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実施文書は骨抜き状態 政治宣言が重要に!

PRESS RELEASE

南アフリカ・ヨハネスブルク 2002年9月3日

ヨハネスブルグサミットで出されるいわゆる「行動計画」は、人を欺くような表現と曖昧な志が数多く盛り込まれ、悲惨な失敗に終わった。世界のもっとも深刻な環境と開発の問題に取り組むための明確な数値目標や時限はわずかに合意されたに過ぎなかった。
それ故に、現在交渉されている政治宣言が、こうした後退を食い止めることがきわめて重要である。FoEインターナショナルは、南アフリカ政府によって準備された「政治宣言草案」を歓迎する。これには、いくつかの有用で前向きな文言を盛り込んであるが、これを改善することは可能で、そして必要である。

課題
「我々が直面する課題」のセクションは、より強い表現になる必要がある。そのためには、「世界の環境と社会の問題の多くは、10年前のリオサミットから悪化している。世界で独占的な立場をもつ新自由主義的な経済システムは持続可能なものではない。私達は、将来世代のために私達が共有する地球を守るために、今行動を起こさなければならない。」

企業責任
企業責任に関するパラグラフ(48から50)の文言は弱すぎる。このセクションは、責任だけでなく、行動責任に言及し、実施文書中の第5章の文言との一貫性を持たせる必要がある。また、企業責任に関する国連会議を2003年の終わりまでに開催することの言及があるべきだ。

民主主義と意思決定
政治宣言は、「持続可能な開発に関するヨハネスブルグコミットメント」のセクションで以下のような文書を盛り込むことによって強化する必要がある。「民主主義は持続可能な将来を実現するための必須条件である。各国政府は、強力な企業と国際機関が、それらが将来的に影響を及ぼす人々やコミュニティーに対して行う活動に関する行動責任を負うことを確保しなければならない。完全な法的補償責任や透明性を盛り込んだ形での、企業責任に関して法的拘束力を持った国際的な枠組みがなければならない。

環境債務
環境債務に関して主要な考え方に関する表現が盛り込まれなかった。これは、以下の表現を持って「将来への我々の出発点」に含まれるべきだ。「我々はお互いが助け合う世界に生を受けている。世界の貧しく脆弱な人々が苦しんでいるようでは、先進国や権力のある国々の将来は持続可能とはならない。先進国がこれまで行ってきた活動は、南の国々に対する環境債務を生み出した。これは認識され、そして返済されなければならない。」

債務
この論点に関する表現はとても弱い。「我々の直面する課題」のセクション(パラグラフ38)に変更を盛り込むことを提案する。「途上国が先進国の銀行や政府に対して負っている債務は、弊害が大きく、帳消しされなければならない。先進国の企業や政府に支配されている世界の金融機関は、統制のない自由貿易と自由市場の破壊的で非人間的なイデオロギーの採用を、南の国に対して、強いることを止めなければならない。輸出を中心とした経済政策は、社会的・環境的な水準を保つことを犠牲にして導入されているが、これは南の国の人々を完全に失望させた。世界銀行、国際通貨基金(IMF)、そしてその他の国際金融機関は、リオ原則と厳密に整合性の取れた投資基準と経済政策を採用しなければならない。」

将来の世代
将来世代の権利は、「持続可能な開発に関するヨハネスブルグコミットメント」の中に盛り込まれるべきだ。私達の提案した政治宣言には以下のものがある。「将来の世代の権利は現在の世代の権利と同じように大切である。私達は、現在より状況の改善した地球を、私達の子供達に残す絶対的な義務がある。」

生物多様性
生物資源の所有への言及が含まれていない。私達は持続可能な開発に関するヨハネスブルグコミットメントに以下を付け加えることを提案する。「生物多様性は、数十億年の進化の賜物である。いかなる企業もこの自然の恵みに対する所有権を有していない。命に関する特許や知的所有権は許されない。」

多国間協調
多国間協調と将来のセクションでは、貿易と持続可能な開発への言及がなされるべきである。ここでは、以下のように述べられるべきである。「世界の環境に対するニーズが貿易規定に従属するものであってはならない。環境条約はWTO協定に対する優位性を持たなければならない。」

気候変動
政治宣言は、持続可能な開発に関するヨハネスブルグコミットメントのセクションに、いくつかの気候変動に関する強力な表現を盛り込むべきである。「再生可能エネルギーへのシフトなどの行動を直ちに起こさなければならない。必要な最初のステップは、各国の政府が2010年までに、適切な再生可能な自然エネルギーの割合を、一次エネルギー供給の10%に引き上げることを約束することである。化石燃料プロジェクト、原子力発電、そしてその他の被害をもたらすエネルギー源への補助金は廃止し、新規な石油やガスの採掘、そして採鉱などは停止されなければならない。」

食糧と農業
パラグラフ38は持続可能な農業を約束するために変更するべきである。このため、以下の表現にするべきである。「農業政策は、地域の消費のために健康な食品が十分に供給されることを保障し、地域農業の権利を尊重するものでなければならない。同時に、多様性や地域の資源は保全されなければならない。米国やEUの巨額で無駄な補助金は廃止されなければならない。遺伝子組み換え食品を人々やコミュニティーに押し付けたり、食料支援という名の下で南の国々へ流したりすることがあってはならない。遺伝子組み換え物質を環境に放つことをやめなければならない。」

FoEのトニー・ジュニパーは以下のように述べている。
「サミットで出てきたいわゆる行動計画は、哀れな失敗だ。エネルギーのセクションなどでみられるように、あいまいな表現と、偽善的な希望、そして世界の貧しく、もっとも脆弱な人々に対する裏切りが入り混じったものである。このどん底から何かを救う最後のチャンスは政治宣言だ。南アフリカ政府の草案は多くの前向きな記述を含んでいる。しかし、環境問題、貧困、不公平性の影響から地球を守るため地球サミットの結果から前進するには、この政治宣言の強化がなされなければならない。」


連絡先:
中澤 健一 FoE Japanプレス担当
nakazawa@foejapan.org, +27 72 401 5401

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