプロセスを持つことは、新しいガイドラインが国際的なモデルとして認められるために必要な最初のステップであり、世界最大の金融機関として国際協力銀行は意思決定プロセスにステイクホルダーとの協議を取り入れるべきである、と述べている。

 この意見書に先立って、国内のNGOは昨年11月17日に「環境ガイドライン策定へのNGO参加を求める要望書」を、12月15日には情報公開と住民参加の促進等を求める「旧輸銀の『環境配慮のためのガイドライン』へのコメント」を国際協力銀行に送付している。しかし、これまでに新しいガイドラインについて国際協力銀行とNGOとの会合は持たれていない。今回の国際NGOの意見書は、ガイドライン作成の過程とその中身において透明性と市民参加を求める国内のNGOの動きに賛同するものである。今後、こうした国内外のNGOの指摘を受けて、国際協力銀行が新しい社会・環境ガイドラインの策定に向けてどのようにNGOの参加を確保し、国際的なモデルとして認められる社会・環境ガイドラインを策定していくのか注目されるところである。意見書は「新環境ガイドライン策定というこの機会が、国際協力銀行が真に持続的な開発を促進する国際的な環境評価システムを作る上で主導的な役割を果たせるのかどうかが問われる機会になるだろう」と述べている。

添付資料:国際NGOから国際協力銀行への意見書(2000年1月21日)/3頁

 旧日本輸出入銀行の「環境配慮のガイドライン」を国際機関や他の政府機関との比較してより詳しい分析を行ったレポート(12頁)および「環境ガイドライン策定へのNGO参加を求める要望書(1999年11月17日)」(2頁)、「旧輸銀の『環境配慮のためのガイドライン』へのコメント(12月15日)」(4頁)をご希望の方は下記までご連絡ください。なお、これらのレポート等は地球の友ジャパン・環境と開発金融プロジェクトのホームページ(www.foejapan.org/aid/)でもご覧になれます。

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