サンロケ報告 2000年9月11日


イトゴン市要求の17ヶ条 成果いまだ見られず

8月下旬、イトゴン市議会で、17ヶ条の要求の順守問題をめぐったサンロケプロジェクトへの支持撤回決議案が審議された。同決議案を提出したコーネル議員を中心に決議案採択への活発な動きが続き、一時は支持撤回への期待が膨らんだものの、最終的には、プロジェクト支持派に阻まれる結果に終わった。これを受けて、17ヶ条順守問題も先送りされた格好となっている。

イトゴン市は1998年、同市がサンロケプロジェクトを支持する条件として17項目にわたる要求を提示した。その要求のなかでは、影響を受ける住民(アンプカオ、ダルピリップ、ティノンダン、ポブラシオン)の財産や土地保有に関わる保証、また、彼らを保護するための集水域管理計画などが取上げられている。

議会はこれまで、プロジェクト推進側(政府、フィリピン電力公社、サンロケパワー社など)による17ヶ条の順守状況を定期的に調査してきた。今回の決議案は、この2年間、その関連機関が17ヶ条にかかわる対策を全く取ってこなかったことを指摘したものだ。とくに、財産・土地保証の面での実質的な動きが見られないことから、ダム建設の影響を受けた土地の住民がフィリピン電力公社から補償支払いを受けられるかどうかが問題とされている。

また、影響を受けるイトゴン市住民の生計補助や財産・土地保有の保証対策などが盛り込まれている集水域管理計画についても、強い懸念が示された。来年、天然資源環境省が7億4500万ペソをかけて4ヶ年の総合集水域管理計画を発進する予定であるが、現在、2001年度国家予算に初年度分が計上されるか危うい状況であることが報告されているためだ。

今後は、政府関連機関側による彼ら自身の17ヶ条順守状況の証言を得たうえで、再度、プロジェクト支持の撤回問題が審議される見通しである。仮に、17ヶ条周辺の状況が改善されず、そのまま支持が撤回された場合は、国際協力銀行がフィリピン政府に追加融資の条件として17ヶ条の順守を掲げていることから、その融資決定にも影響を及ぼすことが予想される。

****** この文書は8/25-9/3の現地紙報道を地球の友ジャパンでまとめたものです。******