サンロケ報告 2000年8月14日


ダム集水域管理計画 財源確保なるか

アグノ川下流集水域管理4ヶ年計画に現在、黄色信号が灯っている。この管理計画には約7億4500万ペソの出資が予定されているが、来年度国家予算に初年度分3億6000万ペソが計上されない可能性があるためだ。同計画を推進する環境天然資源省(DENR)筋がベンゲット州代表コサラン議員に語ったところによると、これまでのところ同集水域管理計画は来年度国家予算に計上されない方向で動いているということだ。

この集水域管理計画には、イトゴン市アンプカオ村と同市ダルピリップ村住民への補償計画や、サンロケプロジェクトで悪影響を受けることが懸念されている貯水池や周辺環境の保全計画などが含まれている。その内分けは、森林保護に約400万ペソ、堆砂対策に5億8800万ペソ、土地買上に3500万ペソ、生物多様性保全に300万ペソ、大気・水質・土壌汚染管理に2700万ペソ、住民の生活保障に7200万ペソ、研究開発に400万ペソ、政策レビュー・提案に66万ペソ、設備経費に2000万ペソ、管理・監督に500万ペソ、また、その他の開発活動に70万5000ペソとなっている。

同計画の財源が確保されない場合、以上にあげた計画が実行不可能になるため、サンロケプロジェクト全体の推進に支障をきたすことが当然予想される。これに関して、ベンゲット州代表コサラン議員は、8月6日付のバギオ・ミッドランド紙で、いくつかの懸念事項をあげており、その中でもとくに補償計画の不確実性を指摘している。同議員によると、1994年のプログラム着工以来これまでに支払われた補償は、ダム建設の影響を受けた住民のわずか10パーセントにすぎないが、フィリピン電力公社の民営化後、全住民が補償を支払われる可能性は一段と低くなる恐れがあるということだ。また、ビンガダムとアンブクラオダム建設において2800万ペソの補償がすでに無効にされており、ここベンゲット州でも同様のことが起こりうるとしている。

同計画の財源確保には、現在、環境天然資源省(DENR)が動き始めているようで、DENR地方行政長カストロ氏が7月17日付サンスター紙に語ったところによると、すでに6月、日本国際協力銀行の出資協力を得るために予算提案に対する国家経済開発省の支持を取りつけたということだ。しかし、フィリピン政府の社会・環境問題に対する姿勢は今回の予算配分の過程を見ても明らかであり、国際協力銀行のサンロケプロジェクトへの追加融資実施の決定が注目されるところである。

***** この文書は8/17-8/13の現地紙報道を地球の友ジャパンでまとめたものです。*****