環境ガイドライン策定へのNGO参加を求める要望書


1999年11月17日

国際協力銀行
総裁 保田 博 殿

前略

 本年10月1日、日本輸出入銀行と海外経済協力基金が統合され、国際協力銀行が設立されました。この国際協力銀行は年間出融資が3兆円を超え、世界銀行を上回る規模の国際金融機関になります。これだけの多額の資金を一国で運用する機関は他に例を見ません。私たち日本の市民・NGOはこれまで、この新銀行が、国際社会において責任ある行動をとっていかれることを強く求めると共に、新銀行が環境破壊、人権侵害、社会的不平等を引き起こすプロジェクトに支援することのないよう、より厳しい社会・環境ガイドラインを策定され、十分な情報公開と住民参加を確保した上で出融資等を行われることを要請してきました。私たちは、これらの要請を確実にガイドラインに反映していくために、ガイドライン策定過程における市民・NGOの幅広い参加をここに要望するものです。

 私たちは、市民・NGOが以下の内容で参加が確保されることを要望します。

1.新ガイドライン作成のプロセスに関する協議
2.ガイドラインの内容に関するガイドライン作成前・中・後のNGOとの協議
3.実際のガイドライン作成過程の透明性
4.ドラフトの120日間の公開(日英)とパブリックコメントの受付
5.ガイドラインの実施2年後の改訂

 新ガイドラインについては、先の通常国会において、堺屋太一経済企画庁長官がODA業務と非ODA業務「共通のガイドラインを作成していきたい」との答弁(注1)をされております。また、ガイドラインの作成過程においては、「国際的な環境配慮の潮流を踏まえ、NGOも含めます内外の情報、意見の徴取等を行い」たいとの旨、八木健大蔵大臣官房審議官(当時)が答弁されております(注2)。

 つきましては、本格的なガイドライン策定作業の始まる前に、関連省庁も含めた第1回目の協議の場を設定していただきますようここに要望する次第です。この場で、今後のガイドラインの策定過程、市民・NGOの参加方法などについて意見交換をさせていただければ幸いです。ご多忙中とは存じますがぜひ宜しくお願いいたします。

草々

ODAを改革するための市民・NGO連絡協議会

注1)1999年2月26日の参議院予算委員会での福山哲郎議員の質問に答えて。
注2)1999年3月23日の衆議院商工委員会での国際協力銀行法案審議で佐藤謙一郎議員の質問に答えて。

CC:
大蔵省国際局開発政策課 企画官 木原隆司 様
外務省経済協力局政策課 課長 粗信 仁 様
環境庁地球環境部環境協力室 室長 田口博之 様
経済企画庁調整局経済協力第一課 中藤 泉 様
通産省通商政策局経済協力課 課長 中井 毅 様

「ODAを改革するための市民・NGO連絡協議会」は、ODAやその他の開発金融の改革に向けて活動を行う市民・NGOの緩やかなネットワークです。1999年10月に「ODA改革に向けてのNGOからの提言」をまとめました(提言は別途郵送させていただきます)。この提言への賛同団体は以下の通りです。

アジア開発銀行福岡NGOフォーラム、アジア協会アジア友の会、アジア太平洋資料センター、アジア保健研修財団 アジア保健研修所、アシード・ジャパン、ウータン・森と生活を考える会、APECモニターNGOネットワーク、NGO福岡ネットワーク、大阪自然環境保護協会、大阪東ティモール協会、大阪YWCA、大阪湾会議、カトリック正義と平和協議会、カラバオの会、関西NGO協議会、京都YWCA、京大ユニセフクラブ、草の根援助運動、グローバル市民基金「地球の木」、神戸学生青年センター、国際子ども権利センター、国際民衆保健協議会日本連絡事務所、さっぽろ自由学校「遊」、シェア=国際保健協力市民の会、JFCを支えるネットワーク、市民フォーラム2001、シャンティ国際ボランティア会、SAGE、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、世界の子どもと手をつなぐ会、地域自立発展研究所、地球環境と大気汚染を考える全国市民会議、地球の友ジャパン、名古屋NGOセンター、日本インドネシアNGOネットワーク、日本クリスチャンアカデミー 関西セミナーハウス、日本国際ボランティアセンター、日本消費者連盟、日本ネグロスキャンペーン委員会、日本フォスタープラン協会、反差別国際運動日本委員会、PHD協会、フィリピンのこどもたちの未来のための運動、平和の手、メコン・ウォッチ、「環境・持続社会」研究センター

○この件に関するお問い合わせは下記まで

地球の友ジャパン
Tel:03-3951-1081, Fax:03-3951-1084
〒171-0031東京都豊島区目白3−17−24−2F
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